<ラグビー>2024年シーズン(12月第一週)
(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
〇 ランチを食べようと思っていた目当ての店が閉まっていたので、その近くにあるチェーン店の中華料理屋に入った。11時に開店してすぐの時間帯で、ランチタイム前のため客は数人しかない。ラーメンと半チャーハンのセットに、小瓶の黒ビールをつけた。ほどなくすると、グループで早めのランチを食べにくる人がどかどかとやってきた。人気の店らしい。しかし、ホールで仕事している日本人は一人だけで、あとは東南アジア系の女性が働いていて、「いらさいませー」という、アセアンの日本レストランで良く聞くけだるいアクセントの挨拶が聞こえる。
そのせいか、一人だけの日本人女性もけだるい調子で仕事をしており、キッチンに注文を通す声が、もうやる気度マイナス100という感じで、アセアンの風に馴染んでいる。キッチンもどうやらアセアンばかりのようだが、店長は日本人で、レジを担当していた。そして、大型TVでは、プレーオフで対戦した大谷とダルビッシュの野球の試合を流している。これが野球でなくて、ヨーロッパサッカーの試合なら、バンコクかマニアにいるのと変わらない。
○ アメリカの店の商標に、「since1954」というように、「創立何年(以来)」というのがある。これを日本語に訳すと、単純には「1954年以来」となるが、きちんと訳せば、日本の老舗と言われるような店が、「創業文化五年」とか「創業明治十年」などと宣伝しているのと同じで、「創業1954年」(という古さ)を表している。
これを、単純に英語にすればなんでもカッコ良いと思った人が、自社の商標に「since2023」などと、歴史がないつい最近創立した年を平気で書いている。創業が古いということは、それだけ長く確実に商売をしてきたという証明になるから、老舗の店が創業年を宣伝するのは正しい。しかし、歴史が浅く信頼も得ていない店が、創業年を表示することは、自らの歴史の浅さと信頼のなさを誇示しているようで、はなはだ恥ずかしいことだ。これは、単なるジャパニーズイングリッシュという誤用ではなく、恥ずかしい猿真似でしかないことを教える人はいないのだろうか。
1.テストマッチ等の結果
アイルランド22-19オーストラリア(HT5-13)
アイルランドは、アイルランド協会設立150周年となる記念すべき試合で、SOの先発に21歳のサム・プレンダーガストを起用し、ジャック・クロウリーを22番のリザーブに下げた。なお、ブレンダーガストはフィジー戦で危険なプレーがあったが、レッドカードを逃れ、出場停止処分は課されなかった。リザーブ17番PRキアン・ヒーリーは、134キャップとなり、ブライアン・オドリスコルの持つアイルランド最多キャップ記録を抜いた。
オーストラリアは、スコットランド戦の敗戦を経て、先発6人を代えてきた。1番PRをアンガス・ベルに代えてジェイムズ・スリッパー、3番PRをアラン・アラアラトアに代えてタニエラ・ツポウを先発させた。5番LOジェレミー・ウィリアムスは、スコットランド戦の病欠から先発に戻った。絶好調の7番FLフレイザー・マクライトが先発に復帰している。6番FLロヴ・ヴァレティニは、14番WTBアンドリュウ・ケラウェイ、18番PRアラアラトアとともに、今シーズンの13試合すべてに出場した。13番CTBにジョセフ・スアアリイが戻り、活躍が期待された。リザーブの22番SOテイン・エドメッドは、今シーズン19人目の代表初キャップとなり、通算では990人目となった。
試合は、オーストラリアがPGとトライで先行するが、アイルランドもトライを挙げて追走する。しかしオーストラリアは、32分のPGで5-13とリードして前半を終える。後半は、アイルランドがPGとトライで49分に15-13と逆転するが、オーストラリアも、54分と62分のPGで15-19と再逆転し、勝利を手にしたかに見えた。ところが、アイルランドは72分にトライを挙げて22-19と逆転し、記念すべき試合を勝利で飾った。オーストラリアは、スコットランド及びアイルランドに惜敗したとはいえ、一時の低迷状態から見事に回復し、ジョー・シュミット監督の手腕が評価される結果となった。来シーズン以降は、オーストラリアは着実に実力を伸ばしていくことだろう。
個々の選手では、オーストラリアのFW三列、6番ロブ・ヴァレティに、7番フレイザー・マクライト、8番ハリー・ウィルソンは、素晴らしい活躍をしており、これからもオーストラリアの中心となりそうだ。また、前監督のエディー・ジョーンズからスコッド外にされていたSOノア・ノレシオが、確実なゴールキックで接戦をもたらす活躍をして、オーストラリアのSOは彼しかいないことを見せつけた。アイルランドは、リザーブの選手が勝利へ貢献したが、NO.8ケイラン・ドリスは、キャプテンとしてチームを良くリードしたことが、最後の逆転勝利につながった。
2.ドバイセヴンズ結果
2024―25シーズンの最初の大会となったが、相変わらず観客が少なく盛り上がらない。14分という短時間で勝負が決まる上に、モールやラックがないスピーディなゲームなので、エンターテイメント的には成功しそうだが、逆に試合時間が短いのがネックになっているのかも知れない。例えば、1チームを21人に増やし、アメフトのようなクオーター制にして、7分×4クオーターの28分間(タイムが止まる時間も含めれば、35分?)プレーするようにしたらどうだろうか?もちろん、現在の一大会の試合数を二日で終わらせることはできないから、参加チーム数を半減することになるので、4部のリーグに別れて世界各国で開催するのはどうだろうか?
