授業紹介:教育行政論(2024年度・教育学類)
(この記事は、2024年度時点での授業内容をもとにしています。)
筑波大学における私の学群・学類(※筑波大学の学部相当)での主たる担当科目の一つが、「教育行政論」(教育学類開設・専門科目)です。標準履修年次は2年生で、講義中心で、教育行政・政策に関する内容を扱っていく授業となっています。
3年目となり、ある程度ベースとなる形もできつつあるので、せっかくなので少しばかり内容を紹介したいと思います。
授業内容の構成は、以下のようになっています。(75分×20回)
実は私自身が学部生で学び始めた頃、この分野に興味を抱きつつも、当時はいまひとつ深くのめり込めなかったところもありました。そのため、学部生の頃の自分が、この分野の面白さや広がり・深まりを少しでも感じられるにはどうすれば良いか…?ということも意識しながら、授業内容を組み立てています。
授業内容を組む際に意識していることの一つは、制度や政策の解説というよりも、「問い」や「視点」を軸に授業を作るということです。この点については、こちらの書籍からも多くの示唆を得ています。
村上祐介・橋野晶寛『教育政策・行政の考え方』有斐閣、2020年
私自身の授業でも、個別の制度や政策の解説だけでなく、その背後にどのような争点や視点があるのか、またそれらが他のトピックとどのように繋がってくるのか、といったことを意識して講義を行っています。(そのため、毎回の講義のまとめで、いくつかの視点や論点の例を提示しています。)
また、学部当時の私が、教育行政・政策に目を向けることが重要ということは理解しながらも、関心を深めづらかった別の理由として、教育制度・行政・政策それ自体で議論が閉じていることが多く、教室や学校での実践、子どもの学びや育ちとどう繋がっていくのかが見えづらかったということもありました。(このことは今でも、自分自身の研究を含めた問題意識にも少なからず通底していたりもします。)
そのため、この授業では、教育政策・行政のありようが教育実践や子どもの学びや育ちにどのように影響を与えるのか(与えないのか)、という点にもできるだけ視野を広げるようにし、学生の皆さんにもそうした視点も意識してみてほしいと話しています。
なお、授業の進め方としては、以下のような流れ(サイクル)を基本として進める形で定着しつつあります。
講義(最後にいくつかの視点・論点も提示)
リフレクションコメントの記入
次回の授業冒頭で:前回の受講生の振り返りの紹介(&古田からのコメント)→それを読んでのグループでの意見交換
徐々に形になってきているとはいえ、まだまだ改善の余地もありますが、ありがたいことに、授業がきっかけや決め手となってこの分野に関心を持ったり、ゼミに来てくれたりする学生なども少なからずいるので、引き続き改善を続けながら頑張りたいと思います。