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大人気のクレアチン、やっぱり飲んだ方がいいですか? ~ ハンドボール選手で比較実験してみました ~

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〜3月17日 18:30

筋トレを始めてしばらくすると気になってくるのが、いわゆるサプリメントの類でしょう。

プロテインをこまめに飲み始めるのはまあ「通過儀礼」(?)としても(そしてとんでもない上級レベルに到達すると、逆にあまり飲まなくなるのも不思議です)、他にもあれやこれやが気になるもの。

少し検索しただけでも、それこそ厖大な種類のサプリメントが挙がってきます。

中には、なんだか怪しげなものも……。

もし筋トレを一つの「産業」としてみるなら、サプリメント業界はとても有望な「市場」といえるでしょう。

しかし、そうなるとやはり気になるのが

サプリ、ほんとうに効果あるの?


という疑問です。

見てる分には、いかにも効きそうなものばかりなのですが。
むしろ、飲まないのは「損」と言わんばかりです。

とはいえ、そもそもサプリメント「医薬品」ではありません。

原則として、日本で医薬品は「医師の処方箋」があるか(処方薬)、もしくは薬局・薬店などで購入する(市販薬)かしないと手に入りません。

安易に濫用されることがないよう、入手方法に一定の制限がかけられています。

医薬品には、主作用もあれば望ましくない副作用もあるので、飲んで良いことばかりではないからです。

その一方で、サプリメントにはそうした法的な縛りがありません

あくまでも、法制度的には「食品」と同じ扱いです。

食品。

これは裏を返せば、サプリには

そもそもそんなに大した効果はない


ということでもあります。

あったとしても、せいぜい「健康にいい食べ物」と同レベルの効果しかない、ということです。

まあ、トレーニーにとって食事じたいは非常に重要なものですが。

サプリメントを語る上では、まずこのことを確認しておかなければなりません。

少なくとも、飲んですぐに特別な効果を実感するようなものがあれば、それはおそらく薬品の類でしょうし、もしくはそれに相当するものが

混入


していると思っていいでしょう。

実は、サプリメント業界ではこの「コンタミネーション」がけっこう厄介な問題にもなっています。

製造設備等の不備で、意図せず「汚染」されてしまうこともあれば、中にはサプリの効果を高めるために、なかば意図的に「混入」させる業者もいると聞きます。

ドーピングチェックのある競技に取り組んでいる選手にとってはそれこそ死活問題ですし、そうでない人にとっても、気付かず薬品を摂取させられているリスクがあるという意味で、健康や安全に関わる重大な問題です。

希望の星、クレアチン


しかし、そんなサプリメントの中にあって、トレーニーの間でとても評判がいいのが、クレアチンです。

もう、色んな方がおススメしています。

なぜかというと、クレアチンはちょっと怪しげ(?)なサプリメント業界においては、珍しく根拠が比較的明確な、つまり有効とされる「エビデンス」の多いサプリメントだからです。

今回紹介する論文も、クレアチンの効果について確かめたものになっています。

少々古いですが、2002年の研究です。
基礎文献の一つ、ということでそこはご容赦ください。

スペインの、ナバラ州政府スポーツ医学研究センターによる論文です。

「州政府」とありますが、ナバラ州はいわゆるバスク地方の一部で、歴史的な経緯もあって自治州としてかなりの権限を認められているのだとか。

かつて同地には「ナバラ王国」という国家が存在していたようです。

実験内容


実験は、19人の男性ハンドボール選手を集めて行われました。

選手はスペイン2部リーグに所属するチームのメンバー(全員同一チーム)とのこと。

2部とは言いますが、スペインはハンドボールの強豪国らしいので、レベルは決して低くないと思います。

実験期間は1週間

リーグのシーズン中の、試合のない週に実験は実施されたようです。

実験内容は、いわゆる「二重盲検のランダム化比較試験」です。

被験者を無作為(=ランダム化)に2つのグループに分けて実験を行い、得られたデータを比較するものです。

比較対象は、それぞれ

クレアチン グループ(実験群)=9人
プラセボ グループ (統制群)=10人

としました。

その際、被験者も実験者も、どちらが実験群(実験の対象となるグループ)でどちらが統制群(比較のための、何もしないグループ)なのかを知りません。なので「二重盲検」です。

つまりこの場合、実験群の被験者だけがクレアチンを摂取し、統制群はかわりに「偽薬」(ここでは効果のない「偽サプリ(?)」)を摂取するのですが、どちらのグループがどちらを飲んでいるか、分からないようにして実施するということです。

人間は「思い込み」(プラセボ)の効果が馬鹿にならないので、こうしたちょっと面倒な手続きをとる必要があります。

ちなみに今回使用された偽薬(偽サプリ)はマルトデキストリンだそうです。
いわゆる糖質源ですね。

とはいえこれもトレーニングの定番サプリなので、もしかしたら何らかのメリットがあるかも知れませんが。

さて、これらの2グループに

体力テスト(1日) → サプリ摂取(5日間) → 体力テスト(1日)

というスケジュールで実験を行ってもらいました。

体力テストの内容は、

  • ベンチプレス

  • ハーフスクワット

  • 垂直飛び

  • スプリント

  • 持久走

などです。

ただし、ベンチプレスとスクワットは「バーベルが上下にしか動かない器具」で行ったとあるので、おそらくスミスマシンを使用していると思われます。

上記のような器具ですね。

また今回の実験では、

ベンチプレス は胸の1㎝上
スクワット  はヒザを90°に曲げた状態で肩の上

バーを位置させ、そこから動作をスタートさせています。

つまり、通常のベンチやスクワットでは

下ろす → 挙げる

という、エキセントリック(伸長)→ コンセントリック(収縮)の順序で動きますが、今回は

挙げる → 下ろす

という、コンセントリック → エキセントリック の順序になっています。

スミスマシンには大抵ストッパーが付いているので、こうした調整も可能となるのですね。

それからサプリ摂取の期間中には、

クレアチングループ(実験群):5g
プラセボグループ (統制群):同量(5g)

を、1日に4回摂取したとのこと。

1日あたり20g、それを5日間ですから、期間中に合計100g摂取したわけです。

プラセボのマルトデキストリンはともかく、クレアチンはけっこうな量を飲んでますね。

さて、それでは結果はどうなったでしょうか。

実験結果

➀Body Mass(体格)

クレアチングループのみが有意に増加しました。

クレアチンG:79.4±8㎏ → 80±8㎏
プラセボG :87±12kg  → 86.8±11㎏
      (±の後の数値は標準偏差)

クレアチンを摂取したグループは、わずかながら平均体重が増加しています。
マルトデキストリンを摂取したプラセボグループはわずかですが、逆に落ちていますね。

➁Maximal Strength(最大筋力)

ベンチプレスとハーフスクワットの1RMです。

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