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#安倍晴明
星芒鬼譚11「待って不死身の人多すぎない?」
「ここまで来れば大丈夫かと…って大丈夫ですか?」
賀茂が振り返ると、京極はぜぇはぁと息を荒げていた。
なんなら、げほげほと噎せている。
「だ、大丈夫じゃないけど…とりあえず、大丈夫…」
京極はベンチに倒れ込むように座った。
賀茂も、少し間を開けて腰を下ろす。
夜の公園には誰もいない。外灯がジジッと音を立てて点滅した。
しばらく続いた沈黙を、賀茂が破る。
「…京極さん。昨日のことですけど」
星芒鬼譚12「この街の平和は僕たちが守るのです!」
源探偵事務所の社用車は、鞍馬山へと向かっていた。
わずかに開けた窓から入ってくる風に、ひよりの頭の上の耳がぴこぴこと動く。
「いや~、狸に化かされたのは初めてでしたよ」
助手席の光太郎がバックミラー越しに見ながら言った。
ひよりは邪魔にならないように前に抱えた大きなしっぽを、きゅっと抱き締めた。
「隠していてごめんなさい。でも、探偵さんなんにも聞かないんですもの」
「普段から人間の姿で生活し
星芒鬼譚16「取引成立だ。よろしくな、相棒」
鞍馬の屋敷からそっと抜け出した武仁は、石段に座っていた。
灯籠の明かりも消え、あたりは真っ暗だ。
夜風が頬を撫でるのが気持ちいい。
眼下には、中心地の夜景がちらちらと光っているのが見える。
もう何度目だろうか、手元のスマートフォンを確認すると、武仁はため息をついた。
わかってはいたが、やはり夏美からも光太郎からも連絡は入っていない。
「ここにいたんですね」
振り向くと、ひよりが立っていた。
星芒鬼譚18「さあ、総力を挙げてもてなしてやるが良い。存分にな」
真っ暗な廊下をヴァンヘルシングとカーミラは歩いていた。
城内はひっそりと静まり返っている。
二人ともあたりの様子に集中し黙っていたが、カーミラが口を開いた。
「ねぇ、なんだか変よ…静かすぎるわ」
カーミラは耳が良い。
本人が言うには、人間にはわからない超音波を感じとることができて、物との距離感までわかるんだそうだ。
彼らの眷属であるコウモリと同じ特性を持っているのだ。
「ああ、罠かもしれない