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事例研究とは何か?

事例研究という言葉を聞いたことがありますか?日常ではあまり聞き慣れた言葉ではないかもしれません。

事例研究とは、文献調査やフィールドワークなどによる研究手法のことを指します。 分析手法には、定性的分析と定量的分析があり、この2つは分析における両輪とも言えるものです。 事例研究は定性的分析に当たります。

一方で、事例研究自体は質的な手法と量的な手法を併用できるアプローチとも言われています。(例:事例研究において調査票調査とインタビューを組み合わせるなど)

事例研究について、下記の本を元にまとめていきたいと思います。


事例研究とは

事例研究を、本では下記のように定義しています。

事例研究とは、ある特定の出来事や主体を丸ごと分析するものではなく、学術的な観点、特に理論への貢献という点から有意義な側面を取り上げて研究するものである。

『社会科学の考え方』

全てのデータを使うわけではなく、あくまでも理論の貢献を視点に、取捨選択するということだと理解しています。

また、事例研究は、「どのように」「なぜ」という問いおよび探索的に「何が」を問う研究に適していると言われています。

実験とサーベイとの比較をすると、わかりやすいですね。

『社会科学の考え方』より抜粋

事例研究の種類

事例研究は、事例を選択する必要がありますが、そもそも事例研究には種類があります。ここでは、単一事例研究と複数事例研究に分かれています。

『社会科学の考え方』より抜粋
事例の選び方の特徴

単一事例と複数事例の選び方にはそれぞれ重要な視点がありますが、今回は事例研究とは何か、という説明を中心に行うので、ここでは割愛します。(詳しく知りたい方はぜひ本書をお読みください!)

理論的一般化と自然一般化

質的研究論文の考察の最終節「研究の限界と今後の課題」の箇所に、「本研究では研究参加者の人数の少なさや特性の偏りから、本研究で得られた結果を一般化することはできない」というような文章を見ることがあります。

この本でも、事例研究の事例は一般的に当てはまることの難しさを説いています。

事例研究における事例は、統計的な標本抽出の論理で選んでいるわけではないため、その事例の「母集団」を代表しているわけではない。そのため、前者から得られた知見がそのまま後者において一般的に当てはまると考えることはできない。

『社会科学の考え方』

一方で、事例研究は「理論的一般化」と「自然的一般化」という形で一般化を行なっているとも説いています。

この本の中では、理論的一般化とは、理論への貢献を通じて行う一般化のことで、自然的一般化とは、詳細な事例研究を読み、自分の経験と照らし合わせることで読者自身がなんらかの一般化を行うことを言っています。

ちなみに、一般化することは、普遍化することとは異なり、自然科学的な一般化に適さないことイコール事例研究の欠陥ではありません。

なんらかの形での一般化や理論への貢献を志向することが、学術的な事例研究においては重要になる、と言われています。

理論に事例研究がどのように貢献するのかなど、詳細はこの本にしっかり説明されているので、このnoteを読んで「事例研究についてもう少し知りたい!」と思った方はぜひ手にとって見てもらえると良いかもしれません◎


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