マイペース高2息子とニューヨーク親子旅⑧:ハーレムで本場のゴスペルに大興奮
7月末、マイペース高2息子と2人でニューヨークを旅した記録。
前回までの話(最初から)はこちら
ニューヨークに到着するなり息子がスマホを紛失し、てんやわんやで終わった1日。翌日からは無事観光ができてほんとにありがたい。
地下鉄をのりこなし、メトロポリタン美術館、ブロードウェイミュージカルを堪能した昨日に続き、この日は日曜日とあって本場ハーレムのゴスペルを聞きに行くことに。
すっごく昔に見た「天使にラブ・ソングを…」という映画で初めてゴスペルの存在を知った。
あの映画のおかげで日本でもかなりゴスペルが広がったと思う。日本を代表するシンガー、MISIAも確かゴスペルを歌っていて、「天使にラブ・ソングを2」に出てきたローリン・ヒルに感化されて本格的にブラックミュージックに傾倒したと聞いたことがある。
わたしも息子が小さいころにママさんゴスペルサークルに参加したことがある。全然クリスチャンじゃないけど、ノリノリで楽しく歌えるので、ストレス解消になるのよね。
そんな、なんとなく馴染みのあるゴスペルだが、せっかくニューヨークに行くなら本場ハーレムのゴスペルを見てみたいなぁと思っていた。本来は日曜日に教会に通うミサの一環として神にささげる歌。もっと神聖な感じかと思いきや、黒人文化に入り込んだゴスペルは、ノリノリで、ソウルフル。神=神聖じゃなくちゃいけない、にぎやかでも神をたたえればOK!ってことらしい。
息子はゴスペル自体になじみはないが、歌やダンスには割と食いつく。感受性が豊かな部分があるので、ソウルフルなゴスペルはきっと息子の心を動かすんじゃないかと思ったのだ。
どうせ見るならブラックカルチャーの本場、ハーレム(マンハッタン北部にある地区)でゴスペル体験をしたい。ただこの地区は全体的に治安が悪いことで有名。20年ほど前まではニューヨーク在住の人でも立ち入るのを躊躇するほどだったそうなのだが、1994年ごろから、かの有名なジュリアーニ市長のニューヨークの治安改善対策が続けられ、今では観光客も足を踏み入れて楽しめる場所になったのだとか。
とはいえ、ハーレムすべての地域がめちゃくちゃ安全かというとそういうわけでもなさそうだし、うっかり間違えて危険な場所に迷い込みたくない。なのでこの地域はツアーで行こうと決めていた。
何かよいツアーはないかと探していたら、ハーレム在住の日本人女性が案内してくれるツアーがあるという。
ハーレム在住で、所属している教会のゴスペルに案内してくださるという。「在住」ってのがやっぱり強いよね。わたしなんて心配性だから、もし何かあっても「顔パスでなんとかなりそう」みたいな期待。いや、ほんと住んでいる人にしか分からない情報があると思うので、ぜひぜひ生の情報を聞きたいということもあり、日本から申し込んでおいた。
集合場所はタイムズスクエアのヒルトン。わたしたちが泊まっていたホテルも一応ヒルトン系列だったが、ここのヒルトンはとにかく広い!待ち合わせ場所を間違えないようにキョロキョロしながら集合場所へ。
するとどピンクのパンツを履いて颯爽と歩く女性が登場。それがこの日のガイド、公子さん。屈託のない笑顔で挨拶してくださり、さっそくツアースタート。参加者はわたしたち親子と、ほかに3組。
うちの子くらいの息子連れなんてあまりいないだろうと思っていて、おばさんだらけだったら浮いてしまうかなぁなんて心配していたら、なんと息子と同い年の男子連れ父子(しかも神奈川から来訪)、さらにヨーロッパ在住の中学生男子連れの母子、と、なかなか若い世代の参加も多くほっとした。
公子さんはさっそく今日のスケジュールを説明してくれる。地下鉄に乗ってハーレムまで移動、そこから教会に向かいながら要所要所で説明しながら行きます、とのこと。
最寄駅からの地下鉄まで連れ立って歩く。颯爽と歩く公子さんは、細い体からエネルギーが溢れている。元気な笑顔でわたしたちを気遣いながら地下鉄の駅へ。
昨日地下鉄に乗った時には、頑張って券売機で切符を買っていたのだが、なんと今やニューヨーク地下鉄はタッチ型のクレジットカードであればそのままスイカのようにピッとタッチして改札を通れるのだそう!知らなかった!めちゃ便利!
