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桜餅概論
桜餅。あんこを薄紅の生地で包み、塩漬けした桜の葉を巻いた和菓子。春が近づくと雨後の筍のように出てくる。
塩味の効いた甘さが特徴で、桜スイーツは数あれど、どれも桜餅をイメージして作られる。象徴的な存在だ。
桜と塩は本来的には何の関係もないのだが、日本人はなぜか塩味の効いた甘さを感じると桜をイメージするという習性があるようだ。
桜餅は2種類
意外と知られていないことだが、桜餅は大きく2種類に分けられる。
一つは小麦粉の薄い生地を使ったもの。「長命寺」と呼ばれ、主に東日本で見られる。その素材から分かる通り、まとまりの良い王道の美味しさだ。
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もう一つは「道明寺」と呼ばれ、生地に道明寺粉という、もち米を蒸して乾燥させ砕いたものを使う。主に西日本で親しまれ、つぶつぶとした舌触りがユニークだ。
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それぞれに良さがあり、どちらも駆逐されなかった所以だろう。
桜餅の起源
桜餅の元祖は長命寺の方で、発祥は江戸時代。隅田川沿いにある長命寺の門番、山本新六が考案したとされる。桜の落ち葉を掃除していてひらめいたという、一休さんのとんちのような逸話が残っている。長命寺の門前で売り出したのがはじまりといわれており、今でもその店は続いている。
道明寺は、それから100年ほどたった頃、大坂に現れたとされる。当時人気を博していた長命寺を参考に「材料や形など独自の意匠を施し」作られた。
赤福や萩の月などをなりふり構わずパクった銘菓がはびこる昨今、実に清々しい話である。
桜の葉は食べるのか
桜の葉は食べるのか。これは店による。なので筆者は聞くようにしている。のけて欲しい時はそう言われるし、「お好みで」と主体性のない答えが返ってくる時もある。
こういう時は食べた方がいい。食べられるようにしている場合は味をそこに合わせているからだ。
その名の通り、基本的に季節物なのだが、前述の隅田川沿いにある「長命寺 桜もち 山本や」では、なぜか年中食べられる。桜餅の始祖であるのに、その根幹を揺さぶるアナーキーな店だ。
これ幸いと、ぜひ食べて頂きたい。