それから、NZが活躍しないとどうも面白くない。セヴンズの醍醐味を最も発揮してくれるのがNZチームなのだが、それが勝てないようだと、個人的には見る楽しみが無くなってしまう。
女子
プールマッチ
カナダ5-40日本、日本14-17ブラジル
NZ33-5ブラジル、NZ36-12日本、NZ38-10カナダ
決勝トーナメント
準々決勝
英国26-0日本、オーストラリア39-0カナダ、NZ39-12アイルランド、アメリカ12-38フランス
7-8位決定戦
日本24-22カナダ(日本は、カナダに二勝して良く健闘したと思うが、ブラジル戦を自滅したのは今後の反省材料となった)
準決勝
英国7-35オーストラリア、NZ28-14フランス
3位決定戦
英国12-15フランス
決勝
オーストラリア28-24NZ
男子
プールマッチ
NZ28-12アメリカ、NZ14-26スペイン、フィジーNZ
決勝トーナメント
準々決勝
英国14-19スペイン、南アフリカ17-24NZ、フィジー19-17フランス、アルゼンチン22-20オーストラリア
準決勝
スペイン19-14NZ、フィジー43-21アルゼンチン
3位決定戦
NZ0-14アルゼンチン
決勝
スペイン5-19フィジー
3.主なニュース
(1)WRの各賞が発表
南アフリカのFLピーター・スティフデュトイが最優秀選手賞に選ばれた他、フランスのSHアントワーヌ・デュポンが、15人制ではなくパリオリンピックのセヴンズでの活躍が評価されて、セヴンズの最優秀選手賞に選ばれた。毎年多くの賞をもらうNZ勢は、今年はブレークスルー(新人)賞のFLワレス・シティティだけだった。その他各賞及びベスト15については、リンク先を参照願いたい。
(2)デイヴィット・キャンピージによる、オータムネイションズシリーズのベスト15
元オーストラリア代表WTBとして歴史に名を刻むデイヴィット・キャンピージが選んだ、今年のオータムネイションズシリーズのベスト15(1番から15番の順に記載)を紹介する。詳細な選出理由等については、リンク先を参照願いたい。WRの年間ベスト15とは違う面白さがある。
1.トーマス・デュトイ(南アフリカ)
2.コーディ・テイラー(オールブラックス)
3.ザンダー・ファガーソン(スコットランド)
4.グラント・ジルクライスト(スコットランド)
5.フランコ・モスタート(南アフリカ)
6.フランコ・クロ(フランス)
7.ジョシュ・ファンデルフリアー(アイルランド)
8.シャルル・オリヴォン(フランス)
9.キャメロン・ロイガード(オールブラックス)
10.フィン・ラッセル(スコットランド)
11.ルイス・ビエルビアレ(フランス)
12.シオネ・ツイプロツ(スコットランド)
13.ジェシー・クリエル(南アフリカ)
14.マック・ハンセン(アイルランド)
15.ブレアー・キングホーン(スコットランド)
(3)ジョン・カーワンは、海外でプレーする選手をオールブラックス入りさせることに反対
オールブラックスのスコット・ロバートソン監督は、プロ化以降の歴代オールブラックス監督として、就任後14試合の勝利が71%という最低の結果となったが、現在世界NO.1の南アフリカのように海外でプレーする選手を代表入りさせることを、NZ協会に求めるコメントをした。なお、プロ化以前の監督では、ジョン・ハートの勝率93%が最高となっており、プロ化以降では、スティーヴ・ハンセンとグラハム・ヘンリーの86%、イアン・フォスター、ジョン・ミッチェル、ウェイン・スミスが79%となっている。
これに対して、元オールブラックスのジョン・カーワンは、近年オールブラックスの選手の多くは、日本へサブバティカルで行ってスーパーラグビーの試合を欠場したが、その結果オールブラックスの試合を勝たすことができないので、経済的な理由で日本へ行く流れは、もう終わるだろうと見ている。そして、オールブラックスの選手が試合(テストマッチ)で勝つためには、NZのスーパーラグビーのチームでプレーすべきだと主張している。
