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活字弱者がレビューする名作小説【重力ピエロ】
伊坂幸太郎。僕としては奇跡的に彼の作品を幾つか読んだことがあるのですが、、めっちゃくちゃ読みやすいっすよね。
簡単な言葉ばかり選んでいるわけではないのになーんかスルスル読めちゃう。文章力ってこういうことなんだなぁ。頭良いって羨ましい‼️
今回はそんな彼の作品で1、2を争う名作と噂(真偽は分かりません)の【重力ピエロ】をレビューします。
あらすじ
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。
はじめに
まじでくっそ面白かったですよ。
読み終わってみれば壮大な設定でも無いし仙台のとある地域で起こったたった数人を巻き込んだだけの小さな事件の話なんです。
それだけの話にのめり込んでしまう程の文章力とキャラクターの魅力やセリフの強さ、空気感のメリハリ、徐々に回収されていく伏線、まじで秀逸って感じです。
※2009年には映画化もされてるみたいです。主演の加瀬亮と岡田将生は個人的にビジュアルが大好きなんで見てみよかな。
①人格は遺伝子によって決められるものではない
この物語の重要なテーマとして“遺伝子“があります。
主人公の泉水はジーン・コーポレーションという遺伝子情報を扱う会社に勤めています。
その為、彼は遺伝子について一般より相当詳しい知識を持っています。
そんな彼は遺伝子と人格の繋がりについて否定しているんですが、、、
その大きな要因に泉水とその弟の春は血が繋がっていないということがあります。
春は強姦魔と母親の子供なんです。
しかし彼らはごく当たり前に春を迎えることに決め、仲睦まじい家族愛を体現しています。
しかしそんな春の時折見せる暴力性や不可解な行動に泉水は次第に違和感を覚えるようになります。
春に強姦魔の血が入っているということ、そんな事は関係無いと言い聞かせても悩まされ続ける兄弟。
“春は生まれて良かったのか“
決して正解の無い問いであり、読んでいて辛い問いでもあります。
しかし、だからこそ彼らが苦悩から脱却する物語のエンディングが美しく、カタルシスを感じることが出来るのです。
終盤の父親の何気無いひと言、誇張でもなんでもなく“必見”です。
②登場人物の小洒落た会話劇
登場人物の会話が洒落ており、印象的な言葉が多いのもこの物語の魅力です。
「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」
春の言葉であり、タイトルの【重力ピエロ】に通ずる言葉でもあります。
「春は俺の子だよ。俺の次男で、おまえの弟だ。俺たちは最強の家族だ」
父親の言葉です。春と泉水がお互いをリスペクトし合って育ったのは彼のスタンスが大きいでしょう。魅力的な父親です。
「俺は、依頼人のことは誰にも言わない。たぶん、拷問を受けてもはじめのうちは我慢するさ。爪を剥がされるくらいは我慢するつもりでいるんだ。それくらいは、どうにか踏ん張れるんじゃないかと、自分に期待を持っている。膝を金槌で潰されるとなったら、さすがに喋るけどな」
主人公の泉水が信頼している探偵、黒澤の言葉です。このセリフだけで彼の探偵業へのスタンスとウィットに富んだ性格が分かります。
セリフ1つで人物の性格を読者に理解させる文章力、頭良いってすげぇ〜なぁ‼️
まとめ
今回は伊坂幸太郎の重力ピエロを紹介しました。数冊しか読んだことないけれど、オススメの作家を聞かれたら一丁前に彼を推薦しよ〜っと。