ブラジルで黒魔術47
息子にかけられた「赤い糸の呪い」
気付いてからそれを解くまでの家族の物語。
自分用にメモしていたものを編集してます。
-
続き
日曜日の夜までに、
わたしが出した選択肢から、
息子は家族と共に生きる道を選んだ。
後で曖昧にしないため、
紙に書くよう言ったけど、
なんだかんだぶつぶつ言いながら、
結局は何も書かずに曖昧にしたまま、
約束していた親戚の家に出掛けた。
-
外で他の人といるとまるで別世界で、自分たちの抱えてる現実が嘘のように思える。
その日久しぶりに会ったいとこたちと、
楽しく遊んで遅い時間に帰ってきたので、
まるで何事もなかったかのように、
それぞれ床についた。
そして翌朝…
また息子のいい加減な態度と、
ひどい言葉遣いに嫌気が差して、
昨日の約束をきちんと紙に書くよう促した。
そして煮え切らない態度…
虚ろな目でわたしを見返す。
分かってはいるけどどうしようもなく、
わたしはつい…爆発してしまった。
喉がガラガラになるほどの声で叫んだ。
本当に限界だった。
でも自分でも半分演技なのかなと思うほど、不思議と感情は落ち着いていた。
息子に向って「出ていけ」と叫んだ後、
旦那が間に入って息子を連れていった。
わたしは娘を登校させるため、
出掛ける準備をしていた。
(通学路途中にある友達の家まで送って行く)
息子の部屋をチラと覗くと、
彼は自分の部屋の中で、
ベッドに腰かけたままうつむいていた。
わたしはなぜか分からないけど、
「あなたは息子じゃない。
息子じゃないものはここから出ていって。
わたしは息子を取り戻すまで諦めない。
わたしは息子を愛している。」と言って、
彼の頭を抱き締めた。
そうだった。
彼の魂は囚われている。
わたしに悪態をついているのは、
彼の中にいる他の何者かである。
つい忘れて取り込まれそうになるけど、
今度からはきっと
それを忘れないでいようと自分に言った。
息子は静かに涙を流していた。
息子の部屋からそっと離れ、
わたしは急いで娘と共に家を出た。
続く