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成果や結果ではなく自身が成長したプロセスに重きを置く、「プロティアンキャリア」の効果と先行研究について

私は現在、立教大学大学院のリーダーシップ開発コースの修士2年生です。2年次の秋学期の授業で「キャリアとリーダーシップ」という授業があります。

その授業で、さまざまなキャリアの概念を調べてまとめ、発表するという機会があります。

私は「プロティアンキャリア」を選び現在色々と探索中です。前回は、「プロティアンキャリア」とは何かについてまとめました。

今回は、プロティアンキャリアの効果と先行研究、プロティアンキャリアを促進するステップについてまとめたいと思います。

プロティアンキャリアは成果や結果ではなく、自身が成長したプロセスに重きを置きます。

参考文献:新版 キャリアの心理学【第2版】―キャリア支援への発達的アプローチ―



先行研究

プロティアンキャリアですが、以下のような効果があることが先行研究でわかっています。

・プロティアン・キャリアのマインドセットを持つ従業員は、自分自身のために現実的で挑戦的で達成可能なキャリア目標を設定することに意欲を持っている。これは、仕事活動に対する内在的な興味の増加により、より高い内在的なキャリア成功と優れたタスクパフォーマンスをもたらす可能性がある(Deci and Ryan, 2008 )。

・プロティアン・キャリアのマインドセットを持つ従業員は、キャリアの自己マネジメント行動を示し(De Vos and Soens 2008 )、それは現在の仕事の要求に応じて客観的なキャリア成功に変換される。プロティアンな個人は、予測不可能なキャリア状況においてより適応的で楽観的である(Hall 2002 )。

・プロティアン・キャリア態度と給与や自己効力感、積極的な性格との間に正の関連を見出している(Abele and Spurk 2009b )。

そもそもプロティアン・キャリアは、組織によってではなく個人によって形成されるものなので、意欲や楽観的、自己効力感に繋がり、それが仕事の成果として結びつきやすいということがわかります。

「プロティアン・キャリアかどうかはどうやって測るの?」と思われた方は、プロティアン・キャリアの尺度については前回のnoteにまとめてあるので、よければ参考にしてください◎

プロティアン・キャリアを促進させるステップ

では、プロティアン・キャリアを促進させるステップにはどのようなものがあるのでしょうか。

Hallがプロティアン・キャリアを促進する10のステップというものを提唱しているので、そちらを紹介します。

1. キャリアを有しているのは個人であるという認識。
2. 個人が発達の努力をするための情報やサポート。
3. キャリア発達は関係的なプロセスあることの認識。
4. キャリア情報、アセスメント技術、キャリアコーチング、キャリアコンサルティングの統合。
5. キャリアサービスやキャリア契約に関して、従業員と充分なコミュニケーション。
6. キャリアプランニングではなく、仕事のプランニングを促進。
7. 人間関係や仕事を通じての学習促進。
8. キャリアを発達させる仕事や人間関係の介入促進。
9. 学習者としてのアイデンティティ重視。
10.仕事やチームやフィードバックやメンタリングなどの発達的関係の活用。

「新版 キャリアの心理学【第2版】―キャリア支援への発達的アプローチ―」
p179より抜粋

まず、「キャリアを有しているのは個人である」という認識が一番目なのが興味深いなと思いました。

この認識から、プロティアン・キャリアは始まるということですね。そう考えると、プロティアン・キャリアというキャリア形成モデルを学ぶということは結構、大事ですね。

大学院の同級生と議論していた時に、「そもそもゆかっちってプロティアン・キャリアになろうと思ってた?」と問われて、私はどちらかというと独立して、プロティアン・キャリアの考え方じゃないとやっていけない(仕事を取ってこれない)から、気づいたらプロティアン・キャリアだったかも…というような話をして、面白かったです。

なろうと思ってなれる、という視点と環境的にならざるを得なかった、という視点がありそう。

ここら辺もまたどこかで考察は書きたいと思います。


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