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「初めての人生の歩き方。――毎晩彼女と君にラブレターを」第409話:赤いチューリップに恋をして。

「馬は走る。花は咲く。人は書く。自分自身になりたいが為に」夏目漱石

 美容院に行ったついでに買い物でもして帰るかと、一人で大型スーパーをぶらぶらしていたときに、そろそろ買うものも買ったし帰ろうかと思ったそのときだった。

 ふと、赤いチューリップが目に飛び込んできたのだ。

 僕は腕を引かれるようにチューリップに近づいた。大ぶりの鉢に30センチぐらいの立派なチューリップが7本ぐらい植わっている。しかし、どことなく元気がなさそうだった。

 値札を見ると、1200円の上にバツが書いてあり、その横に700円とまたバツがあり、最後に300円という札が貼られていた。

 なんだ、売れ残りか。

 そう思いながらも、僕はその真っ赤な花から目を離せなかった。生憎、今日は歩きで来ているから、その鉢は少し重たい。それに値引きの理由は恐らくもう幾日ももたない証拠だろうか、すでに何輪かは枯れかけている。

 しかし、僕はそのチューリップを愛おしく感じた。

 花を咲かせても誰も見向きもしてくれず割引になり、このままでは捨てられるのを待つだけ。
 チューリップがまるで訴えかけてくるような気がして、また同時に彼は単純にチューリップのその可憐さに惹かれて、買うことにした。

 急な坂道を登っているとき、鉢の底をなんどか地面にぶつけてしまったが、無事に我が家にやってきたチューリップ。まだもう少しの晴れ姿を見せてほしいと切に思う。

チューリップの花ことばは「思いやり」

ここ最近、僕は君に対して思いやりがないときがあったかもしれない。

ごめん。

僕の弱いところだ。

強くなります。

君を悲しませないように。

君に追いつけるように。

君が更に笑顔で過ごせるように。

心から愛を込めて。

初めての人生、

本当に君は少しずつ成長していっているね。

テレビを我慢したり、

ご飯の食べるスピードが速くなってきたり、

もしかしたら自分ではとても遅く感じているかもしれないけど、

傍から見るとすごい勢いで君は成長している。

だから喜ばしい反面、

寂しいときもあるんだよ。

明日の君は

またきっと背が伸びる。

いつか僕たちを超えていくために。

今日もありがとう。

今年も、残り306日。

またね。

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