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自律的なキャリア意識に必要な、プロティアンキャリアとは何か?
私は現在、立教大学大学院のリーダーシップ開発コースの修士2年生です。2年次の秋学期の授業で「キャリアとリーダーシップ」という授業があります。
その授業で、さまざまなキャリアの概念を調べてまとめ、発表するという機会があります。
私は「プロティアンキャリア」を選んだので、今回はそちらをまとめてみようと思います。
参考文献/論文:
・プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
・自律的なキャリア意識がキャリア・サクセスに与える影響 ―「企業内マイクロ・データ」と「質問紙調査」の統計分析
プロティアンキャリアとは?
プロティアン・キャリアとは、Hall(1996, 2002)によって提唱された概念です。
企業組織と個人の心理的契約が変化して組織ではなく、個人が主体的にキャリア形成に取り組み、他者から評価されることよりも、個人の仕事における満足度や成長感などの心理的成功を目指す自己志向的キャリア、そして移り変わる環境に対して変幻自在(プロティアン)に適応していくキャリアのあり方を意味します。
従業員の自律的なキャリア意識のためにはプロティアン・キャリアを形成する上で、アイデンティティとアダプタビリティの2種類のコンピテンシーが必要だとされています。
変化に対応するときに自分自身を見失えば、自らの価値観で判断できずに変化に流されることとなるためにアイデンティティは必要になり、その一方で、外的な変化に対応する上では適応力が求められることになります。
つまりプロティアン・キャリアは
・キャリアとは変化に応じて個人にとって必要なものに変更できる
・キャリアとは組織の中ではなく個人によって形成される
という2つのポイントにまとめられます。
伝統的キャリアとプロティアン・キャリアの違い
伝統的キャリアは、組織が主体者であり、昇進や出世が正しいという価値観がベースです。
一方、プロティアンキャリアは成果や結果ではなく、自身が成長したプロセスに重きを置きます。
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プロティアン・キャリアは地位や給料よりも、仕事のやりがいや達成感などの心理的成功に重きを置いているんですね。
プロティアン・キャリアの尺度
Briscoe et al.(2006)がプロティアンキャリアの尺度、14項目を開発しています。オリジナルと日本語版を掲載します。
オリジナル
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日本語版
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プロティアン志向かどうかを測定する2つの軸は、
「外発的要因ではなく価値観主導(Values-Driven)かどうか」と
「自身のキャリアを自分でコントロールしていると感じる度合い」であることがわかります。
先行研究からも、プロティアン・キャリアといった個人の自律的なキャリア意識を持つことは、個人にとってだけではなく組織にとっての満足感にもつながるとしています。
プロティアン・キャリア志向は、人にどのようなポジティブな効果をもたらしているのかはまた次回、まとめようと思います!