自分の持っている知識や視点を引っ張り出して「聴く」ことは、楽なのである。
私自身、産業カウンセラーの資格を取得して3年ほど経ちます。
人と話していると、ふとした時に「私は人の話をちゃんと、聴いているのだろうか」と思ったタイミングがありました。
例えば、誰かが話しているときに「これってこういうことだろうか」と自分の中で先に結論を出そうとしていたり。
誰かの意見を聞いて「私は、違うと感じるかも」と思っていたり。誰かが話している時に、次の質問を考えていることもありました。
目の前の人が話をしていることに対して、自分の考えや意見を横に一旦置いて、全集中して聴いていることって最近あっただろうか、と。
そんな気づきから、松木さんの「耳の傾け方」を参考に、もう一度カウンセリングを勉強し直しています。
この本の中では、「聴く」には2種類あって、能動的に聴く姿勢と受け身的に聴く姿勢があると述べています。
そして、能動的に聴く姿勢には、こんなステップがあると言われています。
特に、①と②はあらゆる聴き方の基礎を形成する2つだと言われています。以下、詳細を記します。
①語り表されることをそのまま受け取り、そのままついていく
聴きながら、語っている他者の世界に我が身を置き、その人自身になりきることです。傾聴しつつ、観察しつつ、クライエントの立場と思いに添う行動のことを言います。
英語で、「put oneself in someone's shoes」と表現することもあります。訳すと、他者の靴に自分の足を入れてみる、ということ。
また、この時、合槌や頷きは挟むとしても、できる限り言葉を挟まない。反応してつい言ってしまった、感情が高まってつい言ってしまった、ということを極力しないことが重要と言われています。
②離れて、客観的に聴く
「....とこの人は思っている」「と、この人は体験しているのだ」というクライエントの語ったことばを括弧に収め、「」の分だけ離れたところからその人を見る視点を併せて持つことを言います。
クライエントが語っているところを主観的な事実と認識する視点も保持するところに留まることであって、そこに私たちの常識や知識を持ち込んで比較対照することではないのがポイントになります。
この2つの基礎を見返した時に、「基礎がいかに難しいか」ということを改めて感じました。
特に①そのまま受け取るという行為は、合槌や頷きは挟むとしても、できる限り言葉を挟まないことが重要と言われています。
人の話を言葉を挟まずにちゃんと最後まで聴いたのっていつだろう、それこそ産業カウンセラー講座のペアワークからやれていないかも….なんて考えていました。(ペアワークの時に、先生から「原田さんは質問しすぎです。もう少し待ちましょう」とフィードバックされたことを思い出す….)
それほど、人の話を聴くってできているようで、実はできていない。相手の話に対して、自分の聴きたいことを質問していたり、間を埋めるために何か言葉を発したり、相手に気づきを与えようなんて思って質問したり、ということを人は無意識にしてしまっている時もあります。
②客観的に聴くという行為も、人の話を聴いた時に、すでに持っている自分の知識や視点を引っ張り出しては「これはこうなんじゃないか」「こうだろう」とジャッジをすることって、人の話を聴いていることにはならないんですよね。
自分の持っている知識や視点を引っ張り出して聴くことって、自分の知っている世界で考えるから楽なんです。でも、カウンセリングは、相手の世界に浸って耳を傾けること。相手の世界に浸るから、ちょっとしんどい。でも、そのちょっとしんどい、をあえて専門的にやるというのが臨床心理の世界である、と「耳の傾け方」の著者の松木さんは言っています。
自分の視点、世界から相手の話を聴くということは、「聴く」とはちょっと遠い行為なんですね。
自分の視点や考えが出てきたら横に置いて、相手の話だけに耳を傾ける、という姿勢が大切です。何度もいったり、きたりですね。
特に今週は、せっかく学び直して記憶が呼び戻されてきたので「聴く」を徹底的に意識してみる、をテーマに過ごしてみようと思います。
次回のnoteでは、次のステップの、③私たち自身の体験、思いとして味わい聴く、④同じ感覚にあるズレを細部に感じ取るについてまとめます。
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