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離婚して自分の人生を生きていく⑥



調停4回目(婚姻費用、夫婦関係調整)

前回の調停で言われた通り、ざっくりとした1ヶ月の生活費を紙に記載して持参した。今の給料では節約しても毎月の赤字が7、8万円だった。今のままでは生活に不安があるため、転職活動をしていることを伝えた。

児童手当や保育園利用料については、両方とも私の口座となっていたので、児童手当は保育園利用料に充てた。人によっては、児童手当の入ってくる銀行口座が配偶者から変更ができずに困っている人もいるので、その点は私の場合は幸いだったかもしれない。

ソウの1ヶ月の生活費はというと、一番圧迫しているのはファミリータイプの賃貸に1人で住み続けていること。調停委員もその点について、ソウに家賃が今よりもかからない場所に引っ越しを勧めたが、本人は断固拒否。

調停委員によれば、私と子どもが帰ってくることになるまで、この家で待っていたい、と話しているとのことだった。「でも、必ず帰ってくる保証なんてないですよ、とお伝えはしたのですが、、、」

さらに、婚姻費用をいま支払えない理由が続く。
「詳細の理由は仰らないのですが、ネットで課金をしているため、その請求が数ヶ月続いていて、お金がないそうです。その支払いが終了すれば、ある程度まとまった金額の支払いが可能になるとのことでした。ご本人が提出されたものがこちらです」

ソウが手書きしたと思われる、文書を確認させてもらった。

ーーーーー生活費のほかに○月は〇〇円、○月は〇〇円、、、のネット課金代を支払っております。なお、このネット課金代の支払いは○月に終了予定ですーーーー

この文書を確認して、納得できる人の方がおかしいと思う。ネット課金は本人の問題で、婚姻費用が支払えない理由になるわけない。

調停委員も私の心情を察して、話しかけてきた。
「ユイさんが納得できないお気持ちはわかるのですが、裁判所もお金がないところから婚姻費用を取ることができません。ソウさんは婚姻費用を支払う意思は示しているので、ひとまず今支払える金額というのをソウさんに出してもらいました。残りの婚姻費用の差額分は、支払えるようになってからまとめて入金してもらうことにしませんか」

今支払える金額というのは月2万円。全くゼロよりはもらったほうがいいと、冷静な今なら思えるのだが、この時はイライラしすぎて、すぐに返事をすることができなかった。「この先に支払ってもらえる保証なんてあるんですかね」と調停委員に溢してしまった。

「保証はできないかもしれないですけど、婚姻費用の額が決まれば、履行勧告や強制執行ができるようになります。もしこの先に何かの理由で支払われなくなってしまったとしても、今すぐに支払ってもらえるものはやってもらったほうがいいですよ」

調停委員の冷静な発言に、ハッとした。
イライラしすぎて、ソウと一切関わりたくない。お金なんかいらないから、今すぐ調停も辞めたい。そんな風に思いかけてしまったが、子どもの生活のために、必要なことはやってもらおう。ソウに大人としての責任を果たしてもらうのだ。

婚姻費用については、調停で金額が決まるまでは、ひとまず月に2万円は振り込んでもらえることになった。


面会交流について考える

もう一つの調停、夫婦関係調整調停について、調停委員から提案があった。

「夫婦関係調整については話し合いが平行線なのですが、ソウさんとお子さんの面会交流について話していくのはいかがですか」

アイのことを思い出した。家を出た時アイは怖がって震えていた。その後もパパのことをあまり話すことがない。大丈夫なんだろうか。

しかし、ついこの前に一人で歩いてソウが住む家に入ろうとしていた。本当のところは、会いたいのだろうか。アイの気持ちをまだ聞けていなかった。

「子どもに危害を加えたことはないのですが、家を出る時にとても怖がっていたので心配です。子どもにも聞いてみてから考えたいです」

このように伝え、次回以降に話し合うことになった。裁判所の立場としては、面会交流をなるべく勧めてくる、というのは知っていた。子どもにとっての権利だから、とかなんとか。

当初は、私も面会交流について、お互いが子どものために協力し合えれば、子どもにも負担なく行えるだろう、と甘く考えていのだが、後々とても苦労することになってしまった。今回のことで、私は共同親権について反対の立場をとる。どんなことでも、可能な人とそうじゃない人がいる。


さて、面会交流について子どもにどんなふうに伝えるのがいいのかな。色々とリサーチした。そして、ある絵本を見つけ買ってみることにした。

『ココ、きみのせいじゃない』著:ヴィッキー・ランスキー
はなれてくらすことになる ママとパパと子どものための絵本

小さな子グマのココが、面会交流で別居親との交流を行いながら、両親の離婚を少しずつ受け入れていくストーリーとなっているが、特徴としては、読み聞かせをする親側の心得みたいなものも記載されている。離婚後も子どものことで協力できるような理想的な内容となっていた。

子どもの年齢が小さいと、両親の喧嘩や離婚などの問題を、子ども自身が自分のせいでそうなってしまったのではないか、と思い込んでしまうことが良くあるらしい。
自分がいい子でいなかったから別れてしまったんだ、とか、自分が両親の仲直りさせてあげなくては、という気持ちになる子どもが沢山いると聞いて辛くなった。
そのため、この本には、あなたのせいじゃないよ、というメッセージが込められている。

実際に私も子どもには「ママとパパの問題で一緒に住むことができなくなった。アイは何も悪くない。パパとは離れて暮らしているだけで、いなくなったわけじゃないよ」と伝えると安心していた。

アイには、パパと離れて暮らしてみて少し時間が経ったけど、今はどんな気持ちか、アイの気持ち次第だけど、パパと会う約束ができるがどうしたいか、絵本を読んだ後に聞いてみた。

「アイは楽しいけど、パパ何やってるかなって思うこともある。パパにも会いたい」
「わかった。話してくれてありがとう。ちょっと先になるかもしれないけど、パパに会えるように話してみるね。」

子どもが話してくれたことは尊重したいと思う。それに、ソウは子どもに対しては誠実に接してくれるはずだという期待があった。まだこの時は。

私は面会交流について話を進めることに決めた。

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