組織全体で看護実践のリフレクションに取り組んだ組織変革の効果に関する研究
今回は「リフレクション」をテーマにした論文をまとめます。
そもそもリフレクションとは何か。様々な文献で定義をされていますが、(DEWEY 1910)の定義を紹介します。
具体的には、人は自らの経験を思考し、課題に対する解決策を見出し、次の経験へと活かすことで熟達していきます。これは、行為から知を形成するプロセスともいわれます。
このリフレクションを、個人ではなく組織全体で取り組むことを特徴としている論文です。
論文名:組織全体で看護実践のリフレクションに取り組んだ組織変革の効果に関する研究/鈴木康美
研究目的
この研究は、看護師が個人レベルだけでなく組織全体でリフレクションに取り組むことで、組織文化やチームワーク、看護の質がどのように変わるかを明らかにすることを目的としています。
リフレクション活動の実施
組織内でリフレクション活動を定期的かつ体系的に行い、看護師一人ひとりが日常の実践を振り返り、改善や自己成長の機会とすることが重視されています。リフレクションは、個人やグループでの振り返りセッションやケーススタディ、フィードバックの場を通じて実施されました。
研究デザインと分析手法
修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)
M-GTAの手順に沿って逐語録を熟読し、分析ワークシートを作成。分析焦点者は看護実践のリフレクションを導入、支援した看護部長らとしました。分析テーマは「リフレクションを導入したことで、支援者である看護部長らにどのような変化があったか」とし、継続的比較分析を実施。生成された概念間の関係を考え、カテゴリーを検討し、その変化や動きから分析結果をまとめ、結果図を作成しました。
結果図
17の概念、4つのカテゴリー、1つのコアカテゴリーが生成されました。
考察
・組織全体でリフレクションに取り組むことで、看護師が自身の実践に対する理解を深め、ケアの質向上に対する意識が高まりました。これにより、患者のニーズに対応する質の高い看護が提供されるようになり、看護の質が向上する傾向が見られました。
・リフレクションを通じて、看護師同士のコミュニケーションが活発化し、チームワークが向上しました。組織全体でのリフレクション活動により、意見交換やフィードバックが促進され、互いの視点や経験を共有することで信頼関係が強化されました。
・看護師がリフレクション活動を行うことで、自らの経験から学びを得て自己成長する意識が高まりました。また、リフレクションを通じて自己効力感が向上し、エンパワーメントが促進されました。これにより、看護師は積極的に自分のケアの改善に取り組むようになりました。
・リフレクションが組織文化の一部となることで、組織全体の学習や改善を重視する文化が醸成されました。看護実践を振り返り、学びを共有することが組織の価値として認識されるようになり、継続的な成長と改善が組織全体で支持される風土が生まれました。
こうみてみると、リフレクションはさまざまな効果があることがわかります。リフレクションが大事だと分かっていても、定着が難しかったりするんですよね。またどこかで、リフレクションを定着するには?についてもまとめたいと思います。