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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第231話:満月のエレベーター。

「辛いという字がある。もう少しで、幸せになれそうな字である」星野富弘


 エレベーターでいつも出会う老年の紳士がいる。
 物腰のやわらかそうな雰囲気にやわらかい笑顔が印象的だが、なぜかその人がエレベーターに乗ってくると私の心は固くなる。

「へえ、そんな人がいるんだ。ぼくはまだ会ったことがないなぁ」

 だから余計に不安になるのかもしれない。
 なぜあの人は私のときだけしかエレベーターに乗ってこないのだろうか。
 いや、たまたまかもしれない。それか引っ越ししてきたばかりの私たちの動向を見守るためなのかもしれない。それでも気持ちが悪いものは悪いのだ。

 見られている。
 それはつまり私も見ているということだ。

 不安と言葉を作った人が悪いわけではない。でも、その人は今後誰かが不安に陥るたびに自責の念を抱くのではないかと思う。
 不安なんて言葉はいらない。

 それと同じように、幸せという言葉もいらないんだ。

 そんな言葉があるから不幸が生まれる。
 人は本来幸福も不幸もないはずなのだ。理性が言葉を作り、言葉がシステムを作った。自由はもうない。不自由だってどこにもない。なんのために生きているのか分からなくなるような作り込まれ過ぎている街の中で、いったい私たちはなぜ生きているのだろうか。

 ゴミ捨てだってそうだ。なぜゴミを捨てなくてはいけないのだろうか。そもそも地球規模で考えたら、ポイ捨てもリサイクルもやっていることは一緒なのだ。ゴミという言葉は存在しなくていい。ゴミなんてないのだから。

 と、思いながらゴミを運んでいると、また例の紳士がエレベーターに乗り込んできた。

「こんばんは」
「……どうも」
「いやぁ、今夜は月がきれいですねぇ」
「ああ、そうなんですね」
「今夜は満月だそうですよ」
「そうなんですか」

「だからこうして迎えに来たんですよ」

 月の灯りにシステマチックな街の光。
 私の息苦しさはどうやら間違ってはいなかったようだ。不安という言葉も、幸せという言葉も、自由という言葉も、なにも失ってはいなかったのだ。

 私はこれから帰ることにした。

 あなたの心は遠く月の反対側に。
 私の心は深海の泥の奥底に。
 いつもありがとう。
 私も今夜はあなたを見つめたい。

引っ越しのただでさえ出費もあって部屋もごちゃごちゃしているときに、

ハンモックなんて買ってごめんよ、、、。

でもどうしても欲しかったんだよ。

一緒に揺れたかったんだ。

今夜は満月。

あれ、昨日だっけ?

どっちでもいいか。

揺れたい。

きみの膝の上で、

胸の中で、

手の平で。

愛してるよ。

おやすみなさい。

初めての人生、ふとなんで生きているんだろうと思うことがたまにあるけど、そんな哲学すぎることは京大生や東大生に任せて、もうさっさと寝た方がいいと思う。

答えなんてないもん。

だから寝ます!

おやすみなさい!

今日もありがとう。

今年も、残り119日。

またね。

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