抗がん剤治療中、実際に1年半ウィッグを使ってみて分かった「ウィッグの選び方」を綴ってみた
4年前に抗がん剤治療で脱毛したときに使ったウィッグ情報について、以前のブログからこちらのnoteに転載したのだが、そのときの記事を読んでみて、実際に選んで使ってみて感じたことについてはあまり触れていないことに気づいた。
頭髪が脱毛するので、何かしら頭を覆うものは必要だ。がんの種類によっては入院して抗がん剤治療をする場合もあるので、それならケア帽子などで事足りるだろうが、乳がんのように日常生活を送りながら抗がん剤治療する人は、やはりほとんどの場合ウィッグを利用するのではないだろうか。
なので、実際に抗がん剤スタートから脱ヅラまで、まる1年半ほどウィッグを使ってみて感じたことを書いていこうと思う。
ちなみに以前掲載したウィッグ情報はこちら。
これの補足情報として書いていくので、参考になれば幸いだ。
1.医療用ウィッグと、おしゃれウィッグの違い
まず抗がん剤治療をすると決まると、いくつかウィッグのチラシをもらうことになると思う。ほとんどが老舗ウィッグメーカーの本格的なものだと思うが、それらは「医療用」と書かれている。
この「医療用」と書かれていると、これを使わなくてはいけないのではないか?という気にさせられるが、別にそういうことではない。
しかも明確な認定基準はなく、おしゃれ用に比べ常用するため、肌あたりや使い心地などが快適ということで「医療用」とうたっているだけ。いちおう独自団体の基準はあるが、法律で定められているわけではない。
※そのあたりの細かい部分はこちらのサイトで詳しいので気になる方は読んでいただければ。
なので「医療用」といっても各社細かい部分は違うことをご了承いただきたい。ここではざっくりした「医療用」ウィッグの話としてとらえていただきたい。
医療用とおしゃれ用のウィッグの違いは、大きく分けて2つ。
1.作り方
2.付け心地
の違いだけだ。
医療用のウィッグは、「ハンドメイド」、おしゃれ用は「マシンメイド」
医療用のウィッグは基本的に「手植え」。
つまり、土台のネットに手作業で毛束をくくりつけて作られている。
一方、おしゃれ用のウィッグは、「マシンメイド」といって、ミシンで伸縮性のあるテープにつけた髪をぐるぐる縫って作ったものだ。
※医療用ウィッグストーリーよりお借りしました
あまりピンとこないと思うが、医療用、つまり手植えなら、かなり薄手の繊細なネットに毛束をつけられるため、涼しいし肌あたりが良い。
逆におしゃれ用だと、一定の分厚さが出てしまうのと、ゴムテープ部分が何重にも重なるため、長時間使用すると、とにかく暑いのと締め付けが気になる。
以前の記事を書いたときは、まだウィッグ生活が本格的に始まっていなかったので、いろいろなお店を見に行って、医療用とおしゃれウィッグの違いも見て試着したのだが、
本格使用するまでは、医療用でなくても良いかなと思っていた。だが、実際に毎日使い始めると、おしゃれ用はとにかく暑い。断然、医療用が良いと思った。
ただし、作る手間はコストに反映される。わたしは医療用でも人工毛のものを購入したので2万程度だったが、おしゃれ用は圧倒的に安くて数千円で買える。
高額のものは結局使っていなかったが、人毛を使っていて自然だし、頭のサイズに合わせて調整もしてくれたりサービスも万全なようだ。
かぶり方とか難しそうだけど、別に簡単ですぐ慣れるので大丈夫
2.ウィッグは人毛がよい?人工毛にする?
