見出し画像

北海道の観光名所「青い池」を訪れるときに注意すべきこと


北海道の名所「青い池」をご存じだろうか?

画像5

見ての通り、正真正銘「青い」「池」なのだが、

結婚して15年、旦那の生まれ故郷がこの富良野に近い道央にあるため、毎年夏は北海道に行っているわたしが、15年間で一番「観光地化したスポット」認定するのが、ここ「青い池」だ。

今回は、タイミングが合えば息をのむほど美しい景色を楽しめる「青い池」についてのガイドをして行こうと思う。

北海道の映えスポットは、もとは「ただの池」だった


もともとはただの池だったのだが、ご当地テレビ番組や、インスタをはじめとするSNSの普及で、名もない池が超有名になった。かっこいい名前がつく前に有名になってしまったので「青い池」というベタな名前のままだ。

水質の関係で晴天時にはとんでもなく水が青く見え、池の中に林立している木が池の水面に鏡のように映って、とんでもなく映え映えスポットだ。

この写真は、わたしが自分のiphoneで撮影したもので、フィルタなし。
それでもこんなに美しい。

画像1

旦那がこの「青い池」情報を仕入れてきて初めて訪れたときは、じわじわと評判が広まっていた頃で、まだ大きな話題にはなっておらず、駐車場もトイレもなく、とりあえず転がり落ちないようにロープが張ってあるだけの、本当に「ただの池」だった。

初めて行ったときにちょうど晴天に恵まれ、美しい池を見ることが出来たのでいたく感動し、毎年行くたびに訪れていたが、面白いことに、行くたびに施設が整っていき、観光客が増えていた。

ある年には「ここが青い池です」と看板が立った。山間部の途中にあるので目印がない。なので看板だけでも目立つ。その後、インバウンドで外国人観光客が増えたのか、「Blue Pond(青い池)」という英語表記も追加された。ベタすぎる直訳。

またその後に訪れたときには、工事現場にあるような簡易トイレが数個、駐車場(というか空き地)に置かれていた。簡易トイレは臭いし、臭いがこもるし、虫だらけだし、絶対に入りたくなかったので、一番近い道の駅で用を足してから訪れていたが、確実に観光客が増えているのが分かった。

その後、年を追うごとに、空き地はきちんとしたアスファルトの駐車場になり、観光用に順路ができ、青い池の説明の看板もできた。もちろん英語版もある。大きな駐車場にはいつも大型観光バスが止まり、日本人観光客はもちろん、欧米、アジアの外国人の観光客でごった返していた。
 
その後、青い池の景気は頂点を迎えたようで、いよいよキレイなユニバーサルデザインのトイレと、お土産屋さんができた。勢いで作った青い池のマスコットキャラクターのぬいぐるみまで売っていた。

(そしてお土産大好きな息子がまんまと買った、青い池キツネ。)

画像6

一番最近訪れたのは、義父が亡くなり、例のウィルス騒ぎで観光施設が閉鎖されていたころ。池を見るだけなら迷惑にもなるまいと訪れたが、閑散としているからこそ、そのピッカピカな観光設備がまぶしかった。


晴天の日には素晴らしい景色だが、ハズレの日は最悪


最近、インスタなどSNSの影響で、映え映えスポットがフィーチャーされているが、青い池を含む「もともとは、たいした話題でもなかったのに、最近SNSで注目されるようになった自然の中にある映えスポット」は注意が必要だ。

なぜなら、映え映えスポットは、多くの場合
「天気に左右される」からだ。

この「青い池」、毎年北海道を訪れていることもあり、何度となく訪れているが、「大ハズレの日」に当たると、青い池も何もあったもんじゃなく、観光スポットとも呼べないような景色になってしまう。


たとえばこの日。5月のゴールデンウィークに、どうしてもわたしの母に青い池を見せたくて、北海道まで連れて行ったときだ。

ネットをしない母は、青い池の評判も知らないまま、「とてもきれいな場所がある」とわたしに連れてこられたのだが、そこで広がっていた景色はこれ。

画像2

ただの池。というか、もはやドブである。

この年のゴールデンウィークは例年になく寒くて、天気もずっと悪かった。滞在中ほとんど雨に降られ、とりあえず行っては見たものの、せっかく連れてきた母は「何が名所?」という不思議そうな顔をして池を見ていた。

