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富士山さんへ登った時のこと

 ハイキングor 登山に急に興味が湧き出したので、過去に富士山に登山した時のことを思い出しながら書いてみたいと思う。

 10年ほど前、当時お酒馴染み2人と東京で同居生活をしていた時、週末に急遽富士山に登ることになった。理由は単純で、一度は登っておいた方がいいと全員が思っていて、それじゃあ今週末実行しようとなったから。

 当時は映像の世界に飛び込んだばかりで、深夜遅くまで編集作業をしていることが多かった。富士山へ出発する日は、早朝から動くことになるので、できる限り睡眠時間を確保しなければと思っていた。移動は基本電車とバスなので、車の運転はしなくてよい。そこはひとまず安心だ。

 当日の朝、予想通り前日家に帰った時間は遅く、睡眠時間4時間ほどになってしまった。(後から調べたら、やはり睡眠不足での登山はあまり良くないことがわかったので、皆さんも富士山へ登る時は、たっぷり寝るように心がけて下さい。)

 現地に着いて、早速登山を開始する。確か初心者コースを選んだはずで、5号目からのスタートだった。初めての僕たちは、5号目に着いた時点で、興奮気味だった。

"ついに俺たちも富士山に登るんだ"

 そんな気持ちの中のスタートだった。

5号目のスタート地点
登り始め

 持ち物は、デジカメ、GoPro、帽子、飲水、夏場だけど、頂上は寒いと聞いたので、あとで羽織れるように薄いウィンドブレーカー、いくつかの食料。

 そして今回のために何かいいバックパックを買いたいと思い、色々調べていた。出来れば普段使いも出来て、アウトドアにも強いカッコいいバックパック。知り合いに何かないかな?と聞くと、「『ARC'TERYX』なんかいいんじゃないかな?」と返事をもらった。早速調べてみると、「おお!なんか見たことある!カッコいいじゃないか!」値段を見ると、今まで使っていたバックパックよりも0が一つ多いが、当時カッコいい大人に憧れていた自分としては、ある意味そこに近くための投資だと思い、いいものを買おう!と心に決めて、すぐに銀座の専門店に自転車を飛ばし、実物を見に行った。
 そしてお目当ての品を見つけ、近くで実物を見てみた。

 「カ、カッコいい。。。」

 そしてその超かっこいいバッグを取って、レジで支払いをした。この時の買い物は、なんだか自分をすごく大人にしてくれた気が今でもしている。
 そんな新しい相棒と共に、富士山へチャレンジしていた。

 5号目からスタートして、喋りながら登っていくのだが、正直道中の細かいところはあまり覚えていない。途中で登ってきた方を振り返ると、かなりの高さというか角度だったのはすごく覚えている。"こんな急な坂道を登っているのか"と一瞬ビビりながらも、楽しさの方が勝って、淡々と足を運ぶのも楽しかった気がする。

 たがしかし、8号目過ぎて景色が良くなるにつれて、少し頭痛がしてきた。おそらく前日の寝不足が原因だろうなと思いながらも、友達たちは平気そうで自分だけ引き返すのは嫌だったので、最後まで引き返すことはせず、どうにか登って行った。(今思えば、あれが高山病なんだろうな)

 9号目あたりで頂上の雰囲気が出てきたんだけれど、そこからが長く感じた。座って休憩している人も多く、単純に景色を眺めていたのかもしれないけれど、僕たちはそこまで止まらず進み続けた。そして、夕方ごろに頂上に着いた。ついにあの富士山に登った!やってみたいことリストの一つを達成したことに満足感を覚えたのをすごく覚えている。

いよいよ終盤
雲の遥か上

 日帰りのスケジュールだった僕たちは、頂上ではさしてやることがなく、しばらく達成感に浸った後は、切り替えて下山を始めた。
 そして下山を始めてすぐに、空がだいぶ暗くなってきていることに気付いた。帰りのバスと電車の時間を考えると、ゆっくりしている時間が全くない。というかその下山ルートにほぼ人がいないことにも気付いて、余計に不安になってきた。たまに人影を見つけるたびに「よし!この道で合ってる!」とホッとしながら、砂の道を早歩きで降りていった。

下山開始。日が暮れ始める。

 真ん中過ぎまで降りたくらいの時に、完全に真っ暗になったので、スマホのライトを足元に照らしながら降りた。しかし、早朝から活動しているので全員がスマホのバッテリー残量が少ない。そこで、スマホのバッテリーをセーブするため、1人ずつライトをつけることにした。
 しばらくして、1人目のバッテリーが切れた。そして僕が先頭に行き、ライトをつけた。この時は、もし全員のライトが切れたら、いよいよ本当に危険だぞ。とヒヤヒヤしながら急いだ。

 すると前の方でライトが一つチラチラしているのが見えた。そのライトに追いつくと、背の高い外国の青年だった。挨拶すると英語が通じたので、色々喋りながら一緒に下山した。話を聞くと、その青年はインドから仕事できていて、富士山にも登ってみたかったので、休日を使って1人で来たらしい。途中でついに友達の最後のバッテリーが切れた。事情を説明してその青年に先頭を歩いてもらいながら、全員で下山した。賢くて優しい好青年だった。

 下山を始めて2、3時間ほど経っただろうか、明かりが見えてきた。それは5号目の拠点でつまりゴールを意味していた。
 "良かった。生きて帰って来れた。"
この時はあまり深く考えなかったけれど、あとで思い返してみても、かなり危ない橋を渡っていたと思う。睡眠不足にバッテリー問題。本当にみんな無事で良かった。

 5号目に戻って、バスまでまだ少し時間があることを知ったので(なんせ途中から時間を確認できていない)、レストランでご飯を食べて帰ることに。すると青年が「僕が皆さんにご馳走しますよ!」と言ってくれた。どうやら彼自身も1人で登山をしていて、最後に僕らと出会えたことを喜んでくれたみたいだ。
 そして彼は唐揚げ定食を一つ頼んだ。

 ん?定食を一つ?

 僕らは少し戸惑いながらも、到着した唐揚げ定食の唐揚げとご飯をシェアした。「ああ、そういうことだったのね。」向こうは定食が唐揚げもご飯も味噌汁も全部ついてるからお得だ!と思って迷わず定食をオーダーしたみたいだった。

 富士山の初の登頂ついでに、人生初4人で一つの定食をシェアする体験をしたこの日。

 家に着いた時は、体力は完全にゼロの状態で次の日も少し疲れが残っていたけれど、この時のチャレンジは本当にやって良かったと思っている。人生の中でやってみたい事を一つやり遂げた。しかも半ば思いつきのような成り行きで。

 このくらいフットワーク軽く、この先もどんどんやりたいことにチャレンジしていきたい。
 

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