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つれづれ、北野坂探偵舎 感情を売る非情な職業



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コミカライズされてたんだ!?


あらすじ

若き編集者佐々波は、時代遅れになった文学賞の運営を担当していた。胡散臭い上司、口うるさい後輩、再デビューを目論む作家の思惑が絡み合い、賞の選考は進む。
そんな中、佐々波は優秀な校正者だった最愛の恋人を突然失う。彼女はなぜ死んだのか?
残された疑問に、幽霊となった恋人は答えない。だが事故に遭い眠り続けていた“天才”が口を開く時、すべてのピースが繋がり始めて―小説への、無音の狂気と愛情の物語。

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感想

今回は結構進展したし、色々明かされてこれから佳境に入っていくのを感じた。
佐々波さんの過去、雨坂が眠ってた期間の描写と目覚め、紫色の指先がなんなのか。

佐々波さんの過去を前巻読んだ後掘り下げてくれたらな〜と思ってたら、まさか今回すぐに掘り下げてくれるとは(笑)
そのおかげでハッキリしたから良かったけども。
佐々波さんの亡き恋人、萩原春は校正者であり、紫色の指先のために死んだ。
ただ、紫色の指先のために死んだけど、結局そちらよりも恋人である佐々波さんの方が大切だったから彼の方を選んだ。
佐々波さんと萩原の関係は淡白ではあったけど、確かにお互いを想ってた。
二人とも名前呼びに発展するまでが遠いし、関係の発展が回りくどい(笑)
そののんびりとしたペースが二人には合ってたんだけどさ。
でも、萩原凄いな。リスペクトしてる作者の原稿を佐々波さんに燃やさせるなんて。
そこには狂気を感じるくらいの校正者かつファンとしての執念を感じた。
佐々波さんはその上を行くけどな。

はやて文学賞、第三十六回の大賞「未定」の作者が雨坂って、血縁者だよな続の。
紫色の指先は幽霊の集合体で、その中心にいるのは「未定」の作者、雨坂だよな。
執筆をずっと続けていて、ひたすら完璧な作品にするために生きてる人を勧誘して紫色の指先に取り込んでいるのか。
そして、その中に死んだ雨坂の姉、雨坂香苗も入っている。
さらに雨坂がもう一人いる。
義理の父は生きているから、香苗の夫だろうか?
香苗の夫が「未定」の作者で紫色の指先の中心にいるのか?
何故カラスはそこまで知っているのに未だ生きているのか。
かなり判明してきたが、またカラスについての疑念が深くなった。

続が雨坂になったのは、義理の父、香苗の夫の父親が引き取りたいって申し出たからなんだな。
それで朽木から雨坂になったのか。

それにしても、続は本当にチートキャラだな(笑)
約7年間眠り続けてたのに、目覚めてすぐ執筆してそれをはやて文学賞に出し大賞を取るなんて。
文才が衰えていることがなくむしろ成長してるってどんな(笑)
ただ、その代償…いや、事故の代償とも言えるけど、明らかに欠落してしまったのが感情の起伏なのかな。
泣いているのにそこには無感情にしか感じられないなんてな。
紫色の指先を解決したら戻るのかな。
それとも解決したら続は続でなくなるのかな、どうなるんだろう。

次回はこのシリーズの核が表題になってるから、次回核心に迫るのかな?


印象に残ったフレーズ

「チョコレートはとても詩的な食べ物ですね」
「どこが?」
「甘味の王様のような地位にいるのに、苦いのが特徴です。要素だけをみれば本来、子供のヒーローになれるお菓子ではない」
「ちょっとくらい苦い方がメジャーなんだろう。甘いだけじゃすぐに飽きちまう。ショートケーキのストロベリーだって、すっぱいくらいが美味い」
「ええ。そこが詩的で、人間的です。片隅に矛盾をはらんでいる」

佐々波にとって、小説はいちばん、才能がわかりやすい。映画よりも要素が少なく、音楽よりも丁寧に説明してくれる。本を読んでいると、作者の才能がちらりと見える一行に出会うことがあり、そんなときに深い興奮と幸福を感じる。

文章にだって年齢はある。速度はまちまちでも、書けば書くほど、文章は歳をとる。大抵は無駄が省かれ、簡潔になり、そのぶん作者の本質が浮き上がる。
―つまり、作家ってのは老いぼれるまでに、本質を作らなけりゃならないんだよ。

読了日:2015/11/25 🌟🌟🌟🌟


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