無理もない。青い池は、青いから価値があるのだ。
そして事前にインスタやテレビで「こんなに青い!」という情報が入っているからこそ、この山間部の池に訪れるわけで、遠路はるばるただの池に連れてこられた母は「ふーん」という顔をした。

どうにか、「あなたが見たのは、青いときには、めっちゃ青い池なんだよ」と知らせたくて、最寄り駅の道の駅に寄り、最高に映え映えな絵葉書を見せ、「さっきの池は、晴れていたらこんな感じなんだよ」と説明し、釈然としていない母に、きっとお友達は知っているからと、無理やり「青い池クッキー」を買わせてその場を収めた。

そんな感じで、わたしは毎年北海道に来ているので、ハズレな日に当たっても「まぁ残念」で済んでしまうが、遠路はるばるこの池のためだけに来るのは正直オススメしない。

晴れるまで滞在する、とか根性があればよいが、たいていの場合は日程が決まっている旅行だろう。すると、この池にすべてをかけるのはリスクが高すぎる。

雲のかかりぐあいでも青さがこれだけ違う


11月に北海道を訪れたときは、雪がかかっていて夏とは違ういい雰囲気だったのだが、雲がかかっていて池があまり青く見えなかった。

到着したときには空が厚い雲に覆われていたので、あきらめかけたのだが、彼方のほうに青空が見え始めて、もう少し粘れば青い池が見られるのではないか???と、ぐずる息子をなだめながら、時間をかせいで待ってみた。

雲がかかっているときの池はこんな感じ。

画像3

その1時間後くらい、、、お日様が見えて、こんな光景が!
とんでもなく美しくて、晴れるまでも粘ったのに、この場から離れられず、、、じっとたたずんでしまった。

画像4


天気に左右される「映えスポット」に要注意

青い池の振れ幅を身をもって知っていたため、SNSが広まってから話題になったようなスポットで、かつ自然のものは、天気によって当たりはずれがあるんだな、と思うようになった。

そしてついこの前、徳島、香川にひとり旅した際にも、この「当たりはずれの大きい感」がでかい、父母が浜というスポットを訪れた。

「日本のウユニ塩湖」と呼ばれる映えスポットだ。

父母が浜

公式サイトより。公式サイトはこちら。


晴天の夕焼け、干潮の時間に訪れると、潮だまりに景色が映り込み、ウユニ塩湖のような素晴らしい景色が楽しめる、というものだ。

写真だけ見たらもうとんでもなくすごそうだ。
でもわたしは、青い池の経験があるので、悪天候の場合も心に留めて、旅程に組んだ。あくまで「ついでに寄る」スタンスでないとリスクがデカいし、こんぴらさんのように昔ながらの観光名所は、雨だろうがなんだろうが、すごいもんはすごいし、悪天ならではの良さもあるので、天気でブレることが少ない。

ただ最近はやりの映えスポットは、そういう保険がかからないので、最悪な時は「最悪だったね」で終わってしまって救いがない。

ちなみに父母が浜は、わたしの場合「大ハズレ」を引いた。
厚い雲が空を覆い、晴れる見込みもない。

たどりついた映えスポットのはずの父母が浜は、
普通の潮だまりがある砂浜だった。

普段なら車が停められないほど混むらしいが、
天気が悪いおかげで駐車場も混んでなくて、
いちおう行けたので良かったとする。

肝心の映えスポットは、残念ながら「潮だまりのあるただの砂浜」だったが
手ぶらでは帰れない、という観光客があちらこちらの潮だまりで写真を撮っている。

わたしはひとり旅だったので、撮ってくれる人がいないなぁと思っていたら、趣味で映え写真を撮っている人がいるよと教えてもらい、元教員で退職後にボランティア撮影をしているというそのオッチャンにお願いして、無理やり映え写真を撮ってもらった。

加工なしだと、これだ。
正直、映えてない。
 
てか、水たまりの前で撮っただけなので、感動もないし
ほんと、手ぶらで帰れないって感じだ。
普通の人なら、ここでわざわざ写真を撮らなくても、という感じのシチュエーションだ。 

