誤った価格設定~同業者はいくらかで決めてしまった~
私の本業は「教育支援業」といって、塾や家庭教師なんかもここに属します。物品販売と違い、原価がありません。またオンラインの仕事なので、経費も少ないです。こういうタイプの仕事をしている人として、自分の商売に価格をつける時にどうしてきたか、これからはどうしていったらいいか、ちょっと気づきがあったので共有したいと思います。
そうですね、ピアノの先生とか、お習字の先生とか、webライターさんとか、そういう人たちと共有したい話です。
誤った価格設定~同業者はいくらかで決めてしまった~
私の仕事は、通信教育以外に、教材作成とか、講演とか、執筆とか、色々あります。ちなみに、執筆業と教育支援業は、収入に関して別集計しています。個人事業税が違うのです。この話はまた今度。
その中で、ピアノの先生や、お習字の先生に共通するのが、通信教育部門。
あ、私は一人商売ですが、NPOもやっていたし、バンド活動もしているので、勝手に「部門」とか「事業部」とか呼んでいます(笑)
価格は、もうホームページ(https://kakimakuru.com/)で公開してるいるので、ここにも書けるんですけど、年長さんから2年生までが月3,000円、3年生と4年生が月4,000円、5年生と6年生が月5,000円です。
今はこの価格がプライシング面からも適正だと思っているのですが、最初に価格を付けたときは、これより1,000円ずつ安かったのです。
これはどうやって決めたかと言うと、この事業を始めた約20年前、同業者、つまり通信教育の大手がいくらでやっているか調べて、それより少し安くしたんです。その方が保護者に感じいいかなと。
完全に消費者目線でしたね!反省!
消費者目線だと、例えばコスト積み上げ発想的なプライシングをしてしまう。学生時代にバイトしていた喫茶店がそうでした。飲食はみんなそうかな。例えば喫茶店だと、原価率3割くらいっていうのがあるから、原価計算して300円のものは、1,000円で売るイメージ。この発想だと、儲けたい場合は、安く材料を仕入れるか、お給料を下げるなど経費を減らすしかなくて、両方限界である今の日本は、もう行き止まり。
インターネットの国語の先生も、ピアノの先生も、お習字の先生も、webライターも、セミナー講師も、コーチング業も、原価はないから、どう価格設定をするかっていうことなんですが、とにかく、消費者目線に立ってはいけなかった。「自分だったら、この金額、払うかな?」という顧客目線、消費者目線で考えてしまった。しかも、そうしたら自分の時給はどうなる?というところまで計算していました。もう間違いまくりですよね。
案の定、始まって数年経ち、初めての卒業生のアンケートで、こんな言葉をいただいたんです。
がーん(笑) いろいろと機会損失(笑)
買いたい人がいくらだったら買うのか。この事業者目線が私には決定的に足りなかったですね。そっか。私の指導には、大手の通信教育業者のパートの先生と違い、それだけの価値が出せるんだということで、1,000円パーンとあげました。
注意:パートの先生の熱意の話ではありません。生徒指導の自由度が高いかどうかね。大手の添削者が教育相談に応じたり、時には直に会って話をするなんてできないよねってこと。
もちろん、今まで受講していた人は、急に1,000円上がったらびっくりするので、その人たちは1年据え置きにしました。結果、どうなったと思います?値段を上げても、人数は変わらなかったのです。むしろ増えました。据え置きされた生徒もやめませんでした。
私は、その時、自分の指導の適正価格がやっと分かったのです。
オンライン教育が当たり前になって、他の通信教育はもっと安くなりましたが、そこは切り離して考えないと、自営業は地獄。丼物業界みたいに、地域で底値目指しますみたいになっちゃう。
ただ、時代は変化するので、時々価値の見直しは必要だよね。私もそろそろ考えないと(汗)
中学生コースや高校生コースも、買いたい人がいくらなら買うかという視点で考えて、小学生コースとは価格が倍以上違うんですが、お陰様で一人で回すのには限界なくらい。今後考えるべきは、むしろ、プライシングの問題ではない気がします。
その点、講演とか、ライター仕事は、私のプロフィールを見て価格交渉をしてくるので、自分の相場観が直に分かって良いです。
安い値段で交渉された時は、私はまだまだだと反省するのと同時に、そう見えてしまうプロフィール直しが必要。このプロフィール直しというのも、表面を繕うんじゃなくて、きちんと実績を積み上げてガチでプロフィールを更新していくイメージです。
逆に、高額で交渉に入ってきたところには感謝しつつ、私の市場価値はいったい何なのだ?他の人(他のライターさん)と何が違ってそんな高額になるのだ?と価値を自覚する機会となります。
いやー、答えって、本当に現場にありますね。
追伸
教育産業って、お金の話はタブーな雰囲気があります。だからこそ、原価率なんて計算しちゃだめなんです。生徒に失礼です。
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