星芒鬼譚5「ビジネスチャンス、きちゃったかも」
イギリスの郊外にある、屋敷の二階。
黒いドレスをまとった淑女が、ティータイムを楽しもうとしていた。
窓際の小さなテーブルにはケーキスタンドが置かれ、その上にはスコーンが並べられている。
淑女は頬杖をつき、満足そうにそれを眺めている。
「さあ、紅茶が入りましたよ」
執事然とした大男が、ソーサーにのったティーカップをテーブルに置いた。
ふわっとフルーティーな香りが漂う。
「うん、ありがと。今日はレディグレイね」
大男はいくつも縫い傷がある顔で、微笑みを浮かべた。
淑女が早速ティーカップを手に取り、香りを楽しむ。
唇をつけようとしたその瞬間、窓の外から大声が響いた。
「アマニータ~~~!!今日こそお茶しようぜ~~~!!!」
淑女がぴたりと止まり、深いため息をついた。
大男が窓を一瞥する。
「私が行きましょう」
「お願いね、フランケン」
大男―――フランケンは頷くと、一礼して部屋を出ていった。
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