と、そんな情報も得つつ、地下鉄に乗るときの注意事項も教えてもらう。
地下鉄は基本、観光客が乗っても問題ないのだが、ここのところニューヨークはコロナ以降、失業者やストレスでメンタルを病んだ人も増え、治安としては悪化してきているのだそう。なのでできるだけ危険な目に遭わないよう、電車を待っているときも人気のないところを避けたり、後ろから押されないよう壁を背にして立つ、など注意事項を伝授してくれた。うう、怖いなぁ。
とはいえ夜遅くに乗らなければほとんど大丈夫なので、注意しながら楽しんでくださいね、とのこと。うん、気を付けます。
確かニューヨークの地下鉄も、このジュリアーニ市長のおかげで観光客が気軽に利用できるまでに改善したのだと思う。地下鉄は利用しても問題なかったけど、ちょっとゾクっとするような薄気味悪い感じはまだ残っているので、今後は注意しよう。
いろいろとおしゃべりしながら、あっという間にハーレムに到着。
いかにもハーレムなウォールペイント。閉店した店に描かれた落書きだが、この店はリニューアルして新しい店ができることが決まったらしく、この落書きもしばらくするとなくなってしまうのだそう。黒板アートみたいなはかなさ(ちょっと違うか)
ハーレムの目抜き通り。治安がよくなり、大きなショッピングモールができて、ハーレムの印象も一新したのだそう。映画館も入ってるもんね、ここ。
そしてかの有名なアポロシアター。マイケルジャクソンをはじめ、ここで行われるアマチュアステージからスターになったアーティストは数知れず。
そんな舞台を踏んだアーティストの銘鈑がたくさん!ブラックミュージック好きにはたまらんだろうなぁ。
日曜日の朝なので人通りもまばらなハーレム。夜は夜であんま歩けない感じだけど。
このゴッサムバッズという店はアメリカでは合法の大麻ショップだそう。ただし日本人買ったらダメね(違法なので捕まる)。公式大麻ショップがあるのだけど、そうはいっても安かろう悪かろうな粗悪品が路上でも出回ってしまうわけで、世の中のセオリーなんだろうか。
そしてハーレム在住の公子さんが教えてくれた面白い情報!
アフリカン・アメリカンの女性たちは地毛が癖毛の人が多いせいか、とびきりのオシャレをするポイントは「髪型」なんだそう。
お出かけをするときには長い髪を数時間かけて編みこむために美容室にでかけたり、(数万円かかるらしい!)もっと簡単なオシャレをしたいときにはウィッグをかぶったりと、とにかく「髪が命」なんだって。
わたしも乳がんのときにはウィッグをショートにしたりロングにしたり遊んだので気持ちは少し分かるような。ま、蒸れるし締め付けられるし暑いんだけどねぇ。おしゃれは我慢からだね。
色とりどりのウィッグが並んでいると欲しくなる。見る暇があったら買ってたかも~。公子さんもばっちり付け毛のウィッグをつけていて、何種類も持っていると言っていた。
なんかよくわからんものも売っている(笑)
メイン通りを案なしてもらいな原教会に向かう途中で、何やら大勢が道路に集まっているのを見かけた。
公子さん曰く、この日はある国のお祭りがある日(ぼやかしてるんじゃなくて、純粋に忘れました)らしく、朝から大賑わい。
めちゃくちゃ衣装を着こんだ女性も続々と。
ニューヨークってほんと、少し場所を変えるだけで全然違う景色を目にすることができる面白い街だなぁと思いながら、いざゴスペルを聞きに教会へ。
教会はこじんまりしていて、人もさほど多くない。
コロナ禍でミサもオンラインになって以来、人が詰めかけることがあまりなく、コロナが明けてもオンラインで参加する人も増えてるのだとか。時代だよね。
そんな感じでなんとなく始まったミサ。といっても観光客がいるのでお説教はゴスペルの後、ということでいきなりゴスペルがスタート。
なんとなく地元感ただよう歌い手さんと、それっぽい風格のあるプロデューサーの男性が登場し、歌が始まる。
最初は静かな曲だったり、踊りを挟んだりして曲が進む。神をたたえる歌なので歌詞は全部シンプル。徐々に盛り上がる曲になっていき、最後には「Oh Happy Day」で大盛り上がり。
前の席に座っていたチャーミングなおばあちゃんがだんだんノリノリになっていって、わたしたちにも立てと促す。
わたしはノリノリが大好きなのでもちろんだが、息子もノリノリでリズムを取っていた。朝は具合が悪そうだったのに、ここにきて楽しそう!
