「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第256話:幸せの風。
「永久の未完成これ完成である」宮沢賢治
彼女とケンカして一夜明け話し合いをしてからの更に一夜明けた週始まりの月曜日。
ぼくはいつもより遅く起きて、そしていつも通りにバルコニーで瞑想をする。朝日がいつもより眩しく感じ、それは心の奥底から幸福を連れてくるいつかの風のようにぼくを幸せへと誘った。
いつもはもっと早く起きるように心がけているのがだ、そこまで成功率は高くないので、それならといっそのこと決まった時間に起きるのではなく寝るのが遅くなったらなったで起きる時間を変えようと思った。
習慣はいつか成長を止める。
成長が止まればぼくはいつか身を滅ぼす。
だから彼女の言葉に耳を傾けることがぼくにとっての彼女への愛なのだ。
愛の形は見えないからこそ。
先日までケンカをしていたのが嘘のようにぼくは今彼女がとても愛おしい。
先日まで腹が立ってもう好きにはなれないと思っていた彼女の娘が今はとても愛くるしい。
二人を笑顔で見送る。
ぼくはそれから朝の陽ざしの中、家族として家事をする。
風が少しひんやりとしてきたが、日光がさす場所はまだ夏の余韻が残っている。
洗濯物と洗い物を済ましてから、ブログ等の更新とようやく小説の執筆にとりかかる。
ぼくは今まで小説家になると言いながら一日の大半を時間がないといい逃げていた。それでもぼくの作品を面白いと言ってくれ、そして信じてくれる彼女の存在がぼくの脳内のどっかに埋もれていた「やる気スイッチ」をポチっと押したようで、だからぼくはとにかく書き進めることにした。
「あなたなら大丈夫」
彼女の言葉がそのスイッチに届いたときにした音は今でも忘れない。
がっかりさせたくない。
同時に小説を書くのが楽しくてたまらない。
逃げるのはもうやめだ。
ほら、娘が帰ってきた。
ぼくは娘の宿題を休憩だてら手伝うと、再びデスクへと向かう。
久しぶりに書き進めると勘が鈍っているのかすぐに集中力が途切れてしまう。今日はもう他の仕事はお休みにしよう。
カタカタと部屋の中にキーボードを叩く音が聞こえる。そこら辺を歩いている毛深いプロレスラーにアイアンクロ―を喰らったかのようにこめかみが痛い。
その痛みがこんなに楽しいということをぼくはすっかり忘れていたようで。
結局予定より小説は進まなかったけど、まずはこれでOKとして、ゆっくりち錆びた歯車をまた回していこうと思いながら、今夜の献立を頭の中で考える。思えば、ぼくはつい先月まで一人暮らしだったのだ。ふとそんなことを思い出しながら、前の部屋をありありと思い出すも、すでにそこはぼくの家ではなく、遠い昔に遊びに行った友達の家のような感覚が湧き上がり、そして部屋のイメージは消えていった。
もう寂しくなんかない。
家族がいる。いや、家族ができたのだ。
その事実が目の前にあるとき、だからいつもの太陽がいつもより眩しく感じたのだろう。
ぼくはまた明日も朝日を浴びながら瞑想をする。
そのときにどんな映像が頭に流れてくるのか、それはきっと幸せの風のように目には見えない。
☆
愛してるよ。
すごくきみに会いたい。
早く会いたい。
家で待ってるよ。
娘と待ってるよ。
気をつけて帰ってきてね。
☆
初めての人生はあまりにも刺激的だ。
幸せに慣れてしまったら不幸を落としてぼくを悲しませるし、悲しみに暮れていたら幸せが朝日にように昇ってくる。
生きているということはそれ自体がエンターテイメントだ。
楽しいという以外の感情はきっとペルソナだ。
人生は楽しいか超楽しいかの二択しかないのだから。
今日もありがとう。
今年も、残り95日。
またね。
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