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「鬼滅の刃」の第2シーズンが始まるにもかかわらず、すでにブームが過ぎ去った気がする3つの理由を考えてみた


わたしはリユースショップでパートをしているのだが、
最近、「鬼滅の刃」グッズが持ち込まれることが増えている。

ということは、あの社会現象にもなった「鬼滅の刃」がいよいよ本格的に
下火になってしまったということかなと思う。

しかしながら、「鬼滅の刃」は、アニメの第2シーズンがこれから始まるし、ストーリー的には、すでに完結した原作マンガのまだ序盤なので、本来なら盛り上がりはここからなはずだ。

やはりあれだけの社会現象を起こした分、下火になってしまったのだろうが、その早すぎるブームの終焉がなぜ起こったか、今回はわたしなりに分析してみようと思う。

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©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

ちなみにわたしの立ち位置を示しておくと、「鬼滅の刃」については、ほとんどの人がそうであるように、超ライトユーザーだ。当時中1の息子はアニメ放映時は見ておらず、鬼滅の刃の映画公開時のブームに乗っかり、慌ててアニメのまとめ放送を見て親子で映画を観に行った、という、絵にかいたようなライトユーザーだ。

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劇場作品は「面白かった!」と興奮したが、その後とくに作品を追うでもなく、原作を読むでもなく、息子は別のアニメにハマり、わたしはそのまま放置で、いかにもライトユーザーな立場から書かせていただく。


原因その1:コラボ、関連商品が多すぎた

とにかくまず考えられる分かりやすい原因は、「ブームが大きすぎた」ことである。

大手メーカー、テレビ会社などのスポンサーを付けずに制作会社だけで作ったアニメなだけに、ほとんど制約がなく好きなだけコラボ商品が出せる。なので一時期はスーパーに行けば鬼滅の刃のお菓子、ジュース、缶コーヒーなどが並び、おもちゃ売り場も鬼滅の刃のフィギュア、キーホルダーなどグッズであふれ、衣料コーナーでもパジャマだの靴下だのハンカチだの、とにかく鬼滅の刃グッズまみれだった。

さらに、登場人物が着ている衣装の柄が、とても分かりやすい柄で、100円ショップや手芸屋さんに主人公や登場人物の衣装の柄の布があふれた。
 
布一枚ですぐに「鬼滅の刃」とわかるので、コスプレも流行ったし、マスク必須のコロナ禍で、誰でも簡単に作れるマスクで鬼滅風、を装ったり、楽しむにはうってつけだったのだ。

一時期は、右を見ても左を見ても、鬼滅の刃っぽい何かを見ない日はないくらいの勢いだった。

ここまで書くと結構多くの人は察してくださると思うのだが、あまりに情報過多で、グッズがあふれかえると、人は食傷気味になる。美味しいものでも毎日食べれば飽きる。そう、ストーリー以前に、あの鬼滅の刃のコラボ商品攻撃に、大衆が見飽きてしまったのだと思う。

人は一気に大量の露出をされると、熱狂するが、冷めるのも早いものだ。


原因その2:第2期のアニメが遅すぎた

「鬼滅の刃」はアニメ放映時、関東ではTOKYO MXというローカルチャンネルでの放映で、さほど話題になっていなかった。やはり話題になって取り上げられ爆発したのは劇場公開映画「無限列車編」のところからである。

それまでは存在は知ってたものの、わざわざアニメを見るまでもなく、映画の公開でメディア露出やコラボグッズが増え、そこまですごいなら一度見てみようという感じになったのだ。

そして、せっかく劇場公開で大きな話題になり、社会現象というほどブームになったのに、その続編アニメがいつまでも出てこなかったので人々は存在を忘れてしまった。

わたし自身は原作マンガを読んでいないのだが、原作マンガを読んでいる、わたしが通う美容室の男の子に聞いたところ、「鬼滅の刃」は原作でいうと、あの大ブレイクした「夢限列車編」はまだまだ序盤の話だという。

ストーリー上は、これからが盛り上がりらしいのだ。

そして映画本編は、実はアニメ放映の「続き」から始まり、続編に続く形で終わる。映画作品として別建てしているわけではなく、あくまで漫画の原作に沿ったストーリー展開で、その途中を劇場公開しているだけなのだ。

※鬼滅の刃を見たことがない人のために。

ちなみに「鬼滅の刃」は、劇場公開作品が大きくクローズアップされたが、あくまでこの作品はストーリーの「途中」にすぎない。

そして、なんの予備知識もなく見に行くと、そもそも前提が分からず、完全に置いてけぼりになる。

いちおうここで超ざっくり前提を書いておくと、

物語の主人公、竈炭次郎(かまどたんじろう)の一家が殺されて、唯一生き残った妹は鬼になって、妹を鬼から人間に戻すために修行して鬼を倒す鬼滅隊に入り、妹のねずこは太陽の光に当たると死んでしまうので、木の箱に入れて背負っている。修行中にできた仲間は、臆病すぎて気を失うと本領を発揮してめちゃ強くなる善逸(黄色の子)、猪之助という猪の面をかぶった猪突猛進な仲間、と一緒にだんだんレベルの高い鬼退治をしていく。

