AIがもたらす映画産業の新時代
人工知能AIと聞いて、みなさんは何を思い浮かべるのでしょうか?
産業の活性化を担う新たな労働力?
いつか生みの親である人間を凌駕する存在?
仕事から家に帰った時の唯一の話し相手?
色々な思想を巡らせる人がいるでしょうが、AIに対して確実に言えることが一つあります。
それは、AIは「革命家」であるということ。
現代では、AIは様々な産業へ参入し始めました。
AIは、一労働力でもあり、新技術を生み出す鍵でもあります。
そして、今回はそのAIを活用した新技術から期待される映像業界のロードマップを共に見届けていきましょう。
母国語のハリウッド映画
みなさん、映画はよく何を観ていますか?
僕は最近、MARVELのスパイダーマンをポテチをあてに観ています。
こういう洋画を観る時必ずと言っていいほど、立ちはだかる障壁があります。
それは、「言語の壁」です。
まあ、こういう壁があるからこそ他国の言語を学ぶモチベーションにつながるんでしょうけど。
しかし、映画というのはエンターテイメント。
いちいち言葉の理解が追いつかず映画を楽しめていないのなら、それは非常にもったいないし、映画監督に対しても非常に無礼です。
言語の壁を壊し、快適に映画を楽しみたい。
一世代前、こういった思いに答えてくれたのは、声優や映像翻訳者です。
この人たちのおかげで、我らのヒーロースパイダーマンの代名詞的セリフである
”Your Friendly Neighborhood Spider-Man” が「あなたの親愛なる隣人、スパイダーマン!」
となり映画監督の作意を破綻させることなく、綺麗に日本語のフィルターにかけていることが可能になっていました。
しかし
現代において
言語の障壁を取り払うヒーローはAI、ただ一人で十分かもしれません。
Generative AIの活躍
Generative AIとは、機械学習一分野に位置しており、テキスト・トゥ・スピーチ(TSS)やテキスト・トゥ・デザイン・ソフトウェアが世間的に有名な技術です。例としては、OpenAIによるChatGPTは、まるで人間が書いたような文章を出力し的確に利用者の質疑に応答します。DALL•EやMidjourneyは、テキストからAIが画像や絵を自動生成します。
このようにGenerative AIは産業の分野からアートの分野まで幅広く浸透しつつあります。
では、今回の記事を書くにあたってもう一つ特筆すべきコンテンツを紹介します。
それは、2018年コペンハーゲンで誕生したColossyanというスタートアップ企業です。
ここが提供するコンテンツは、Generative AIを利用した ”演者の自動生成” です。
【コンテンツ利用の手順】
① 男女の俳優を選択します。
② 俳優に話させたいスクリプトを挿入します。
③ コーヒー片手にくつろいで下さい。
④ 完成
AIがたったの数分で俳優がスクリプト通りに話す合成ビデオを作り上げてしまうのです。
下URLが実際の作例です。
このサービスは、主に企業の紹介ビデオの制作になどに利用されています。
Generative AIはここまで応用され、新たなビジネス領域を開拓していることを痛感したでしょうか。しかし、Generative AIはすでに次のフェーズに出ています。
それは、ハリウッドです。
Hollywood2.0
まずは、この映像を見ないことには始まりません。
上の動画は、"Final Score" や "The Tournament" といった名作映画を手掛ける映画監督Scott Mann氏が2022年に上映した "FALL" という映画の一部シーンです。
そして、このシーンでは映画監督でもあり共同創設者でもあるScott Mann氏の会社FlawlessがローンチしたGenerative AI技術 "True Sync" を適応させています。
True Sync
True Syncとは、Generative AIを活用し映画上のダイアログを変幻自在に操作できるFlawless社独自のソフトウェアです。
原理としては、演者の表情をポイントでトラッキングし、そこで得たデータから3Dモデリングをすることにより演者の表情をPC上で編集することが可能になります。
この技術により、設定した言葉に適合した口の形に修正することが可能となり、一つの映像上でこの処理は完結できるため、必要以上の撮り直しでかかる手間や費用を削減することが出来ます。
実際に、FALLの映画がその恩恵を最も受けた作品といっても過言ではありません。
FALLは、主人公たちが目眩がする様な高すぎる塔の頂点に置き去りになり、降りれなくなるという設定となっています。そして、元々監督自身はこの映画作品自体を13歳未満は要保護者同伴となるPG-13のレーティングで上映することを希望していましたが、高所に取り残された主人公達には作品をPG-13に収める程の余裕は当然無く、あまりにも多くの汚い言葉が発せられていました。それもあり、監督の希望を裏切る形でMPAはR指定のレーティングを叩きつけたのです。これにより、当然ながら視聴可能な年齢幅は狭まるため興行収入規模も落ちる。
しかしここで、現れた救世主が "True Sync" というわけなのです。
Generative AIの技術により作中に現れる " F*** " といった汚い言葉の数々を全く違和感なく別の言葉に言い換えることに成功させました。これにより、MPAから再度レーティングの評価が下された際に言い渡されたのは "PG-13" という結果でした。
映画"Fall"は興行収入約30億円という成功を無事収めることが出来た背景には、AIという新技術の救いの手があったというのは非常に興味深い話ですよね。
そして、この技術を手掛けるFlawless社は、AIがもたらす映像業界の新時代のことをHollywood2.0と提唱し自身のHPでも大々的に掲載しています。
最後に
現在、AIを導入する産業は増加傾向です。
映像業界で言うなら、今回のTrue SyncをはじめAIを導入したカメラにより飛躍的にオートフォーカス性能を向上させたことなども「AI×映像」のニュースとしてはポピュラーですよね。
また、これまで人間の領域だと信じられていた絵や写真といった感性から生まれてくるアート作品も今となっては、たったの一文をデバイスに打ち込むだけで自動的に生成されてしまいます。
これは、非常に恐ろしい時代の幕開けなのでしょうか?
いいえ。全くもって喜ばしい傾向だと思います。
アート分野であれば、AIのような優秀な助っ人は自分の新たな右手として、創造の手助けをしてくれでしょう。産業であっても、AIの導入や進化が進めば、よりスマートな社会の構築に拍車がかかっていくと思います。そこから生まれる多くの利益を受けとれるのは、開発の親である人間のみです。
この時代の変化を怖がるのではなく、
積極的に受け入れ利用していくことこそが
人類の技術進化が青天井であることの裏付けになると私は信じています。
WRITER: Yuji TAKAHASHI
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