(4)クライブ・ウッドワードが、エディー・ジョーンズのコーチングを見下す
元イングランド代表監督のクライブ・ウッドワードは、日本代表監督エディー・ジョーンズが、大敗したイングランド戦の後のインタビューで笑顔を見せたことに対して、彼が既に計画性を失っている表れだと指摘した。また、日本は新型コロナウィルス対応の失敗などもあり、2019年RWC当時の実力から大きく低下しているため、イングランドの秋の最終戦の対戦相手として成果を得ることができなかったので、負ける可能性があってもアルゼンチンにすべきだったと主張している。一方、イングランドBKのディフェンスは、格下の日本にすら突破されたように脆弱であるため、選手を入れ替えるなどの対応策を講じるべきだと述べている。
4.関東大学ラグビー対抗戦Aグループ
筑波0-80帝京
筑波は6位となり、大学選手権を逃した。帝京は2位で終えたが、これは想定内では?
青山学院35-32立教
青学は5位となり、30年振り3度目の大学選手権出場となった。
日体0-50慶應
不調の慶應は4位で終えて、大学選手権出場は確保した。
早稲田27-24明治
100回目となる記念の試合で、故北島忠治先生が「学生らしい良い試合だった」と煙草を吹かしながら話すのが聞こえてくるような内容だった。これぐらいの試合を、毎年最低10試合できれば、大学のレベルも上がると思う。
勝った早稲田は、SO服部亮太のロングキックとハイパント、さらにスクラムで優位に立ったことが勝因だった。負けた明治は、12番CTB平翔太が攻守に大健闘したが、NO.8のキャプテン木戸大士郎が後半に怪我で退場したのが痛かった上に、スクラムで優位に立てなかったこと、勝負所のラインアウトでミスがあったこと、ハイボール処理でミスがあったことが敗因だった。
それでも、49分にSOを萩井耀司から22番の伊藤龍之介に代えて、BKのアタックでラインブレイクできるようになった時間帯は、今シーズンの明治の力を見せられたと思う。しかし84分に、23番WTB海老澤琥珀のライン際の疾走は、あと少しで逆転トライを取れそうだったが、早稲田のトライセービングタックルにタッチに押し出されてノーサイドになってしまったのは、誠に残念だった。かつて吉田義人は、大学選手権決勝の同じような場面でトライを取って優勝してみせたが、それは次回のお楽しみとなった。
また、BKではなくFWでゴリゴリやるのも明治らしいから、こちらを選ぶべきだったという意見もあるが、明治は開始から10分程度、早稲田陣ゴール前に迫ったときにFW戦に固執して得点できなかったので、これが最後まで影響したのだろう。これから大学選手権を互いに勝ち進めば、両校は決勝で対戦するので、明治は準決勝で帝京にリベンジし、さらに決勝で早稲田にリベンジすれば、今シーズンの明治のドラマは大団円となるのだが。
大学選手権展望(願望)
3回戦組み合わせ
近畿対福岡工業、京都産業対青山学院、明治対東海、東洋対慶応
準々決勝組み合わせ予想
早稲田対近畿、京都産業対大東文化、天理対明治、慶応対帝京
準決勝組み合わせ予想
早稲田対京都産業、明治対帝京
決勝組み合わせ予想(願望)
早稲田対明治
ところで、27日から高校の花園(全国大会)が開幕する。日本の年末年始は、高校ラグビーと大学ラグビーで盛り上がる季節だ。そして、21日にはリーグワンが開幕する。秋のテストマッチシリーズは終わったが、これから半年は、国内ラグビーと来年二月開幕のスーパーラグビーで忙しくなる。
大学二年の頃からラグビーを追っかけ続けて、かれこれ45年になるが、「定年後、仕事もせずに暇でしょう?」という質問には、「いえ、ラグビーを見ていると、けっこう忙しいですよ」と答えている。また、何か仕事をして少ない年金の足しにしたいのだが、残念ながらラグビー関係で稼ぐことはできないでいる。しかし、肉体労働に耐え得るような頑強な身体は、長年にわたる酷使によるダメージが大きすぎて、これも難しい。