福島県の「原子力災害伝承館」へ
大人の社会科見学
2023年12月28日、例年より1日だけ早く冬休みを取得し、福島県の「原子力災害伝承館」へ行ってきました。妻と中2・小5の息子ふたり。大きくなった子どもを見て、「この4人で旅行するのもいつまでかな~」と思いつつ、軽自動車に乗り込んだのが朝9時。
埼玉の川越から昼食を摂った福島県の大熊町「おおくまーと」まで高速で4時間ほど。目的の「原子力伝承館」は双葉町にあるのですが、今でも帰還できない地域の様です。町に人は全くおらず、車もほとんど走っていません。
知識として「帰還できていない地域がある」のは知っていましたが、もう12年も経つのにと思うと、住人の皆さんの切なさ、悲しさは如何ほどでしょうか。
下記のNHK記事によると、23年8月時点で町の面積の85%がまだ帰還困難地域で、町に住んでらっしゃるのはわずかに86名とのことです。
心に突き刺さる写真展示
「原子力災害伝承館」に着いたのは午後2時半。もう少し早く着きたかったのが本音。展示はとても充実しており、早めの時間帯での来場をおススメします。個人的に心に突き刺さったのが写真展示。
「津波で妻、母、子どもを同時に喪い、半壊した雪の降る自宅前で悲嘆にくれる初老の男性」の写真があり、言葉に出来ない悲しみを感じました。
他にも震災直後と数年後の航空写真があり、復興の様子が見て取れる展示もありました。
「原子力災害伝承館」は海から1キロほどの所に建っているのですが、建物から海までは、何もない広場。つまり、全てが流されてしまっているのです。だだっ広い空間そのものが、津波の凄まじさを物語っていました。
展示の中の一つに「福島県内の教育旅行数(修学旅行生数など)の変遷」がありました。震災前と後ではやはり減っています。ざっくり震災前の70%ほど。
双葉町には未だに帰還困難地域があり、海辺に何も無いだだっ広い場所があるなど、それ自体が学びになります。どんどん子どもたちには福島県へ行ってほしいです。が、どうしても原発関連は政治的な主義主張も絡んできてしまうため、公教育では難しいかも知れません。
なので、私のおススメは「大人が行く」です。出来れば子どもも連れて。
原発に関する考え方は人それぞれですが、大人であればある程度客観的に事象を見て判断も出来るでしょう。その判断も踏まえて子どもたちに体感してもらう。それは実のある「社会科見学」であると思うのですが、如何でしょうか?