<閑話休題>ケルトのハロウィーンとクリスマス
ケルトの新年は11月1日で、サマインと称している。その前夜祭がハロウィーンで、太鼓を叩いて死者や祖霊に集合してもらう「オール・スピリッツ・デー(万霊節)」だった。その後キリスト教が入ってきて「オール・セイント・デー(万聖節)」に変えられた。アイルランドのサマインでは、古代王朝のあったタラの丘の上に、妖精や祖霊が来て、生きた王がその異界の者たちと会見する王族の一大ベントがあった。
一方、19世紀までのヨーロッパのクリスマスでも、子供たち自身が村の家々を回ってプレゼントをもらっていたのが始まりだった。そこでは子供たちが「万霊節」として死者の代わりを務めていた。さらに古い時代では、若者が死者の仮面で仮装して各家からライス・プディング(供物に相当)をもらっていたが、羽目を外す者が多くでたため、後に子供たちになったという。
クリスマスに子供がもらうプレゼントは、もともとライス・プディングであり、死者が生者からもらうものであった。そして、プレゼントを与えない家には不幸を与えると、子供たちは死者代わりとして脅すこともできた(現在ハロウィーンで行う「トリック・オア・トリート(お菓子をくれるか、脅かすか)」の原型と見なせる)。
日本のクリスマスの乱痴気騒ぎは、そもそも宗教と無関係であるため、全く異様としか言えないが、ハロウィーンの仮装乱痴騒ぎが、如何に無知蒙昧で不毛なバカ騒ぎであることがよくわかる。日本のクリスマスとハロウィーンは、「ハレ」でも「祭り」でもなんでもない、反社会的暴動と同質でしかない。
<私が、アマゾンのキンドル及び紙バージョンで販売している、クリスマスにちなんだ短編小説、そして各種エッセイなどをまとめたものです。宜しくお願いします。>