「無限ピーマン」という提案型プロモーションから、”モノを売る”ことを考える
無限ピーマンの季節がやってきた
今年も夏が近づき、ピーマンが安くなり
「無限ピーマン」の季節がやってきた。
「無限に食べられる」から
「無限ピーマン」
すぐに作れて、簡単で、美味しい。
ピーマンを細く切って、ツナ缶と炒めて、
鶏ガラスープの素で味をつけるだけ。
わたしはそれにかつお節とゴマをまぶして
さらにヘルシーで美味しくいただいている。
この時期から夏まで、週に1度は必ず多めに作り、
我が家の常備菜のような存在になっている。
仕事で疲れて帰ってきてもすぐに作れるし、
「もう一品」というときにも役立つ副菜になる。
さらに美味しくて、彩りも良い。
初めて「無限ピーマン」を知ったのは、
レシピアプリ「クックパッド」だったが、
どうやら発信元は「味の素」の提案レシピだったようだ。
最近はCMで渡辺直美さんが、白米に無限ピーマンを乗せて飯をかきこむCMが頻繁にオンエアされているが、よく作っているのに見ているだけで食欲をそそられ、食べたくなる。
このCMは「鶏ガラスープの素」のCMなのだが、
・すぐできる
・簡単
・うまい
の情報が15秒に詰め込まれていて
こんなに美味しそうに食べている姿を
腹の減ってる時間にCMで見せることで、今日の晩御飯は無限ピーマンを取り入れよう、となるし、各社から販売されている鶏ガラスープの素は、おそらく「味の素」のものを選ぶだろう。
商品ではなく、情報という付加価値が重要
つまり私は、鶏ガラスープの素を買っているのではなく、「無限ピーマン」という新レシピの情報を買っているようなものだ。
こういった大規模なCMは味の素のような大手企業だからできることではあるが、モノを売るときに「使い方の提案」という情報、付加価値とともに売るのは規模の大小関係なくやれることだ。
わたしはこういう「楽しい提案」がある、
モノの売り方が大好きだ。
なんとなくモノを並べてお茶を引いて客を待つのではなく、
これをこう使えば、こんなに楽しくなりますよ!と提案してあげる。
食品に関していえば、いまは例のウィルスですっかりなくなったが
「マネキン」といって、スーパー内で売る食材を自分なりに美味しくアレンジして試食させ、買っていただくという職業があるが、あれもマネキンさんによって個性が出ていて、同じものを売るにもどんなアレンジをして売っているかはいつも興味があった。
すごく簡単で美味しい作り方を教えてくれる人からは、買う予定のない食材でも買ってしまうし、してやられた!と思いながらも心はウキウキする。
洋服を買うときも同じで、良いな、と思ったスカートがあったとしたら、どんなものを合わせたら素敵に見えるか提案をしてくれたり、わたしの好みを聞いて、それを考慮に入れて良さそうなものを探してくれたりする店員さんから買う。なんでもかんでも「お似合いですね」という店員は信用しない。似合わないものは正直に「いまいち」と言ってくれる店員さんから買う。
あまりお出かけできないご時世でご無沙汰しているので、まだいらっしゃるか分からないが、こちらの「chersage」横浜店の店長さんは提案がすごく上手でいつもよくしていただいた。
ついでに横浜の高島屋に入っている化粧品「RMK」にも神接客をしてくれる店員さんがいる。マニュアル通りではなく、面倒くさがりなわたしに
つい先日も記事にしたが、洒落た100円ショップの「ナチュラルキッチン」も、季節の商品やディスプレイを提案している。それが絶妙な簡単さで、素人がすぐに真似できるレベルにしてくれているし、そもそもお値段もプチプラなので、ついつい真似したくなってしまう。そして気づいたら、100円ショップのはずなのに、3000円やら5000円やら買い込んでしまう。
近所の靴屋さんも懇意にしているが、靴をそのまま売るのではなく、必ず「カスタマイズ」して売ってくれる。こちらは店員さんが器用でセンスが良いので、スニーカー一つでも紐を変え、手作りのチャームを作り、オリジナルスタイルにして売っているのでついつい買ってしまう。完全にいいカモだが、とても気分がよく、履いている靴はすべてお気に入りだ。
つまり私は単なる「モノ」を買っているのではなく
「提案」という付加価値をついたものを買っている。
これからの時代に「モノを売る」とは?
これだけモノに溢れた世の中だ。
モノを買うこと自体はいくらでもできるが、
何を買ってよいのか、選び方、使い方が分からない人はたくさんいる。
どこに良いものがあるのか、
どんな風にアレンジすればよいのか、
どう活用すればよいのか、
その「使い方」「活かし方」を教えてあげるというのが
ものを売る、ということなんじゃないかと思う。
そこが売り手の腕の見せどころだ。
とか言いながら、わたしはリユース店で働いているので
基本、提案型の仕事をしているわけではないが
それでも問い合わせがあったりしたときには、お客さんに損がないような情報提供を心掛けているし、
お客さんに「これどう思う?」なんて聞かれた日にはできるだけ私の意見として感想を伝える。
自分の勤める店舗でも、自分では見つけられていない商品はある。そんなものを買おうとしているお客さんには「めっちゃ可愛いですね!」と本心から思ったときは伝える。
買い物は必要なものを買うという必然的行動のほかに、「楽しみを買う」というレジャー的要素もある。
だったら気持ちよくお金が使えるというのは幸せだと思うし、しぶしぶ出すお金と、自分が楽しんで使うお金の価値は、同じ1000円でも自分に返ってくる喜びが全く違う。質が違うのだ。
だからこそ、自分自身にも嬉しいお金の使い方をしていきたいし、誰かにものを売るときにも、その人が満足するような、気分がよくなるような提案をしていきたいな、と思う。
そして今日の晩御飯はもちろん、無限ピーマンである。
今日も、安定のおいしさだ。
ありがとう味の素。笑
今日もお読みくださりありがとうございました!