虹色百貨店の空色の仲間たち-第3回

衝撃の最終面接が終わり、僕はすっかり落ち込んでいた。

相撲部屋の気合い、百貨店めぐりの用意周到さ、中島みゆきの個性と比べて自分があまりにも平凡に思えたからだ。きっと彼らは今に至るまで、就職活動を必死にやってきたのだろう。それが受け答えに出ていた。中島みゆきは別にして。

この先どうしよう……。

そう思っているうちに、ゼミの教授との卒論作成面談が始まり、就職活動どころではなくなってしまった。

最終面談から一週間ほどたち、その日も教授との面談を終えて家に帰ると、

「虹色百貨店から電話があってね、来てくれますよねって心配してたよ」

と祖母に言われた。

「ええーっ」

すぐに折り返し連絡すると、人事係長より『内定』と言わ提出れ、書類等の説明があるから来社して欲しいとのことだった。

他に決まっているところなんかないし、こんな自分を採用してくれる虹色百貨店に迷わず行こうと思った。

そして指定された日時に行くと、面接の控室だった部屋を訪れたのは僕一人だけ。他にはいないのかと思っていると人事係長が入ってきて、

「おめでとうございます! 実は、今回もう一人福岡さんが内定したのですが、申し訳ありませんが……と連絡がありまして」

中島みゆきだ! 中島みゆきがもう一人の内定者⁉ しかも辞退!!

彼には申し訳ないが、4人のうちだめそうな2人が内定するなんて……。最初の説明会で、すでにほとんどの内定者が決まっていると言われたが、他にはどんな奴が決まっているのだろう?

不安と期待が入り混じった感情が襲ってきたが、こうして僕は虹色百貨店の一員となった。そして、その予感通り、半年後に強烈な個性の仲間たちと出会うことになるのである。


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