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暗黙のリーダーシップ理論:リーダーが行動しても、フォロワーが認知しなければリーダーシップと認知されない!?

「暗黙のリーダーシップ論」というものをご存知ですか?

暗黙のリーダーシップ論とは、フォロワーが自らのリーダーシップのイメージに合致する言動をする人を、リーダーシップのある人と認知する、という考え方のことを言います。

フォロワーがリーダーの行動を観察する際、観察結果からリーダーシップを直接的に認知するのではなく、フォロワー自身が持つ暗黙的なリーダーシップ理論の影響を受けて認知するということになります。

今回は暗黙のリーダーシップ理論についての論文をまとめていきたいと思います。

論文名:
暗黙のリーダーシップ理論がフォロワーのリーダーシップ認知に及ぼす影響/小野善生さん

この論文では、暗黙的リーダーシップ理論のこれまでの先行研究がレビューされ、今後の可能性について論じられています。


暗黙のリーダーシップ理論に関する研究アプローチ


Schyns and Meindl(2005)は、暗黙のリーダーシップ理論にまつわる諸研究を因子分析法(factoranalystic research)、情報処理(information processing)、理論の内容(contents)、一般化(generalizability)、予測可能性(prediction) という6つの研究アプローチに分類しています。

『暗黙のリーダーシップ理論がフォロワーのリーダーシップ認知に及ぼす影響』より抜粋

この論文では、Schyns and Meindl の分類に基づいて、代表的研究に加えて関連る諸研究も踏まえて暗黙のリーダーシップ理論についてフォロワーによるリーダーシップ認知の関連から検討することを目的としています。

先行研究ポイントまとめ



先行研究の全てを明記することは難しいので、私が特に重要だと思ったポイントについてまとめていきたいと思います。

①Lord(1985)の研究


フォロワーがリーダーシップを認知するにあたってどのような情報処理がなされているのかというと、フォロワーのリーダーシップの認知では再認過程(recognition- based process)と推論過程(inferential processes)との2種類の認知過程があるとされている。フォロワーはリーダーの業績情報に基づいてリーダーシップを原因帰属している。

再認過程リーダーによる何らかの働きかけがリーダーシップを認知するためのきっかけとなる。そのリーダーの行為に対してフォロワーは、リーダーシップを発揮しているかどうかを判断する。その際にフォロワーは、自らが有する暗黙のリーダーシップ理論に照らし合わせる。結果として、フォロワーはリーダーの行為に対して自身の暗黙リーダーシップ理論に適合する場合にリーダーシップを認知する。

推論過程フォロワーはリーダーにまつわる出来事を何らかの媒体を通じて知ることによってリーダーシップを認知する。リーダーにまつわる主な出来事としては、組織的な成功や成果が得られたもので、いわゆる組織内の神話、伝説または武勇伝として語られる物語のようなものを指す。再認過程─自動的処理過程のパターンは、リーダーの何らかの行為に対してフォロワーが無意識にリーダーシップを認知するということである。

・フォロワーはリーダーの業績情報に基づいてリーダーシップを原因帰属しているということである(Phillips and Lord, 1981)。

二過程理論
認知タイプにおいては、自動処理過程(automatic processes)と統制過程 (controlled processes)という2つのタイプの情報処理過程が存在する。二過程理論とは、人間の情報処理過程において情報処理を無意識的に行う自動的処理と意識的に行う統制的処理とを区分して捉える議論である。

自動処理過程によるフォロワーのリーダーシップ認知とは、フォロワーがリーダーシップを認知しようとリーダーの何らかの行為に対して意図的に努力をすることなくリーダーシップが認知される場合である。
統制過程によるフォロワーのリーダーシップ認知は、フォロワーがリーダーの何らかの行為に対してリーダーシップを認知しようとする意思がある場合のことを指す。

再認過程─自動的処理過程のパターン


リーダーの何らかの行為に対してフォロワーが無意識にリーダーシップを認知するということであり、たとえば、リーダーとフォロワーが顔を合わせることが多い現場で見受けられる。

推論過程─統制過程のパターン


特定の出来事を通してフォロワーが意図的にリーダーシップを認知する。具体的には、リーダーとフォロワーの対面の機会が少ないトップと一般社員とのやり取りで見受けられる。推論過程では、一般社員であるフォロワーはトップの逸話や成功物語によってリーダーシップを認知する。そこには、リーダーとフォロワーの直接的な相互作用はない。
トップ・マネジメントに対する一般社員のフォロワーによるリーダーシップ認知においては、推論過程─ 統制処理のパターンがよく見受けられる。

②Meindl and Ehrlich(1987)の研究

リーダーシップの原因帰属と組織のパフォーマンスの関係性について調査を行っている。(調査の詳細は論文参照)

リーダーシップを推論する一般的な傾向を規定する要因については、因子分析の結果、説得力(potency)、信頼性(reliability)、確実性(certainty)、判断力(evaluation)という4つの因子が抽出された。これらの4つの因子は、リーダーシップの原因帰属の強さと相関しており、信頼性が最も明確に関係していた。

人々にとってこれらの要因はリーダーシップに固有の特性であると認識されているということであり、これらの要因はそれ自体でリーダーシップの特性として存在するのではなく、きっかけとなる出来事との因果的な連鎖で生成され、リーダーシップの原因帰属へと至るというものである。

③Offermann, Kennedy, and Wirtz(1994)の研究

Offermann, Kennedy, and Wirtz の調査では、暗黙のリーダーシップ理論の構成要素として、感受性、献身、圧制、カリスマ、魅力、男性性、知性、強みという8つ因子を導き出した。また、これらの因子は、調査協力者の所属先や性別に関係なく共通するということが指摘された。


学びと気づき

暗黙的リーダーシップ理論は、この論文を読むまで私もしっかり理解はできていなかったのですが、読むことによって実践としても活かせそうだなと思っています。

再認過程と推論過程の両方を考慮し、リーダーの行動やエピソードを通じてリーダーシップを効果的に伝えることが、フォロワーの認知を高め、組織のパフォーマンス向上にも繋がります。

また、二過程理論に基づく自動処理過程と統制過程を理解し、日常的な接触や意図的なコミュニケーションを活用することで、リーダーシップ認知の強化も期待できます。

リーダーのリーダーシップの認知がフォロワー次第だとしたら、「自分はこんなにリーダーシップを発揮している!」と思って行動していても、フォロワーからは「あのリーダー、全然リーダーシップ発揮してないよな」と思われている可能性もあります。

だからこそ、フォロワーがどんな行動をリーダーシップと認知しているかということを理解しておくことは重要だと感じます。


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