見出し画像

星芒鬼譚5「ビジネスチャンス、きちゃったかも」

イギリスの郊外にある、屋敷の二階。
黒いドレスをまとった淑女が、ティータイムを楽しもうとしていた。
窓際の小さなテーブルにはケーキスタンドが置かれ、その上にはスコーンが並べられている。
淑女は頬杖をつき、満足そうにそれを眺めている。

「さあ、紅茶が入りましたよ」

執事然とした大男が、ソーサーにのったティーカップをテーブルに置いた。
ふわっとフルーティーな香りが漂う。

「うん、ありがと。今日はレディグレイね」

大男はいくつも縫い傷がある顔で、微笑みを浮かべた。
淑女が早速ティーカップを手に取り、香りを楽しむ。
唇をつけようとしたその瞬間、窓の外から大声が響いた。

「アマニータ~~~!!今日こそお茶しようぜ~~~!!!」

淑女がぴたりと止まり、深いため息をついた。
大男が窓を一瞥する。

「私が行きましょう」
「お願いね、フランケン」

大男―――フランケンは頷くと、一礼して部屋を出ていった。

ここから先は

2,344字
この記事のみ ¥ 200

面白いなと思ってもらえたらサポートをお願いします。 執筆の際のカフェ代や、記事を書くための取材の予算として使わせていただきます!取材先に心当たりがあればぜひ教えてください(ここが面白そうだから行ってみて!とか)