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6月30日に教会で祝うのは
昨日の続き。
1世紀、聖ペテロと聖パオロが活躍していた頃、彼らと同じように命を落とした信者たちが多くいました。そのため、聖ペテロと聖パオロの日の翌日6月30日は、ローマで殉教した人達を偲ぶ日です。
キリスト教徒というだけで憎まれ、敵とみなされていた時代。川の氾濫、干ばつ、疫病、飢饉、地震など、あらゆる厄災は彼らのせいにされていました。
彼らの大量虐殺の引き金となったのが、64年7月16日にローマで起こった大火災でした。都市の多くの部分が被害を受け、さらに放火との噂が流れた時、皇帝ネロはキリスト教徒達に罪を擦り付けます。火災の3日後、彼らを不当に逮捕し、激しい拷問にかけ、残忍な方法で処刑しました。
このことは歴史学者のタキトゥスも著作の中に記しています。
獣の皮をかぶせられ犬に引き裂かれた、十字架にかけられた、生きたまま火あぶりにされて松明のように夜間の照明にされた、など凄惨を極めました。ネロは自分の庭園でサーカス競技として開催し、民衆に交じって楽しんだとの記述もあります。
この火災で焼払われた所にネロは新たな邸宅(黄金宮殿)を作らせ、その装飾がルネッサンス時代のアーティストにインスパイアを与えます。異教をテーマにしたモチーフというのが皮肉です。
しかもこのテーマを描いた作品は殆どが1500年代、君主が自分に逆らうと同じ目に合わせる事を民に伝えるために制作されています。
いずれにせよ、ヴァチカンは時代の波に飲み込まれた人々を忘れないためにこの日を設けています。
今日の作品は、
アレッサンドロ・アッローリ 「一万人の殉教者たち」 1574年 サント・スピリト教会
です。
フィレンツェにいらっしゃる時の参考になさってみて下さい。
※現在、サント・スピリト教会内は撮影禁止です。
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