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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第262話:クレーンゲームは人生だ。
「いいかい、もし、良いと思ったら、どうやろうかなどと決して心配するな。つまり直感だよ」チャップリン
ハンモックで眠るにはぼくにはちょっと厳しかったようで、朝の五時までバルコニーで頑張ったんだけど、寝がえりができないのといつか落ちそうな感じでソワソワだったのと、単純にちょっと寒かったから結局眠れなかっただけなんだけど、とりあえず五時になったからよしとしてぼくは部屋に入ったんだ。
そしていつも通りの布団で再び夢の中へ。
目が覚めると9時ぐらいだったかな。
今日は子供の日だ。
もちろん国が定めている記念日ではなく、ぼくたちが勝手に制定した子供の日だ。
新しい家に彼女と娘と引っ越しをしてきてからというもの、ぼくたちは日々の買い物や慣れない家事に追われて娘を付き合わせてばかりだった。だから久しぶりにたくさん遊んでほしくて今日一日を子供の人してしたいことをすべてさせてあげようと思ったのだ。
ぼくたちは娘に聞く。
「んで、今日はなにがしたい?」
ぼくは心の中で、遊園地とか映画とかそういうのを予想していた。
「ゲームセンターで遊びたい」
と返事があったとき、ぼくたちはなぜか嬉しくなったんだ。娘にとっては遊園地よりもみんなで遊ぶゲームセンターの方が非日常だということだったのかもしれない。
のんびりと支度をしてゲームセンターへ。
ゲーセン。
これでもぼくはゲーセン世代なのだ。
ストツーにダイナマイト刑事、名前は忘れちゃったけど戦車とか鉄砲で右にひたすら進みながら敵を倒していくやつ、他にもマーブル系に鉄拳、ジョジョも楽しかったなぁ、メダルゲームにじゃんけんゲーム、あとはなんだろう、とにかく色々。
娘にお小遣いを渡す。娘は早速クレーンゲームを始める。見ているとぼくもやりたくなってくる。ぼくもお金を入れていく。
それが地獄と天国の始まりだった。
娘にとってあげたい。
この人間の思いあがったエゴを神様が見逃すはずがなく、ぼくの財布からはお札が次々に両替機に投入される。
そしてなんとか目当ての品物をゲットしたすぐ次に、今度はクレーンゲームのメイン的なものに目を奪われてしまった。
大きな箱の真ん中に景品が一つだけあるようなその道のプロでも難しそうな大きな景品。
すみっこぐらしのアートパーティ。
ぼくは娘をちらと見る。
娘の目が輝いている。
ぼくは彼女をちらと見る。
彼女の目がぼくを見つめている。
「俺に任せておけ」
そしてぼくの旅が始まった。
お金?
そんなものはあの世には持っていけないぜ。
財布がどんどん軽くなる。
ぼくはこういうとき、すぐに諦める癖がある。それが貧乏だったせいか欲しいものは手に入らないという思い込みがあったのだ。
だから正直クレーンも無理だと思っていた。
でも、今日は諦めたくなかった。
娘のためにも、彼女のためにも、そして自分のためにも。
お金がもう残り少ない。景品はもう少しで落ちそうな感じだった。彼女がスマホを構えて動画を撮ろうとしている。
「これでラストね」
そして最後のワンプレイ。
景品が持ち上がった。
おーっ!
と三人で叫ぶ。
そしてドスン! という音と共に、景品はもとの棒と棒の上に。
やっぱり無理だったのか、と思ったが、財布をよく見るとまだ一枚お札が。
行くしかない。
ぼくは諦めなかった。
しかし正真正銘これがラストだ。
お金を入れる。
クレーンを動かす。
ラストにかけよう。そう、すべてはラストに。
と思っていた瞬間、なんと適当に動かしたはずが景品がなんかいい感じに傾いて落ちたのだった。
あっ!
とみんなで目を見合わせて、そして娘が急いで下から景品を取り出す。彼女もぼくもあっけに取られていた。
娘が景品を抱きしめている。
クレーンゲームにはまだ残り1の文字が。
彼女が挿画を撮る間もなかった。
しかし、それはどうでもよかった。
獲れたのだ。
ぼくは確かに景品を撮ったのだ。
諦めなかったら夢は叶う。
コツコツと地道にやればいつかは手が届く。
ぼくの中にあった思い込みが書き換えられた瞬間だった。
そして帰宅すると娘が言った。
「ありがとう。大切に使うね」
その言葉プライスレス。
ネットで調べたら通販でもっと安く売っていた商品だったけど、娘の前で獲ったということがなによりの価値だと思う。
諦めない。
それは直感だ。
だからうまくいくんだよきっと。
☆
楽しくて顎がいたいなんて何年ぶりだろうか。
ここ最近、毎日が本当に幸せで本当に楽しくて本当に生きてきてよかったと思っているんだ。
きみのお陰だ。
靴も、本当に嬉しかった。
大切にするよ。
心から愛しています。
おやすみなさい。
☆
初めての人生、ナビなんてないけど、きっと直感を信じて行動したらうまくいくんだんと思うんだ。
もしそれがうまくいかなかったとしても、それはうまくいくためのうまくいかない出来事だと思うから、結果としてはうまくいっているんだ。
ちょっと分かりにくかったらごめんね。
ようするに、
しんどいことや苦しいこともこみこみでうまくいっているということ。
うん、きっとそう。
今日もありがとう。
今年も、残り89日。
またね。
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