画像7



でもいまは、アプリで画像の加工など朝飯前だ。
なんかいい感じに仕上げるべく、フィルタをいろいろ試して、映えっぽい写真にしたが、映えスポットじゃなくて、これではフェイクだ。

画像8

ちなみに徳島のゲストハウスで話した宿泊客の方が岐阜出身で、やはり最近話題になっている「モネの池」という映えスポットの近くに住んでいるらしいが、そこも、天気が悪ければただの池。なんでそんなに人が来るのか分からない、らしい。

行かれる方はハズレのときの心の準備もして行こう。

やはり、松島や江の島など、昔から景勝地とされているような地形だったり、鍾乳洞だったり、有名どころというのは天気に左右されにくいので観光名所となったのだと思う。

どしゃ降りの中、こんぴらさん参りをしたが、歴史的建造物なので、それはそれで風情があった。やはり昔からの名所は強い。

昔の人はいまのように簡単に旅行ができないのだから、雨でも風でも素敵な場所じゃないと行こうと思えない。

いまはいつでもどこでも、数分後でも数時間後でも天気予報がわかるし、飛行機だってたくさん飛んでいる。その気になればいますぐ行きたい場所に行ける。

天気に左右されるような映えスポットは、SNSの広がりはもちろん、そんないつでもすぐに行動できる世の中だからこそ広まったものなのだろう。


余談・ちなみに北海道は広い


もうひとつ、毎年北海道に行っているのに青い池ばかり行っているのはなぜかという話をしておこう。


旦那の実家が北海道だというと、9割がたの人に「いいなぁ」と言われる。その「いいなぁ」には、美味しいもの食べ放題、観光し放題、というイメージがつきまとっているのだろう。けれどそんなことはない。

帰省ついでにどこでも観光ができそうな印象を抱くが、全くそんなことはない。北海道はでっかいどう、というだけあって、車で移動できる距離の限界を超えている場所が多い。

旦那の実家が北海道の旭川近く、「歌志内」という道央にある市で、千歳空港から高速をかっとばして2時間程度の場所だ。観光は歌志内から車で日帰りで移動できる範囲か、帰りの千歳空港までアクセスが良い場所の範囲しか日程的にも行けない。

息子が小さいころは、帰省の後半の日程で小樽やキロロ、洞爺湖など観光もしたが、息子が大きくなってからは観光自体を嫌がるようになり、北海道のイオン巡り、とか観光とは呼べない感じのことばかりだ。
 
食べるものは保守的な息子に合わせて、いつも泊っているスーパー銭湯の中にある食堂だし、まあ、北海道の回転寿司はクオリティが高いので、ギリ贅沢と言えばそれが贅沢だ。最近は外食も面倒になって、顧客満足度ナンバー1の北海道ローカルのコンビニ、「セイコーマート」で何か買って宿で食べる、なんてことになっている。帰省という名の訪問なんて、実のところそんなもんである。

まだ南西の先端、函館も、東の端の釧路も、北の果ての稚内も行ったことがない。道央から行くには、飛行機で移動しなくてはならないので大変なのだ。

ちなみにここでこっそり愚痴ってみるが、数年前に義両親が亡くなってからも惰性で行っている。高校を卒業して北海道を離れた旦那だが、故郷が好きすぎる、ということもあり、「わたし、今年は沖縄行きたい」とは言いにくい空気だというのもある。
 
かくいうわたしも高校卒業して進学のために田舎を離れているが、不便すぎて早くここを出たいと思って念願の脱出のため、残念ながら、旦那の望郷の思いはまったく分からない。

まあ、最近は息子が毎年必ず行きたがっていた北海道さえ「そんま暇があるなら家でこってりゲームしたい」という理由であまり行きたがらなくなったので、頻度は徐々に減っていき、旦那が一人で北海道に行くことも増えてきた。いまは例のウィルスのおかげでそれさえなかなか叶わないが、きっと15年間北海道に通ったことも「思い出」に変わるのだろう。

その中で、青い池が「ただの池」から「観光名所」に変わっていく姿をこの目で見られたのは面白い経験だった。

そろそろ北海道から卒業して、自分の足で、自分が行きたい場所に行ってみたい。そういう時期が来たようだ。それはそれで楽しみだ。

最後までお読みくださりありがとうございました!


いいなと思ったら応援しよう!