どうしてそんなに保育士が必要なの?

M:「こんばんは~」
2歳児:「こんばん……」
Y:「こんばんは」
2歳児:「……こんばんは」

 2歳の子どもを相手に、私たちはZoom越しに挨拶を交わした。時刻は既に21時を回っている。早く眠ってほしいとお母さんは思っているはずだが、起きているのだから、仕方ない。

 私たちは笑いながら会議を続ける。ビジネスの話をしていたのだ。

「それは私がやるので、シェアをお願いできますか?」
「はい」

2歳児:「……牛乳飲むの」
T:「牛乳、お兄ちゃんにいれてもらって。ほら、今、お兄ちゃんが飲んでるから」

M:「あ、こら……」
Y:「猫ちゃん(笑)」
M:「そう。今まで眠ってたんだけど、起きちゃったみたいで」

 わいわいにぎやかで、楽しい会議だ。3人で話しているはずなのに、実際には4人と1匹が画面上には映っている。

 会議の場に赤ちゃんや猫がいちゃいけない、なんてだれが決めたんだろう。
 赤ちゃんをおんぶして接客しちゃいけないなんて、だれが言ったんだろう。

 機密保持? 小さい子は文章なんて読めない。
 何に触るかわからないから? おんぶにベビーベッドで済まないなら、職場内に遊べるスペースを囲ってもいい。

 もちろん、オンラインの時代だから、前ほどは必要なくなっただろうと思う。

 それでも集中したいから預ける?
 そういう人もいるのかもしれないけれど。

 一見、当たり前のように行われていることが、私にはかえって不自然に見える。

 最初は、大学時代の塾のアルバイトをする際に覚えた違和感だ。
 大学生であるにもかかわらず、大学生だと言ってはいけない。ありのままの自分で接してはいけない、と言われたことだった。
 だけど、そんなのおかしいと思う。

 ビジネスを効率重視で考えるなら、仕事中に赤ちゃんはいないほうがいいかもしれない。「お客様が神様」と考えるなら、もしかしたら、お客様によっては、赤ちゃんがいたら不快だと思うのかもしれない。

 ……本当にそうだろうか。
 私は赤ちゃんがいたほうが、場が和むと思う。

 不快に感じるのは、その人がその状況を受容できるほど、幸せじゃないからだ。

 でも、その原因をつくったのは何だろう?
 ありのままを認めなかった社会じゃないんだろうか?

 コロナに感染するから?
 でも親が感染したら、どっちにしても、うつるに決まってる。
 それに、保育園にリスクがないとは言いきれない。

 電車が混雑する、というのは一つの言い訳になるだろうか。
 開園時間を考えれば、職場の近くで預けるほうが普通ではないだろうか。

 ペットはアレルギーもあり得るので、一概には言えない。オンライン会議なら、画面に映っても、問題ないと思っている。

 保育の充実が必要というけれど、それ以上に柔軟な考え方のほうが必要だと思う。
 もちろん、ある程度の年齢になれば、親のそばにいるより友だちと遊んだほうが楽しいだろうけれど。

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