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窓展と芸術鑑賞のはなし

この間、嵐のような風と雨が降りしきる中、竹橋にある東京国立近代美術館で行われている窓展:窓をめぐるアートと建築の旅に行ってきました。一言でいうと、とっても面白かったからみんな行ってみてね!です。
ちなみに東京では2020年2月2日までやっているので、私は会期中にもう一度行きたいと思っている。
(丸亀会場:丸亀市猪熊弦一郎美術館で2020年7月11日~9月27日)

窓展とは

窓研究所(というところがあるらしい!)が取り組んでいる「窓学」に基づき、窓に焦点を当てた展覧会。「窓」をテーマに建築・文化・芸術など、多面的な視点から窓を鑑賞することが出来る。
アンリ・マティスやパウル・クレーの絵画や、マルセル・デュシャン、ゲルハルト・リヒター(リヒターは私は知らなかった)の現代美術、ル・コルビジェやピーター・アイゼンマン(この人も私は知らなかった)らの建築家のドローイング、写真・ミクストメディア・インスタレーションなどなど。あらゆる形態の窓にまつわる芸術作品と建築作品を110点余も集めちゃったスーパークールな展示。

そうそう!窓展はほとんどの作品が写真撮影OK(動画はダメ)なのも嬉しい。芸術を撮影しスマホという自分だけの窓に持ち帰れちゃう。なんちって。

私が興味をそそられた作品

・窓年表
作品というと少し違うかもしれないけど。日本における窓や世界における窓と、工業的・建築的な技術としての窓の変遷を視覚的に一度で見ることが出来たのがとても面白かった。例えば、カメラ・オブスクラが約1000年頃にその理論を確立されている中、日本では方丈記や徒然草に窓という言葉やモチーフが現れていることが同時に情報として目に入ってくる。
年表といっても単に文字列だけでなく、建築物の写真や絵画も挿入されているのでとても分かりやすかった。

私が窓、、と考えた時に、そういえば塩田千春の魂がふるえる展でもベルリンの廃ビルの窓を集めたインスタレーションあったよなぁとか、ジャイプールで見た風の宮殿もめっちゃ窓!!!の建造物だったなぁ、とか考えていたら年表に出てきてちょっと嬉しくなったり。

美術展の年表のコーナー、たいてい斜め読みしちゃう私が興味深くじっくり読めるくらい気に入ったのでオススメ。


・フレームⅣ ロイ・リキテンシュタイン(Roy Lichtenstein)
キャンバスの裏側を描いた作品。木枠のフレームとキャンバスの布地の裏側がまるで窓のように見える。錯視の絵みたいで面白かった。内と外。外と内。直接的に【窓】を描いた作品ではないのだけれど、キャンバスが持つ外側(作品を描く側)と内側(通常壁に向く、鑑賞者には見えない側)の裏側を描くことで、窓と同じように空間を外側と内側で隔てる役割がキャンバスにもあることを見る者に与える作品だった。原美術館所蔵。

(写真があればより分かりやすいのだけど、夢中でほとんど写真を撮らなかったんですよ。てへへ。)


・My%Desktop OSX 10.4.7 JODI
二つの大きなスクリーンにパソコンの画面が写し出され、そこでフォルダの新規作成、複製、ウィンドウの展開が繰り広げられている動画作品。クリックする電子音が結構なボリュームで響くし、パソコンがウイルス感染したみたいにどんどんウィンドウを開き続けていくのでちょっと怖い。でもなんだか目が離せない。
窓、といえば英語でウィンドウだけど、たしかに我々はインターネットで別窓で開くなんて言葉を使うね。窓が何かを隔てるものだとするなら確かにそれは窓と呼んで差し支えないのかもしれない、と思った。

スクリーン上を暴走するウィンドウ開きの動作はプログラムでオートマチックにしているのかと思ったけど、手入力という作品紹介を読んで好き……となりました。

書き出してみたらたった3(2)作品かい!となったけど後はみんな実際に行ってみて。私も今度は3~4時間くらいかけて観に行くから…(1.5時間くらいあれば大丈夫かなぁ~と思ったら全然足りなかった…個人差がありますが…。展示出口で私の前にいた人は監視員?の人に「つまらなかったわ~」とぼやいて出て行ったので。)

芸術鑑賞における鑑賞者の態度について

これは窓展だけに関わる話じゃないし、同じnoteの記事にするかも迷ったけれどついでに。興味のある人は読んでくれたら嬉しい。

芸術作品を見て「面白かった」「つまらなかった」「よく分からないけどかっこいい」と個人が個人的な範囲内で感想を抱くのは別に罪じゃないと思うし、知識や教養がなくとも、芸術鑑賞をしてはいけないはずはない。(と私は考えている)
だけど、そうした無知なアートの鑑賞者が芸術作品の社会的意図や歴史的過程を無視し、束になってよく分からないまま、芸術とそれに携わるものを攻撃するのはなんだか違うなぁと思っている。例えば、あいちトリエンナーレを巡る一連のあれこれとか。正直、勉強不足で私は何も語る資格がないのであくまで一例として挙げるのみにとどまらせてもらうけれど(人はこれを逃げ、とも言う)。

私はどちらかと言えば「よく分からないけどこの色キレー」で終わってしまうタイプの無知なアートの鑑賞者なので、鑑賞の態度を改めないといけないなぁと痛感した。

昔はアンディ・ウォーホールのキャンベルのスープ缶がなぜ芸術的価値を持ち、評価されているのか分からなかったから、短絡的につまらないな、と思い込んでいたけど、今はレディメイドやコンセプチュアルアートの概念を知った=知識を得たから、なるほどと思った上で「それでもやっぱりキャンベルのスープ缶(の作品)、私は別に好きじゃないや」と自信を持って言える。

もちろん人間はオギャアと生まれた時から印象派やキュビズムやコンセプチュアルアートを知って生まれてくる訳ではないから、初めて芸術作品に対峙した時に1個でも良いから知識を身に着けていこうよ、という話でした。

追伸:コードとモードという美術(だけかは知らない)の文脈での用語を体系的に解説した本や文献があれば教えて欲しいです。あとは国語便覧や理科資料集みたいな美術史集?みたいな本でオススメを知りたいです。どうやって検索したら良いかも分からない美術ベイビーだと思って有識者のみなさまは呆れても良いので怒らず教えてくださると嬉しいです……お願いします…。

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武中ゆいか
サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。