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ソーシャルサポートは、個人のもつ達成動機の質によって活かせるかが変わる!?


自身の修士論文に、ソーシャルサポートが関わってきそうなので最近はもっぱらソーシャルサポートの論文を漁っています。

今回は、抑うつとソーシャルサポートとの関連に介在する達成動機について研究した論文についてまとめていきます。

論文名:抑うつとソーシャルサポートとの関連に介在する達成動機の要因/堀 野緑さん、森和代さん


研究目的

ソーシャルサポートと抑うつとの関係には、達成動機が介在すること、しかも※「競争的達成動機 」 と「自己充実的達成動機 」は異なった介在要因となること、の2点を明らかにすることを、本研究の第1の目的とした。

※「他者をしのぎ、他者に勝つことで社会から評価されることをめざす達成動機 」、すなわち 「競争的達成動機 」 もう1つは「他者・社会の評価にはとらわれず、自分なりの達成基準への到達をめざす達成動機 」として、「自己充実的達成動機」 とする。

p309より抜粋

落ち込みと抑うつの2側面とソーシャルサポート、及び、その介在要因である2つの達成動機(「競争的達成動機」と「自己充実的達成動機」)との関係を明らかにすることを第2の目的とする。

以下の尺度を作成し、その信頼性を検証することを目的とする 。
1.達成動機測定尺度
2.「 抑うつ」測定尺度
3.「 落込み 」測定尺度
4.ソーシャルサポート測定尺度

ソーシャルサポートと効果

久田(1987)は、ソーシャルサポート研究の主張をまとめて「ある人を取り巻く重要な他者(家族、友人、同僚、専門家など)から得られるさまざまな形の援助(support)は、その人の健康維持・増進に重大な役割を果たす」と記述している。

実際、ソーシャルサポートを多く受け入れている人は、抑うつ感に陥ることが少ないという多くの知見が得られている(Schaefer , et al,1981;Bell,et al,1982;Billings,et al,1983;Billings& Moos,1984)。

仮説

(1)自己充実的達成動機が高い人は、ソーシャルサポートを活用して、「抑うつ」に陥ることはない。
(2)競争的達成動機が高い人は、ソーシャルサポートを有効に活用できず、「 抑うつ」に陥ることがある。

方法

予備調査によって、作成された尺度(自己充実的達成動機測定尺度、 競争的達成動機測定尺度 「抑うつ」測定尺度、「落込み」測定尺度、ソーシャルサポート測定尺度、ソーシャルサポート測定尺度)を1987年11月、都内近郊の大学生男女245名(男子140名 ・女子105名)に 実施した。

結果・考察

1.自己充実的達成動機が高い場合は、日常的な落込みを感じることがあって も、抑うつを形成しにくい。
2.競争的達成動機が高い場合は、落込みやすく、また抑うつを形成する場合 もある。
3.落込み・抑うつとソーシャルサポートとの関係には、その個人の達成動機 の質が介在する、というものである。

この研究結果から、すべてのソーシャルサポートが個人の抑うつ形成に対して効果をもつわけではないということがわかりました。

個人のもつ達成動機の質によって、自分に対するソーシャルサポートをいかせるかどうかが異なるということを考えると、達成動機の質を自己理解すること、他者理解してもらうことも重要だと思いました。

達成動機には2種類ある、というのも面白かったです。

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