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少し心が悴むような

少し悴むような、素足のまま履いたヒールが冷たい1月、AM01:00
1か月前に付き合いだした年下の彼氏の不満を話した友人から教えてもらったSDカードリーダーを求めてこのご時世のこの時間に深夜も営業してる量販店に向けて出歩いている。カメラを最近始めた。彼のことを考えないため、別にそれだけじゃないけれど。


目の前から手をぶらぶらと振りながら歩いてくるカップルに羨ましさと切なさ乗せて煙草の煙を吐き、ただコツコツと歩みをすすめる。
静かで車の音しか聞こえない大通りを薄いパジャマにダウン、黒いヒールという分からない格好で歩きながら悴んでいく指に嫌気を感じる。煙草を携帯灰皿に入れ、ポケットにそれを仕舞うと同時に冷たい手を収めた。


夜の街にぼーっと眺める。温かみのある橙色の街頭に昔のことを思い出した。
祖父母宅にいくのに深夜の高速道路をよく父は利用していた。眠気に抗いながら、普段起きれない深夜、背徳的な外出に心を踊らせていた。長時間の車旅、景色の変わらない高速道路、父セレクトの音楽と道路交通情報、トイレ休憩のサービスエリア。今なら片手に収まる娯楽だらけの機械で暇を潰すだろうが、当時はただの道でも楽しかった。サービスエリアではトイレだけなのにはしゃいでいた。大半の時間を、ただいくつもある橙色の街頭を目で追いながら、希少な夜を楽しんでいた。


懐かしい

白い息を吐きながら幼心に思いを馳せる。いつの間にか、もう目的地だ。

あぁ、久しぶりに楽しい夜だな。大人になって夜更かしは当たり前になった。自分にも他人にも悩み、友人と悪口や不満を話して気を紛らわす。寝る前はまた一人で気を病む。

なんて寂しいんだろうか。少女の頃のきらきらとした好奇心をもう一度なんて、女になった私にとって喉から手が出ても手に入らない。あの頃とは違う、そんな私も好きだけれども。


純粋に信じる、欲する気持ちが黒く歪んだ気持ちと重なっていく、ドロドロした感情に泣きたくなる。それでも私はいい女だ。明日も私らしい、いい女で居よう。帰り道に買ったちょっといいチョコレートが美味しい。

でも少し心が悴むような寒い夜だ。

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