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帰りたい!と叫ぶおじいちゃんにできること

「家に帰りたい…( *´・ω)/(;д; )」

介護施設に、新しい利用者さんが入ると必ず言われるあるあるキーワード

認知症のおじいちゃんが、言ったある言葉が、切なかった。

「子供が、ここ(介護施設)で待っといて!て言ったきり、子供が帰ってこんのや!」
認知症になって入居してきた、プライドの高いおじいちゃん、が言った言葉

家族がそう言ったかは、謎である
でも、プライドの高い性格の認知症の人は、「今日からここに住むんだよ」と言ってもなかなか納得しない。

とりあえず、なんとか理由をつけて、介護施設にやっとの思いで、入居させた家族さんの悲痛な思いも感じた。

とくに、男性の認知症ほど帰宅願望が激しく、なかなか納得せず、下手したら職員に「早く帰してくれ!警察を呼ぶぞ!」と怒鳴る。

開かない玄関の扉を必死で開けようとする。
もちろん、機械でロック解除しないと開かない

職員も、
「夜遅いから、ここに泊まってくださいよ」
「もう、電車もバスもないから、ここにいてくださいよ」
「事務所の電話は、使えないからまた、明日の朝にでも」

と言った、そんな言葉でやり過ごす。
話し方も、極力丁寧に対応し、時には「すみません」と頭もさげる。

そんな問答を繰り返して、落ち着く認知症の利用者さんはまだいいほうだ。

帰宅願望が激しくて、興奮状態が続く、職員の業務に支障がでたり、他の利用者さんに迷惑がかかると、強めの精神安定剤が処方され、だんだんおとなしくなってくる。

「家に帰りたい」

住んでいた家があったのに、気づいたら見ず知らずの人間から「ここにいて」と言われる。

帰宅願望は、認知症だからじゃなくて、その人の本当の思いだと思う。

でも、その思いを薬でかきけさなければいけない現在の介護施設の現状。

どうすることもない現実のなかで、利用者さんも介護職員も闘っている。

介護施設の職員ができることは、丁寧な声かけと処方された精神安定剤をのんでもらう。
それだけだ。

とりあえず、いま願うことは、1日でも早くプライドの高いおじいちゃんが、「ここにいるしかないんやな~」と諦めてもらうこと。

ただ、それだけだ。

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