初・中級者向け 週2日/3週間 筋力強化プログラム「羅漢プロトコル」とは ~中上級者以上にも拡張できます~
この記事では海外の有名プログラムの紹介ではなく、わたくし「寂羅漢」の提案する筋力トレーニングプログラムの解説です。
正直、自分のような競技レベルの者が「オリジナル」を標榜するのはいささかおこがましいのですが……
ただ、プログラムそのものの優秀さにはかなり自信があります。
基本的に、遺伝的才能に優れた人ほど、プログラムはあまり必要ないか、あってもシンプルなもので済む傾向にあります。
その人自身が持っている「伸びしろ」がもともと大きいので、あまり複雑なことをしなくても、ただ練習すればするだけ成長するからです。
なので、トップ選手に練習法や記録を伸ばす秘訣を聞いても「プログラム?何それ?」といった反応が返ってくることもしばしば。
とはいえ、「ひたすら練習量を増やす」「ひたすら重量を増やす」というのは、もっともシンプルな「線形プログラム」の一種とみなすこともできます。
そうなると、積極的にプログラムを組む必要があるのは、むしろ「才能に恵まれていない人」の方かもしれません。
練習してもなかなか成長につながらない人、伸びしろがなくなりつつある人、それでもどうにかして成長をもぎ取りたい人こそ、練習法を工夫しないといけないのです。
だからこそ、適切なトレーニングプログラムが必要になります。
あるいは、才能のある人であっても、従来の練習法では成長が見込めなくなりつつあるような、きわめて高次の段階に到達した人も必要になってくるでしょう。
つまり、プログラムというのは残り少なくなった「伸びしろ」を、最大限活かすための工夫なのです。
ということで、本プログラムはこんな方を対象にしています。
基礎種目のフォームは一応固まっている。
曜日ごとに行うメニュー構成も固まりつつある。
だけど、最近重量が伸びなくなってきた。
筋トレの基礎基本は学んだけれど、定番の10回×3セットでは成長が頭打ちになってきた……
そんな、初級もしくは中級の人向けプログラムです。
もちろん世の中には、10回×3セットという超定番のやり方で、とんでもないレベルまで到達してしまう人もいます。
ボディビルやバーベル競技で頂点に立っているのは、おおむねそんな人たちばかりです。
しかし、残念ながら成長が頭打ちになってしまった人は、トレーニング法を変えないことにはそれ以上の成長は望めません。
これは、「何kg挙がるか」とは全く関係のない話です。
普通の人がすぐに到達できる重量であっても、もしそこで長いこと停滞しているならば、それは伸びしろが減っている兆候です。
停滞の壁を破るために、ただ単純にトレーニング量を増やすという選択肢もあるにはあるのですが、その場合はケガやオーバートレーニングといった問題が生じる恐れもあります。
「ハイボリュームな練習に耐えうる恵まれた素質」がないと、練習量の単純な増加はかえって逆効果なのです。
ケガを避けつつ、従来とは別のやり方で結果を出す。
その選択肢の一つが、この
「羅漢プロトコル」
です。
世に公開されている数多のプログラムを分析した上で、筋力の向上に必須と思われるエッセンスをコンパクトに詰め込んだものです。
初・中級者向けとなっていますが、プログラムを拡張すれば、中上級、あるいは上級者の方でも対応可能です。
拡張のための前提となるプログラム構成の考え方も、本記事の後半で解説しています。
さて、基本的な軸は次の通り。
メインリフトはBIG4+1
筋力強化を目指すので、基礎的なバーベルのコンパウンド種目を基本とします。
もちろん、マシン種目で筋力向上を目指すことも可能です。
本プログラムを、マシン種目で代替してもいいと思います。
しかし、最近の研究動向によると、マシンはマシンの、バーベルはバーベルの1RMのみが向上し、両者のキャリーオーバーはあまり望めないというデータがあるそうです。
また、身体能力、競技力向上への貢献度については、どちらが優れているかまだ最終的な結論は出ていません。
が、基本的に競技アスリートはバーベル種目を信頼する傾向があります。
(ボディビルダーやフィジーカーは、逆にマシン重視がトレンドです)
理由は明確ではありませんが、おそらく競技の状況により近いのはマシンよりもバーベルだからでしょう。
少なくともバーベルは、地面に立って行う種目がほとんどです。
ということで本プロトコルでは、
スクワット
ベンチプレス
デッドリフト
のBIG3に、
オーバーヘッドプレス
を加えた4種目が基本となります。
この辺は、筋力トレーニング本の超定番である『Starting Strength』に準拠しています。
しかし、さらに準主要種目として、
ペンドレイローをメニューに追加しています。
この種目、スターティングストレングスにも「ローイング」の呼び名で、補助種目として載っています。
が、本プログラムでは扱いを上げました。
この4+1のメイン種目に加え、各種の補助種目を入れる
という構成になっています。
基本は
全身法で週2日、3週間のトレーニングプログラム
ですが、デロードやMAX測定を追加すると4週間になります。
それから前提として、少なくともBIG4の種目に関しては自分の「1RM」、つまりMAX重量を知っていることが必要です。
また、基本的なフォームにも問題ないことが前提です。
(フォーム習得に課題のある人がプログラムを回すと、ケガなどのトラブルに見舞われる確率が高まりますのでご注意を)
もし「自分の1RMが分からない」という人がいたら、過去に成功した最大重量×回数のセットから、1RMを推定してください。
推定のための表や計算式はネット上にいくつも存在します。
ただし推定は控えめに。
出た数値から5%~10%ぐらいは割り引いた方が無難です。
たとえば「5/3/1」という有名なプログラムでは、1RMの90%をトレーニングの基準にするよう指示しています。
特に、プログラムを初めて導入する人は、重量を控えめに設定した方が停滞を打破しやすい傾向があります。
プログラムというのは、目先の5㎏を伸ばすよりも、将来の10㎏、20㎏を伸ばすべく、なるべく長期的な目線で取り組むものです。
急がば回れ、ですね。
それではさっそく紹介しましょう。
まず、
ウォームアップ
に関して。
ジョギング、体操、ダイナミックストレッチなどを3~10分行うところから始めましょう。
ダイナミックストレッチで有名なのは、たとえばブラジル体操などです。
スタティックストレッチ、いわゆる従来の「静かにぐいーっと伸ばす」ストレッチは避けてください。
BIG4種目に関しては、
シャフトのみ(20㎏)
その日扱う最高重量の30~70%まで
で、ウォームアップのセットを適宜行いましょう。
疲労を避けるため、回数は多すぎない方が良いです。
たとえば、その日のメインセットが100㎏の場合、
20㎏(シャフトのみ)×5~10回
40kg ×3~5回
60㎏ ×2~3回
70~80㎏ ×1~2回
といったイメージです。
この辺は、個人のトレーニング経験や好みによって変わってくるところです。
時短したい人はテンポよく少なめに、ケガや故障の既往歴がある人はできるだけ入念に行ってください。
では、実際の内容です。
Week1
Day1
スクワット 1RMの75%で 8回×4セット
ベンチプレス 75% 8回×4セット
ペンドレイロー 70% 8回×2セット
オーバーヘッドプレス 60% 8回×2セット
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