こじんまりとした教会だったけれど、ものすごく「コミュニティ」を感じる場所だった。ここを拠り所としている人たちが集まり、助け合う。ツアー参加の方が「居場所があるって感じでいいですねぇ」と感想を言っていたが本当にそうだ。
教会でもなんでも、なにかあったときに頼れる他人がいるってすごく助けになる。日本だと「コミュニティ」がムラ社会になりがちで、あそこんちの息子はだれだれと付き合ってるとか人のうわさまで筒抜けだったり、横並びで目立たずおとなしくしていないと叩かれたりとかあるから面倒なイメージだけど、アメリカってそういうのないのだろうか。とりあえずわたしがここで感じたのは「ほっとできる居場所」感だった。
ツアーを開催してくださった公子さんもこの教会に属していて、ゴスペルくワイヤーとして一緒に歌っていた。本当にこのハーレムが大好き!というのが伝わってきた。やっぱその場所が好きな人に案内してもらうのって気分が良いなぁと思う。
そんな公子さんはゴスペルが終わるとわたしたちを目抜き通りまで案内してくれたあとは、教会のお説教も聞くので境界に戻るとのことで、その場で解散。ランチはハーレムのソウルフードをぜひ、とおすすめしてくれた。
せっかくなのでおすすめされた店に行ってみようと訪れたのが「Amy Ruth’s エイミールース」というお店。
オバマ大統領も訪れたとかで、有名人も来るようなお店なんだとか。で、チキン&ワッフルというのがソウルフードなんだそうで、おとなしくそれを注文。
てかチキンにワッフルって何よ?ってガイドブックを見ていた時からツッコミを入れていたけれど、出てきてもやっぱり「チキンにワッフルって何よ?」だった。
ワッフルとチキンを一緒に食べるってどうもわからないので、とりあえずチキンをいただく。チキンうまい!!!カリッカリでサクサク、ジューシー。
そういえばアメリカってケンタッキー・フライド・チキンのイメージがあるくせにチキン屋さんがあまり見当たらない。アメリカに来て初めてチキン食べたわ。逆に日本にいるときのほうがチキン食べてるかも。
そしてワッフルはね、、うん、、、やっぱこういう形状のものを「主食」として食べるのに慣れてないもんで、あまり進まなかったな・・・もちもちってわけでもないし、味のない素朴なパンケーキ的なやつ(アメリカに多い味)
そして粉ものワッフルになぜか添えられる謎のパン。どうやらとうもろこしで作ったパン状のものらしいのだが、ワッフルよりは珍しいので興味がわいて手に取ってみたが、手に取れないくらいボロボロとこぼれる。つなぎゼロ。こぼしすぎて食べるのをあきらめた。
もしかしてチキンにもメープルシロップをかけたらおいしいんじゃないかとやってみたけど、やめといたほうがよかった。
ということで、口に入ったのはチキンとわずかなワッフル、フライドポテトだけだった。わたしのソウルフードはやはりおにぎりと味噌汁なのだろうか。ハーレムの人はこの料理を見て「わお!!おふくろの味だぜ!」ってなるのか?なんかならない気がするのはわたしだけ?
わかった、わたしの育った群馬県桐生市にあった「コロリンシウマイ」というでんぷんだけで作られた蒸し物にウスターソースをかけて食べる貧乏くさいがうまい食べ物があった。あれを今食べたら「わお!」となる。もしかしたらそんな感じのときめきだろうか。いや、もしくは息子が大好きな納豆みたいなものかもしれない。(違うかもしれない)
と、有名店でビールをいただきながらハーレムのソウルフードを食べ、ホテルへ。飛行機が遅れまくって送迎を逃してからの、スマホ紛失騒動、その後続く観光でちょっと疲れていたのでこの日は早めにホテルに帰ろうとなった。翌日は早朝からナイアガラの滝へ日帰りツアーだし、しっかり寝て体力を蓄えなければ。
Whole Foods Marketで食材を買って
ホテルがあるタイムズスクエアへ。
相変わらずビジーな街。クラクションがうるさいぜ。
ホテルに帰ると、息子は相当疲れがたまっていたのかそのまま爆睡。
わたしもビールを飲みながらダラダラガイドブックを見て過ごす。
ホテルの部屋は41階、眺めも良き。
なんだかんだ観光を詰め込んだので、「街をぶらぶら」ってのができてないなぁ。
とはいえ翌日は国境を越えてナイアガラの滝へ。なかなか見られないものがたくさんあってエキサイティングなニューヨーク旅行ははまだまだ続く!
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