4月19日
なかなか寝付かない娘と布団に入っていると、一階からピー ピーと脱水終了の音が聞こえたので「とんちゃんの制服だけ干してくるね」と声をかけて下に降り洗濯機の蓋を開けた。
ん……?????
なんか匂う……洗濯物がクセェ。これはネギの匂いだ。
機内の洗濯物を少しかき分けると、見慣れた草がヒョロリと出てきた。
ノビルだぁ。それも沢山。
臭すぎて大声で娘を呼んだ。
「とんちゃん!洗濯機にノビル入ってんだけど!?」
すると少し間が空いて、2階から「ヒィィィィ…ごめんなさぁいいぃぃぃ」と絞り出すような泣き声が聞こえてきた。
幼稚園帰りの娘との会話が蘇る
「今日幼稚園でノビル見つけたんだぁ!」
「そーなんだ!どこにでも生えてるね〜。でも幼稚園のは採らないでね」
「うん」
野草採りは楽しいけれど、大人と一緒の時にしようね、と伝えている。
採るときは娘と逐一調べながら採り、毒草との違いも一緒に勉強している。だから幼稚園などでこれをやると中途半端に他の子が真似て、毒草を口にすると危険、と考えているからだ。でも今日娘は幼稚園で見つけたノビルを採ってスモックのポケットに入れたまま持ち帰り、しかも忘れてそのまま洗濯機に入れたようだった
「降りておいで!」というと娘が泣きながら階段を降りてきた。私は大量の洗濯物に絡まった沢山のノビルをつまみ取りながら(機内ですりつぶされてめちゃくちゃ臭い)話した。
「幼稚園で採ったらあかんでって言うたときなんで隠したん?」
「(帰るまで)内緒にしたかったのぉぉぉ」
「なんで幼稚園で採ったらあかんて言ったかわかってる?」
「……洗濯物に入るから」
「ちがう!じゃなんで大人と一緒じゃないとあかんて言ったか、わかる?」
「毒の草があるからぁぁぁ(号泣)」
「お友達が真似して毒の草食べたら大変なことになるからやで」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁー(号泣)」
「誰かに教えた?」
「んーん、1人で採った…」
「採ってどうしようと思ってたん?」
「かっかと…一緒に…食べようと思ってたぁぁ(号泣)」
幼稚園でノビルを見つけた時の娘の気持ちを思うと胸がギュッとなる。嬉しかったんだもんね。悪いことしたわけじゃない。私に見せようとしただけ。でもお約束はお約束。
娘はその後、私にしがみいてヒっクヒクしながら寝た。また2人で野草採りに行こうと約束した。
私は二度目の洗濯を終えて臭くなくなった洗濯物を干しながら、娘の泣き顔を思い出し泣きたくなるのだった。