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「ホップの未来づくり」ための商品開発に、キリン社内ベンチャーが挑んでみた

「どんだけのホップを使う気ですか。」
「1袋に缶ビール5ケース分くらいですかね。」

そんなやりとりを経て開発したのが「ホップ効果」。
現代社会を生きる皆様と、ホップの未来のために開発した機能性表示食品です。

商品構想から3年、素材開発から含めれば足掛け20年。
今回はホップにこだわり、ホップのために開発した商品への研究者としての
こだわりを書きたいと思います。

ホップの価値を伝えたい

INHOPは、2019年にキリンホールディングスの社内ベンチャーとして立ち上がったホップの会社です。
365日毎日ホップのTシャツを着続けるホップマニア(=私)がいますが、ホップカンパニーとして悩みがあります。

それは、ホップのポテンシャルを伝えきれていないこと。

世界中のビールに使われ、世界中の方に消費され、世界中で栽培されている。まさにホップは世界的な植物なのですが、残念なことに、世界的なハーブであること、様々な健康機能があることは知られていません。
ビールとの相性が良すぎるため、ビール以外で注目されることはほとんどありません。

ホップの健康ポテンシャル

ホップというと、ビールや苦味を連想され、必ずしも健康のイメージを持た れないかもしれません。

実は歴史を紐解くと、ビールに使われるより遥か前から健康機能が知られて いた、伝統的なハーブでもあるホップ。ヨーロッパは勿論、インドや北米等 でもその力は知られており、現在では世界中で(ほとんどビール用途のためですが) 栽培されています。
ただ、その栽培量や消費量は凄まじく、世界最大級のハーブであると考えられます。
その中でも、ホップの苦味には色々な健康機能が知られています。まさに特良薬口に苦し」を地で行く素材。とは言え、苦いものを毎日摂り続けるのは避けたいものです。

じゃあ、どうする?

幸いなことに、ホップの苦味を抑える技術開発は成功しました。口では強い苦味を感じないけど、体の中では力を発揮する、不思議なホップの苦味成分「熟成ホップ由来苦味酸」を発見し、商品に使えるようになったのです。

とは言え、ホップに健康機能があることを普通の商品でお伝えすることは法律的にできません。これはどうしようもない。となれば、熟成ホップ由来苦味酸を使い、健康機能があることを伝えられる商品を開発するしかありません。目指すは機能性表示食品。

機能性表示食品とは、商品パッケージに健康機能を表示できる食品です。もちろん、根拠に基づいた表示が必要だとか、国(消費者庁)に届出が必要とか、色々なルールはありますが、重要なのは健康機能があることを商品に表示できる点です。そのため、どんな健康価値がある商品か、自分に役立つ商品なのか、をお客様が理解・判断しやすくなります。

そして、私は機能性表示食品の開発経験がそこそこあります。
これはやるしかない。

ホップカンパニーINHOPだからできること

ホップの健康機能を皆様に伝えられる機能性表示食品を開発する。目標はシンプル。達成すべき要素は2つ。

1.ホップの価値が伝わる商品名

ホップの価値を伝えていきたいので1は当然です。が、ビジネス的には厄介な要素。
というのも、普通はお客様へのメリットが伝わるような商品にするものです。ホップ推しの商品名にしても、それだけではアタマに良いとかカラダに良いとかが分からないので、お客様にメリットは(残念ながら)ないのです。例えば、「カラダフリー」とか「免疫ケア」とか、健康機能がわかるような商品名にするのが機能性表示食品の王道です。

ただ、我々はホップカンパニーです。ホップの価値を伝えることに妥協はできません。たとえ売り方が大変になっても、これは譲れません。
なので、商品名には「ホップ」を含める。これは必須としました。

2.お客様のためになる健康機能

で、問題なのは2です。ホップに健康機能があるといっても、お客様にメリットがある商品になっていないと良くないです。そして既にある商品と似たものをつくってもお客様のためにはなりません。

なので、
・多くのお客様のお悩み解決に役立つ機能を表示していること
・他の商品と似ていないこと
これを満たす健康機能を目指しました。

そして完成した商品

INHOPを立ち上げる前から構想していたので開発期間は3年以上。想像以上に時間がかかりましたが、完成した商品はこちらです。2022年4月25日に発売しました。

【機能性表示食品】働くアタマとカラダの脂肪に ホップ効果
【届出表示】本品には熟成ホップ由来苦味酸が含まれます。熟成ホップ由来苦味酸には、加齢により低下する認知機能の一部である注意力 (集中して複数の視覚情報を同時に正しく判断して処理する能力)の精度の向上に役立つ機能が報告されています。また、熟成ホップ由来苦味酸には、BMI が高めの方のお腹周りの脂肪(体脂肪)を減らす機能があることが報告されています。●食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを 。●本品は国の許可を受けたものではありません。●本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。

達成すべき要素としては…

1.ホップの価値が伝わる商品名
商品名で「アタマとカラダにホップが役立つこと」を示す

2.お客様のための健康機能
⇒ホップの苦味成分の研究報告として「BMIが高めの方のお腹周りの脂肪(体脂肪)を低減」「加齢により低下する認知機能の一部である注意力※の精度向上を表示

