デート日和(悠と陽希)
季節外れの雪景色。
内側から見ていてもワクワクするほど寒そうだ。
アパートの狭いベランダも白く染まり、小さな雪だるまくらいなら容易に作れるだろう。
遅めの朝ごはんを食べたら、近くにある公園にでも行きたい。
そこならきっと、もう嫌と言うほど雪があって、遊び尽くせるに決まっている。
1人計画を練りながら、横目で布団と仲良くしている恋人を確認。
さっき一緒に目覚めたはずなのに、おはようの後、さむっ…と言ったきり、会話は続かなかった。
さて、どうしたものか。
私は外で一緒に遊びたい。
でも悠は外界をつまみにゲームでもやりたいだろう。
今日の交渉は難儀だな…。
一先ず布団から出てきてもらうため、こたつに電源を入れた。
「悠、もうすぐ朝ごはんできるよ?」
「…んん」
「コーヒーも淹れたし、こたつも、あったかいよーー」
甘い誘いに導かれるように布団から出ると、寝起きとは思えない俊敏な動きでこたつに潜り込む。
「どう?」
「…天国。ありがとう」
本当に幸せそうな顔をしている悠の前に朝食を並べ、こたつにお邪魔する。
「今日ね、雪なんだって」
「どおりで…寒いわけだ」
「ベランダもね、積もってるよ」
それを聞いた悠がコーヒーを啜りながら外を確認し、ほぉ…と息を吐いた。
あれ、意外と雪に興味ある感じかな。
「積もるなんて、久しぶりだと思わない?」
「確かになぁ…ゲーム日和だ」
あーやっぱり、外行くのは嫌か…
少し期待した分、返す言葉がすぐに出てこない。
「…アイス食べたいな」
「え?」
理解できずに思わず聞き返す。
「ゲームやりながらこたつでアイスとか最高じゃない?」
「でも、家にいまアイスは…」
「買いに行くか」
驚きすぎて最早、何も言えない。
「間を取って、コンビニまでのデートで手を打つのは、どうでしょうか」
照れ隠しからか、丁寧なお誘いに、首がもげるほど頷く。
わかった、わかったと笑い出した悠を見て、少し調子に乗りたくなった。
「ちょっと遠回りしてもいい?」
「…ハーゲンダッツ、買ってもいい?」
交渉成立。
こたつの熱を逃さないよう、素早くダウンを着て、仲良くデートに出掛けた。
おわり。
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あとがき
リクエスト企画「一言お題」の第一弾。
実は、spoonの配信でもお題を募集しました。
今回のお題は「こたつ」です。
いかがだったでしょうか。
こたつでアイス食べるの、私も大好きです。
夏に冷房効いた部屋でお鍋食べるのも、同義だと思ってます。
さて、明日か明後日か、頭の中で登場人物がグルグル動き出してくれたら、頂いた新しいお題で、また書きたいと思います。
noteでも「一言お題」募集しています。
作品にコメントしていただいても大丈夫ですが、企画概要の記事もありますので、そちらにコメントしていただくのが嬉しいです。
では、また!
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