ウィッグを選ぶ際にもうひとつ選択肢として「人毛」か「人工毛」かという部分がある。
2-1.人毛のメリット、デメリット
人毛は誰かの毛で作られているので、当然人毛ウィッグのほうが高い。わたしが購入した安めのお店でも5万くらいから、相場はだいたい10万くらい。高額なので、1つ買ってそれを愛用するというスタイルになるだろう。
わたしは人毛のウィッグを使っていないが、選ぶ際に説明を聞いて、メリット、デメリットを知った。
人毛のメリットはとにかく「自然」であること。そりゃ他人の髪の毛なのだから自然に決まっている。限度はあるが好きな色に染めてもオッケーだし、カットしてもオッケー。パーマもオッケー。もちろん人毛ではないので、長持ちもする。
デメリットもまた「自然」だ。なにしろ人の髪の毛なので、個体差がある。だからといって、ウィッグの髪質までは選べないので、たとえばわたしの地毛は剛毛でくせ毛なのだが、わたしのような髪に当たると、クセ毛の剛毛ウィッグが出来上がってしまう。
そしてその個体差のおかげで、染めたりパーマも、仕上がりはその髪に依存するため、思い通りになるとは限らない。そしてもうひとつ、人毛は人毛なので、普通に痛むらしい。さらにくせ毛の人もけっこういるので、せっかくウィッグをかぶるのに、癖があるとスタイリングが必要なそうだ。
わたしはどうも感覚的に、誰のかわからない人の髪の毛をかぶるのが抵抗あったのと、自分の髪がくせ毛で扱いにくいので、ウィッグしてまでスタイリングをしたくないと思ったので、このデメリットを聞いて人毛は辞めた。
良くも悪くも「自然」ということだ。人毛のウィッグをしている人に会ったことがあるが、ウィッグだと気づかないほど自然だったので、やはり自然さを追求したい人には人毛のものが良いのかもしれない。
2-2.人工毛のメリット、デメリット
わたしはどうせ脱毛するならいろんな髪型を楽しんでしまおうと思っていたので、手ごろで髪型も変えられる人工毛のウィッグを使った。
こちらもメリット、デメリットがある。
メリットは当然安価なこと。医療用でも2万円程度で買える。
つけ心地をこだわらないとか、ほんとうにたまにしかつけない人なら医療用でなく、おしゃれウィッグで数千円で買える。
ただし、ドンキとかの安すぎるものは「いかにもウィッグ」でテカテカなので、そこはある程度良いものを買ったほうが良いかと思う。
そして人工毛は使い勝手がよい。スタイリングがいらず、かぶればいつでも完璧な髪型が仕上がる。最近のウィッグは髪型もオシャレなので、自分に似合うものを見つければ、理想の髪型をキープできる。医療用は自分に合わせてカットサービスもあるようなので、気に入ったものがない時でも安心だ。
人工毛、完璧!と思いがちだがデメリットもそれなりにある。一番のデメリットは、傷みやすいというところ。傷み方がいかにも人工毛で、女性なら分かりやすいと思うが、長いこと使っていると、リカちゃんの髪の毛みたいにチリチリになってきてしまうのだ。
もちろんそれなりのお値段がするので、すぐになるわけではないが、抗がん剤治療自体がだいたい半年、そのあと毛が生えてウィッグを脱げるまで半年と考えると、割と長期だ。
わたしは前回の記事のとおり、医療用を2つ、おしゃれ用を3つ購入した。医療用は、普段用のショートボブと、フラメンコレッスン用に結べるロング。おしゃれ用はレイヤーの入ったかわいいロングをたまのお出かけ用に、ときどきショートを楽しみたいのでショート、もうひとつはフラメンコの発表会でお団子が作れるように、前髪がないロングのものだ。
わたしはおしゃれ用のウィッグはパリコレでも使われているという「プリシラ」さんで購入した。平均8000円程度でおしゃれウィッグにしてはしっかりした値段だが、自然だし、髪型も可愛くて、髪の色も豊富。東京は原宿にお店があるのだが、抗がん剤用に使う方も結構多いらしく、スタッフさんに伝えれば個室で試着ができるのでおすすめだ。
さきほど述べたように、人工毛は傷むので、やはり1度以上買い替えが必要になる。私の場合は普段は医療用のボブで生活していて、息子の学校などにもこの髪型で行っていた。ほかのものはたまに使う程度なのだが、なんとかボブのウィッグは最後まで1つで持ちこたえたかったが、このウィッグはさすがに見るに見かねる状態になり、泣く泣く同じ髪型のものをもう一つ買った。
人工毛だと、ロングのウィッグは本当に早く傷む。結んだら結んだ部分が痛むし、結ばなければ毛先が絡まるようになってくる。ロングウィッグで通勤していた友人は、2~3回買い替えていたかと思う。
ロングの方が圧倒的に傷みが早いので、もし抵抗がなければ、できるだけ短めのヘアスタイルが長持ちするのでおすすめだ。短いものは当然軽いので、付け心地も楽だ。
さて、今回はウィッグの医療用とおしゃれ用の違い、人毛と人工毛の違いについて書いてみた。
ほかにもいろいろと書きたいことがあるが、長くなったので今日はここまで。これから抗がん剤をされる方、ウィッグが必要になる方にお役に立てば幸いである。
今日もお読みいただきありがとうございました!
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