※集中して複数の視覚情報を同時に正しく判断して処理する能力

と、どちらも達成できた商品になったかと思っています。
同時に、日本初*のカラダ(お腹周りの脂肪/体脂肪)とアタマ(認知機能の一部である注意力)への機能を同時に訴求する機能性表示食品」を開発できたことも、開発者としては嬉しい限りです。(*INHOP調べ、機能性表示食品データベース)

…ただし、ひとくせある商品です。

ホップ効果は、かなりの量のホップを使って製造しています。さらにホップの力を感じていただくために、あえて自然なホップ香を残す処方にしています。なので、この香りが気になる、という方もいらっしゃるかもしれません。

1袋にこの写真の3倍くらいのホップを使っています。

せっかくなので、ホップの苦味成分を使った実験をご紹介します。

実験1:ホップの苦味成分はお腹周りの脂肪に作用するか

200 人の方に、ホップの苦味成分を含む飲料か、含まない飲料を12 週間毎日、飲み続けていただきました。その後、お腹周りの脂肪(腹部全脂肪面積)がどのように変化したか、CT スキャンで評価しました。
その試験では、ホップの苦味成分を含む飲料を飲み続けられた方は、お 腹周りの脂肪が試験前後で平均17 ㎠(直径4.5 ㎝の円くらい、100 円玉の倍の直径)ほど減りました。

実験2:ホップの苦味成分は注意力対策として機能するか

60 人の方に、ホップの苦味成分を含むサプリメントか含まないサプリ メントを12 週間飲み続けていただきました。その後、選択的注意を測定するテストを実施し、回答に要する時間がどのように変化したか評価しまし た。
その結果、ホップの苦味成分を含むサプリメントを飲み続けられた方は、回答時間が短くなりました。


「ホップの力をもっと広げたい」
20年にわたる研究の歴史

無事に発売を開始したホップ効果。確かに私は開発者ですが、私ひとりで開発したものではありません。

キリンがホップの研究を始めたのはおよそ20年前。金子が入社する遥か前です。当時の取組でホップの苦味に健康機能があることが分かり、何とか実用化できないか、多くの研究者が粘り強く検討し続けました。

しかし、苦味が強すぎて健康食品には向いていない素材。開発は一筋縄ではいかず、あまりの壁の高さに研究中断・終了になりかけたことも何度かあったようです。

一方で、ホップのポテンシャルに惚れ込んだ研究者が多かったことも事実。研究成果は社内外から評価されるもので、苦味を何とかできれば、皆さまの健康に役立つものが創りあげられるはず。そんな想いで粘り強く、逆境の中でも研究は続けられました。その結果、ホップの「熟成」に可能性を見出したのです。

約10 年の歳月を経て開発に成功

熟成技術の開発が始まったのは2008年頃。しかし開発は一筋縄ではいきません。気が遠くなるような熟成条件検討、商品化の可能性探索、ドキドキのヒト試験、製造設備立上げや行政とのやり取り、製造トラブル、多くの課題がありました。
しかし、何とか乗り越えようと、のべ100人以上が研究開発に携わり前に進み続けました。そして開発開始から約10 年 が経とうとした頃です。

遂に熟成したホップの素材、熟成ホップエキスの初回製造がおこなわれました。初回出荷の際は私も一緒に工場にいましたが、感慨深くトラックを見送っていた熟成ホップエキス開発の立役者である上司の姿を今でも覚えています。 基礎研究に携わっていると、自分たちの研究成果が世に出るところまで行けないことも多いですが、モノになり、世に出るところまでいけることは、研究者冥利に尽きるものです。

なぜ、ホップなの?

素材名、商品名の通り、この商品の肝になる原料はホップです。 ホップというと、ビールや苦味を連想され、必ずしも健康のイメージを持た れないかもしれません。

実は歴史を紐解くと、ビールに使われるより遥か前から健康機能が知られて いた、伝統的なハーブでもあるホップ。ヨーロッパは勿論、インドや北米等 でもその力は知られており、現在では世界中で(ほとんどビール用途のためですが) 栽培されています。
ただ、その栽培量や消費量は凄まじく、世界最大級のハー ブであると考えられます。

「良薬口に苦し」ということわざがあるように、苦味と健康は昔から密接な関係があります。とはいっても、苦すぎるものを毎日摂り続けるのは、いくら健康に良いと言っても続けにくいもの。
ホップ効果では、ホップの苦味を上手に加工し、口では強い苦味を感じないけど、体の中では力を発揮する、不思議なホップの苦味成分「熟成ホップ由来苦味酸」の力を活用することで生まれた商品です。

1粒7mmの錠剤なので、年齢問わず飲みやすいです

今後の開発

ホップ効果は自分たちのECサイトに加え、Amazonでも発売を始めました。
小さなスタートですが、お客様からの嬉しい声も増えていき、ありがたい限りです。ただ、皆さまの健康のお役に立つだけでは、目的は半分しか達成できていません。

「ホップがアタマとカラダに役立つ健康素材であること」。
このことを多くの方にお伝えしていきたいですので、色々な形でこの商品を露出していきたいと思います。勿論、しっかりした研究成果に裏付けられた機能性表示食品でもあるため、是非興味がある方はお試しいただけると嬉しいです。


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