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アンブシュアの真似は意味がある?

令和6年5月5日

時々、フルートを学んでいる方々がおっしゃっている話で「⚪︎⚪︎さんのアンブシュア(フルートを演奏する際の口の形)を真似する」という話があるのですが、私は誰かの音色を真似したことがあっても、アンブシュアを真似することは全くやっていませんでしたし、これからもやるつもりはありません。

なぜなら、他人のアンブシュアを真似ることに意味がないと思っているからです。

何故、意味がないかというと、その人のアンブシュアはその人の唇の形や厚さ、そして癖、口輪筋のつき方、身体の筋肉のつき方、骨格、使用している楽器の特徴などが総合的に反映されているものだからです。つまり、どんなにアンブシュアを真似たところで、その人になることはできない、というのが私なりに考えた結論です。

フルートの演奏技術を学ぶ際に、トッププロの演奏を真似る、また音質を真似ることで勉強することもできますが、その際に「自分のアンブシュアを一切変えずに、その音色になるように研究する」ことに意義があると私は考えています。自分のアンブシュアは自分のものです。それは自分の特徴がそのようなアンブシュアになっているということ。なので、真似する相手もそのアンブシュアはできないですし、自分自身も真似する相手のアンブシュアでそのような音色になるとは限らない訳です。

「どうしたら、自分の身体的特徴と自分のアンブシュアでトッププロのような音色になるのか」を追求なさった方が多くのことを学ぶことができます。トッププロのアンブシュアを真似ても、トッププロのような音色にならないのは、身体的特徴や癖が違うために無駄な力みが発生している可能性もあります。

一番良いのは、自分のアンブシュアで一番良い音が鳴るポイントを探すこと。これができれば、良い演奏に近づいていくのではないかと私は考えています。

アンブシュアのコピーをしようと躍起になっておられる方がいらっしゃるようですが、それによって演奏技能が下がってしまうこともありますので、よくよくお考えになられた方がよろしいかと存じます。自分のアンブシュアで良い音が出るというのが、自然なアンブシュアであり一番身体の力みが少ない状態だと思います。他人のアンブシュアをコピーするのは、他人の唇を自分に移植しているようなもので、非常に違和感を感じてしまう不自然なものです。ですので、アンブシュアをコピーした方が良いという情報に飛びつくのは、よくお考えになられてからの方がよろしいかと存じます。

それから、人の真似も重要な練習方法ですが、「守・破・離」をしないと、いつまで経っても自分の演奏が育っていきません。最初の段階で人の真似をして楽しむのは私もやっていましたし、そのような時期はとても大切。ですが、そこから脱して自分の音を磨いていかないと自分の音楽を創造することはできません。クラシック音楽は自由がないように感じる方もいらっしゃいますが全くそのようなことはなく、むしろ演奏者にとってはクリエイティブなジャンルだと私は思っています。

フルートに限らず、どんなことでも技術を身につけるにはインスタントラーメンのように手っ取り早く習得できるというものはありません。地道にコツコツやるのが一番の近道です。時に息抜きしながら根気よく続けて参りましょう。

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