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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第227話:始まりと終わりの日。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」サン=テグジュペリ
彼女のご両親と会うのは久しぶりだった。
だからかもしれないが、正直怖かった。なにを言われるのだろうか、怒鳴られたらどうしようか、などと不必要な邪推をついしてしまう。
しかしだからといって避けては通れない。
だからぼくはどうせなら楽しもうと思った。深呼吸。電車の中で練習もした。ネットで挨拶のベターなやり方も調べた。伝えたいことをまとめて暗記もした。
それでも緊張する。
いや、それでも緊張した、だ。
挨拶は終わった。隣にいる彼女は泣きそうな表情を浮かべている。それがすべてを物語っていた。
ぼくはなにか勘違いしていたようだ。
「今後ともよろしくお願いします」
深々と下げた頭の向こう側では見えなくてもご両親の真心が風を送る。
出会えてよかった。
と、心から思えた。
そして今夜は五年ほど暮らした部屋での最後の夜だ。
しかし、引っ越しの準備でくつろぐ暇はなさそうだ。
心地いい疲れが眠気を誘う。
今度、ぼくは彼女のお父さんを飲みに誘おうと思っている。
今夜、ぼくは一缶だけお酒を飲もうと思っている。
明日、ぼくは新しい生活に一歩足を踏み入れる。
だからぼくは夕方、親に電話をした。
ありがとう、とかすれた声で伝えたくて。
☆
今日は本当にありがとう。
無事に挨拶ができてよかったよ。
引っ越しの準備もようやく終わりそうだ。
最後にお風呂に入ろうかな。
この部屋にはたくさんの思い出がある。
きみと出会って、ケンカして、仲直りして。
今日、物を捨てる度に、ぼくは泣いたんだ。
今までありがとう、と。
寂しいけど、大丈夫。
きみと明後日から一緒に暮らせるなんて夢のようだ。
夢。
夢をありがとう。
ちょっと疲れたから、今日はこの辺で。
また明日ね。
心からきみのことを愛してるよ。
お休みさない。
☆
初めての人生、引っ越しは何回しても慣れないし、悲しいし、それでいて心からワクワクしている。
人は新しいことに恐怖を感じるそうだ。
でもぼくは今、
とても嬉しんだ。
感謝して物を捨てられること。
感謝して掃除ができること。
ここに住めてよかった。
本当に。
長い間、
そして、
今日もありがとう。
今年も、残り123日。
またね。
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