
”観光客多すぎ”が問題?!オーバーツーリズムが変える旅行の未来
近年、観光客の増加は経済効果をもたらす一方で、「オーバーツーリズム」という深刻な問題を引き起こしています。オーバーツーリズムとは、観光客が特定の地域に集中しすぎることで、地域住民の生活環境や自然環境、文化遺産などに悪影響を及ぼす現象です。
最近のニュース(観光客が多過ぎて… オーバーツーリズムに悩まされている世界の人気観光地 15/business insider)では、日本では京都と東京の2都市を含む世界的な観光地がオーバーツーリズムに悩まされていると報じられました。なんと、エベレストまでオーバーツーリズムのエリアとして挙げられているのは驚きです。そしてついに富士山も規制(登山者数上限付)が始まりました。これで一定の効果が見込めたようです。これは、オーバーツーリズムが特定の都市部だけでなく、自然環境エリアにまで及んでいることを示しています。
オーバーツーリズムが旅行に及ぼす影響
オーバーツーリズムは、旅行体験そのものにも大きな影響を与えています。
混雑による不満の増加: 人気スポットでは常に長蛇の列ができ、ゆっくりと観光を楽しむことが難しくなっています。
旅行費用の高騰: 宿泊施設や飲食店の価格が高騰し、旅行費用全体が上昇しています。日本側としては旅行消費額もKPIの1つにあるので大きなメリットとして捉えられていますが、それに合わせて、地元及び国内旅行者にも価格が高すぎるという弊害も生じています。
地域住民との摩擦: 生活空間に観光客が押し寄せることで、騒音やゴミ問題など、地域住民との摩擦が生じています。今後、観光地のゴミ規制の条例も生まれる可能性も高くなっています。
環境への負荷増大: 大量の観光客が環境に負荷をかけ、自然環境の破壊や汚染が進んでいます。
今後の旅行トレンド
オーバーツーリズムを背景に、今後の旅行は以下のようなトレンドが予想されます。
地方分散型旅行: 従来の有名観光地だけでなく、地方の魅力を発掘する旅行が注目を集めていくでしょう。現に欧米豪の旅行者を中心に地方への誘客が徐々に広がる傾向を確認しています。
オフシーズン旅行: 混雑を避けて旅行するために、閑散期にあえて旅行する人が増えるでしょう。コロナ禍の副産物として、リモートワークが定着したことで「ワーケーション」という新しい旅行形態も生まれました。
サステナブルツーリズム: 環境や文化に配慮した持続可能な旅行が重視されます。
体験型旅行: 観光地を巡るだけでなく、地域文化や人々と交流する体験型旅行が人気を集めます。
観光地で取り組める対策
オーバーツーリズムを解消するためには、観光地側の対策も重要です。
観光客の分散: 地方の魅力をPRしたり、周遊ルートを開発することで、観光客を分散させます。
ピーク時の入場制限: 人気スポットでは、入場制限を設けることで混雑を緩和します。
マナー啓発: 多言語でのマナー啓発を行い、観光客の意識向上を図ります。事例として、京都の祇園、花見小路には多言語対応のマナー啓発看板(舞妓さんを執拗に追いかけて撮影する訪日外国人が問題に)が立てれています。ほか、新幹線の指定席を予約なしで利用するなどのマナー違反も度々SNSに投稿されていたり。
地域住民との共存: 地域住民と観光客が共存できるような仕組みづくりを行います。
環境負荷軽減策: 公共交通機関の利用促進や、環境に配慮した観光インフラ整備を進めます。
旅行者が取り組める対策
私たち旅行者も、オーバーツーリズムに加担しないために意識すべきことがあります。
オフシーズンや平日を選ぶ: 混雑時期を避けて旅行することで、ピーク時の集中を緩和できます。
地方の魅力を探す: まだ知られていない地方の魅力を発掘し、地域経済に貢献しましょう。
公共交通機関を利用する: 環境負荷を減らすために、できるだけ公共交通機関を利用しましょう。
地域文化を尊重する: 訪問先の文化や習慣を尊重し、マナーを守って行動しましょう。
サステナブルなツアーを選ぶ: 環境や地域社会に配慮したツアーを選ぶようにしましょう。
SDGsの観点からのオーバーツーリズム
オーバーツーリズムは、SDGs(持続可能な開発目標)の複数の目標と深く関わっています。特に、
目標8「働きがいも経済成長も」: 観光業は地域経済の重要な柱となり得ますが、オーバーツーリズムは地域住民の生活を脅かし、経済的な不均衡を生む可能性があります。それら課題を解決しながら、持続可能な観光を目指すことは、地域経済の活性化や雇用創出に貢献します。
目標11「住み続けられるまちづくりを」: : オーバーツーリズムは、交通渋滞、騒音、ごみ問題などを引き起こし、地域住民の生活環境を悪化させる可能性があります。地域住民の生活環境を守り、持続可能なまちづくりを推進する必要があります。
目標12「つくる責任 つかう責任」: 観光客の増加に伴い、資源の過剰消費や廃棄物の増加が懸念されています。資源の有効活用や廃棄物の削減など、持続可能な消費と生産パターンを確保し、環境負荷を軽減する必要があります。
目標15「陸の豊かさも守ろう」:オーバーツーリズムは、自然環境の破壊や生態系への悪影響を引き起こす可能性があります。自然環境の保全と共存を図る形で発展していく必要があります。
といった目標との関連が強く、オーバーツーリズムの解決はSDGsの達成にも不可欠です。
まとめ
オーバーツーリズムは、一人ひとりの行動が未来の旅行のあり方を左右します。持続可能な観光を実現するために、観光地と旅行者双方が意識改革を行い、責任ある行動を取ることが求められます。
地球と人に優しい旅を心がけることで、未来の世代も美しい地球を楽しめるように。