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豹変す

マレーシアで、Covid-19によるMovement Control Order「活動制限令」が発令されたのは、昨年の3月18日だった。あの日からちょうど1年。方向転換をせねば前進不可能ということを認めることにした。

愛猫3匹に「すぐに戻ってくるからね、お留守番お願いね」とギュッと抱きしめながら話しかけ、キャメロンハイランドの山の上の家に置いてきてから数えて、10カ月が経過した。その間ずっと、必ず戻って止まってしまった時を取り戻すようにリスタートしようと心に決めて毎日を過ごしてきた。

とはいえ、再入国できる日を今か今かと待つのは、昨秋に掛かる頃に形だけに切り替えていた。申請してあと僅かで取得、というところにたどり着いていたビザは、管轄官庁の変更に基づき長期ビザ自体の見直し、という理由で、儚くもゼロからのやり直しという連絡を受けた。書類やお金(!)を準備したあの日々は何だったのだろう?とは今更考えることもなく、ああそうなのか、というふうに受け止めた。不可抗力、自力だけではどうしようもない、ということもあるものだ、とか、タイミングや判断ミスはすべて自分の責任、という気持ちの方が勝ったのだと思う。コロナのバカ、ではなく、自分がバカだったと考えた。

そこにちょっとした試験の情報が舞い込み、よしこれに一発掛けてみよう、とン十年ぶりに試験なるものを受けてみた。一次のペーパーテストを通過し、一瞬浮かれたが、これまた儚くも二次試験で落ちた。こちらは、本当の落選理由はさておき、そもそも動機不純ですよね、はい、と心の中で失笑。自分がバカagain。

それから、マイナスの気温になる山荘で冬を越し、半世紀の誕生日が過ぎ、梅が咲き、様々な種類の桜も開花。摘みたてのフキノトウをたらふく食べて、突然思い至った。行き止まりの道のどん詰まりに向かって足踏みしていたのではないか?そうだ、方向転換だ。虫たちも穴から出て、若芽も吹き出した。歩みを止めてはいけない。すぐに出来ることは少ないが、歩む方向を変えることだけを、まずは決めた。幸い、この「籠り」生活のおかげで身体も精神も、これまでになく健康、新しい経験も沢山積んでいる。

私は止まらない。

とだけ書き記しておくことにする。



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