第7話~映画を浴びる~
「プッー」後ろの車のクラクションで目が覚めた。早朝の神聖な空気を優しく振動させる朝露のようにはかない控えめな音だった。どうやら赤信号の間に寝落ちしてしまったようだ。それはそれは滑稽なモーニングコールである。
若気の至り―深夜まで勉強し、朝5時には魚市場に立っている。家業の4代目として意気込み体に負荷をかけすぎた。そんな時にふと参加した経営者セミナーで出会った印象的な言葉がある。―美術館にいくと決算書が読めるようになる―比喩的な表現だが、要は好奇心旺盛な経営者は机に向かわずと