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最適な筋力トレーニングは「分割法」か「全身法」か?~長年の問題に「メタ分析」による結論が出ていた件について~
さて、「分割法」と「全身法」。
いったいどちらが最適解なのか、筋力トレーニングをする人にとっては、古くて新しい問題です。
まず分割法というのは、現代の筋トレ業界では割とポピュラーというか人気の方法で、簡単に言うと曜日ごとにトレーニング部位を分ける鍛え方です。
一番シンプルなのは、
月曜日:上半身
水曜日:下半身
金曜日:上半身
(翌週月曜は下半身)
と上下で2分割する方法でしょうか。
しかし、いわゆるトレーニングに「本気」の人ほどだんだん分割方法が細分化し、
月曜日:胸、肩
水曜日:背中、腕
金曜日:脚、腹部
という3分割や、さらには
月曜日:胸
火曜日:肩
水曜日:脚
木曜日:腕
金曜日:背中
土曜日:腹部
の6分割!という人も。
ボディビルやフィジークなど、いわゆるボディメイク系の方面ではこの分割法がメジャーでしょう。
「トレーニング、何分割でやってる?」というのがトレーニー同士の挨拶代わり(?)だったりもします。
一方、全身法は部位を分けずに、一度のセッションで文字通り全身を鍛えるやり方です。
この場合、各部位を狙って鍛えるというよりは、「どの種目をやるか」という観点がメインになるでしょう。
たとえば、
月曜日:ベンチプレス、スクワット
水曜日:デッドリフト、オーバーヘッドプレス
金曜日:クリーン、ローイング
といった具合です。
どの曜日も、上半身と下半身を鍛えていますね。
こちらは、ウェイトリフターやパワーリフターといったバーベル競技の方、もしくは競技力向上のためにウェイトトレーニングを行うアスリートなどが好んで採用する方法でしょう。
ということで、従来の経験則ではなんとなく、
筋肥大を最優先するなら分割法
筋力や動作など、いわゆる競技力を重視するなら全身法
といった、一種の「棲み分け」のようなものが成立している印象があります。
しかし、これはあくまでも習慣というか経験則であって、それが本当に正しい知見なのかは分かりません。
さて、このトレーニング界をそれこそ「分割」するような大問題について、科学的見地から分析した論文が出ていたので紹介しましょう。
2024年、スペインのマドリード工科大学の研究です。
これはいわゆる「メタ分析」の論文で、複数の論文(主に比較実験)から得られたデータを統計的に抽出し、総合的な結論を出すというものです。
実験一つではなく複数の研究に依拠しているという意味で、いわゆるエビデンスのレベルとしては最も高いとされています。
もちろん過信は禁物ですが。
さて、今回の研究では最終的に14の研究論文(実験)を分析対象としています。
(検索でヒットした候補となる論文は全部で3000近くあったそうですが、最終的に分析データとして使用できたのはこれだけだったようです)
それらのうち、
2つの研究は女性のみ
11の研究は男性のみ
1つの研究は男女両方
が被験者とのこと。
参加者の各項目平均値は、
年齢25.3歳
体重78.1㎏
ベンチプレス(1RM) 76.1㎏
下半身種目 (1RM) 107.1㎏
となっています。
ちょっと1RMの数値が控えめな印象ですが、これは女性の被験者も含んでいるせいもあるでしょう。
またエリート層のアスリートというよりは、どちらかというと一般人寄りなのだと思います。
それから「下半身種目」(Lower-limb exercises)というちょっと見慣れない表記になっているのは、論文によって下半身の1RM測定種目がレッグプレス、スクワット、スミススクワットなどバラつきがあるためです。
レッグプレスとスクワットでは1RMの数値はかなり異なるので、下半身に関してはあくまでも参考値ぐらいに受け取った方がいいのかもしれません。
(しゃがみの深さ等の問題もあるので一概には言えませんが、例えばスクワット100㎏が挙がる人だと、レッグプレスは130~150㎏ぐらい挙上できるのではないでしょうか)
このベンチプレスと下半身種目の1RM記録によって筋力の向上を測定しています。
またそれに加えて、
上腕三頭筋の断面積(Elbow extensors cross-sectional area)
上腕二頭筋の断面積(Elbow flexors cross-sectional area)
外側広筋の断面積 (vastus lateralis cross-sectional area)※大腿四頭筋の一部
除脂肪体重(Lean body mass)
などの結果から、筋肥大の効果も測定しています。
種目数、負荷、セット数、インターバル、実施期間などは各実験によって異なっているようです。
さて、それでは気になる分析結果はどうなったでしょうか?
なんと、全身法と分割法を比較した結果、
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