という話だ。その前提条件のが分からないと、そもそも話が分からない。

なので、劇場版を見に行った人は、わたしも含めて少なからず「予習」をして見に行って、「続く」で終わって帰ってきているわけだ。

それならなおさら、続編をすぐに観たいというのが視聴者の要望だろう。わたしだってもし劇場公開直後に第二期のアニメが放映されていれば、ちゃんと録画して観たと思う。

もしかしてコロナの影響なのかもしれないが、それにしても準備不足な雰囲気が否めない。戦略的には、劇場公開作品を世に送ったら直後にアニメが始まる算段をしてから映画公開をするべきだったと思う。

この作品は、少年ジャンプに連載されていて、一定の任期は合ったのであろうが、一躍ブレイクしてから飛びついた層は、普段はジャンプなど読まない超ライトユーザーだ。

内容的にも鬼退治の話なので、アニメとはいえ生首がゴロゴロ転がるシーンが多いのに、なぜか幼児が見に行ったりコスプレしていたのもその証拠だろう。わかりやすいコスプレと盛大なあおりで、内容はさておき、ブームに乗っかっちゃった層がかなり多かったのだと思う。

劇場公開が10月だったから、もうあれから半年以上経過していて、やっとアニメ放映が決まった、と言われても、今さら感が出てしまうのは致し方ないと思う。

さまざまなコンテンツが溢れる今日、鬼滅の刃がいくら面白いからといって、ライトユーザーは常々違うものを追いかける。鬼滅の刃をずっと待っていてはくれないのが現実だ。


原因その3:コロナで外出できない人たちの、絶好のはけ口になった

この時期に「鬼滅の刃」が熱狂しすぎたのは、2020年3月からじわじわと広まったコロナ禍にも原因があると思う。一時期は映画館も閉鎖になり、ショッピングセンターや娯楽施設など、生活必需品以外の外出がほぼ実質無理な状態になった。

確かに食料や生活必需品さえあれば死ぬことはないが、人は娯楽も必要な生き物であると個人的には思っているので、この規制はけっこう人が健康的に生きることについて厳しい条件だなと常々思っている。

そのことについてはこちらで書いている。

理不尽だなと思いつつ、遊びに行く場所がないのだからと「今回だけ、今年だけ」と言いながらズルズル規制をかけられ、その割にシレっとオリンピックとかいう世界の祭典をやらかしているのだから、息子の入学式も卒業式も見ることが出来ず、半年ほど休校、運動会は中止や保護者禁止、なのに、なのに、シレっと世界のオリンピックを盛り上げようなどと、本当に言いたいことはいろいろあり、憤懣やる方ないのだが、ここではこの辺でやめておくにせよ、真面目な国民はとにかく不要不急の外出を真面目に控えながらも、この映画が公開された2020年10月当時には、3月から始まった前代未聞の生活規制にいろいろと溜まっていたのだろう。

ちょうど夏休みが明けて、今まであれだけ外出を控えろと言っていたのに、いきなりGoToイートだのトラベルなどと、謎のタイミングでゆるんだ瞬間だった。

映画館も密を避ければ開場オッケーになったものの、目玉作品の夏映画がことごとく延期となり、映画館には行きたいけれど、観たいものがない、という状態だった。

だからこそ、そこにポン、と「面白いと評判の」鬼滅の刃がすい星のごとく現れて、人々の外出したい欲をかっさらっていったのだ。

人は抑圧されるとその反動で派手に動きたくなる。だからこそ、この、鬼滅の刃の柄のマスクひとつでコスプレ感が出たり、登場人物の衣装が着物なので、不器用でも布を買って直線縫いすれば、それっぽい衣装が出来上がったり、なんだか分からないけど、キャラクターが好き、という幼稚園~小学校低学年児とその親まで、なんか弾けたい欲を一気にかっさらっていった。

人々が娯楽に飢えまくっているこのタイミングで映画公開したのが計算だったかどうかわからないが、大ヒットという意味では成功だろう。

ただ、最初に述べたとおりに、ハネる時期が早すぎたことと、続編の準備ができていなかったことで「一発屋」な感じが出てしまったことは否めない。

ちなみに漫画は読んでいないが、アニメと映画を見る限り、ストーリーはしっかりしているし、キャラクターも魅力的。映像もとてもきれいで上質な作品であると思う。だからこそ、こうやってブームとして消費されてしまったことが少し残念だなと思う次第である。

かといって、私もアニメを頑張って観る根性はなく、それよりも自分の好みの映画やドラマを優先してしまうと思うので、話題に上れば観たいなぁと思うかもしれない、程度の状態だ。

だかたこそ、プロモーションを頑張っていただいて、すでに決まっている第2期のアニメもうまいことライトユーザーに受け入れられて欲しいなと思う。

今日もお読みいただきありがとうございました!






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