フライング・クリスマス?鴨肉のアシ・パルマンティエ
ボンニュイなパリからボンソワー。
ちなみにボンソワーは「こんばんは」っぽい感じで、
ボンニュイは「おやすみ🌛」ってこと。
クリスマス三日前ともなると、さすがに街は盛り上がる。盛り上がっていいのかわからないけど、少なくともパリの街角はレストラン・カフェが閉まっている以外、人数制限しながらもクリスマス商戦という感じだった。
日本のクリスマスは、恋人か友達とワイワイというイベントな印象だけど、フランスのクリスマスは日本の正月同様、神聖なる家族の行事。日仏ではクリスマスと正月がひっくり返った感じと思ってもらえばよろしい。
日本のKFC(ケンタ)はクリスマスが一番稼ぎ時なんだよ!とOtto氏にいったときに、「は?まじで??」といわれたことを覚えている。フランスではクリスマスが年間通してイチ・ニを争うイベントなのに、KFCがクリスマスのご馳走の一部なんて、シンジラレマセンという感じだった。
ちなみに。Otto氏の誕生日は初夏なのだけど、私の誕生日はクリスマスの約2週間後というタイトな日程。なのでこの時期になると「サンタさん兼お誕生日リスト」をOtto氏に提出することになっている。間が近過ぎるって?恨むなら私の親を恨むがいいさ。
ちなみに私の妹もほぼ年越しあたりが誕生日で、お互いクリスマスと一緒にされる運命。なんか損な気がするけど、まあしかたない。
お願いリストの件、「クリスマス+誕生日」だから、項目は控えめからぶっとびまで10個くらい。
ここから2つちゃんときたらマンモスうれP(古)日本往復のエアチケットはさすがに無理か。
相互条約的にOtto氏も欲しいものを私に提出してくるけれど、考えることは私と同じ。ウイスキーに始まり、ベトナムまでの航空券だの、パイロット免許(は?)だの。
意味がよくわからないので、その中からひとつ選びつつ、近所2km以内をみるぅとともに闊歩して、無事購入。あとは適当にラッピングして25日の朝にツリーの下にそっと置くだけ。もうこれだけでクリスマス前の仕事終わった気分、よかったー!日記以上!!
🎄
さて、フランスの定番料理で「Hachis Parmentier」(アシ・パルマンティエ)というものがある。アシは細かく刻んだという意味だけど、詳しくは、noteご近所で大人気のシェフ・世界のミクニのこの動画の冒頭をみてほしい。発音含めものすごく丁寧にご説明されているので。
フランスの学校事情はわからないけれど、どうもフランスの学校給食で出てきて子どもたちにとても人気らしい、このアシパルマン。
こちら、材料はじゃがいもと牛か豚のひき肉があればなんとでもなる一皿なので、実は以前一度、芽が出かけていたフリット用のじゃがいもと冷凍の牛ひき肉などで同じものをつくったことがあった。
そのときのザ・ザ・フランス人、Otto氏のコメント。
美味しいけど、次は肉を鴨にしてくれるといいな
はーいはいはい!わかった、わかりましたよ!
鴨のアシパルマンティエって、基本的に使うのが市販の鴨のコンフィなわけで。
イチから鴨コンつくるとなると、こりゃまた一大行事なんですね。
ちなみに日本人シェフで初の3つ星をとったパリのレストラン KEIの小林さん(誇らしいかな、長野県出身)のレシピはこんな感じ。
超プロだからって特別時間かけてるってわけでもなく、他のレシピも大量のオリーブオイル使用&軒並み時間はかかる。
このまま鴨堪能ならまだしも。自作でこれ作ってからのアシにしちゃう?っていうのは疑問なので、ここは市販品でいきたいところ。ただ、これって、四人用の巨大缶詰なら通常も売っているんだけど、ヒトふたり暮らし的にはそんなにいらないんですよ。
1年以上フランスで主婦的なことをしていると、さすがにちょっと時勢を読めるようになってきた私。クリスマス前、フォアグラだのサーモンだの鶏の丸ごと一羽だの鴨だのが軒並みプロモーション価格になるのは予想していた。
その予想通り、つい1週間くらい前、スーパーをぶらぶらしていたら、鴨のコンフィ2脚分がお買い得になっておりまして。
こりゃーアシ作りなさいと神様がつぶやいている気がして、速攻買って冷蔵庫に眠らせておいたのだ。
これ。鴨のアシ2脚分が真空パックになっている。
そのほかの材料は、ピュレ用にピュレむきのじゃがいも1キロ、生クリーム、バター、うつってないけど牛乳、ナツメグと塩胡椒。鴨肉のしぐれ煮的なものについては、鴨のコンフィとにんにく、たまねぎ、エシャロット、タイム、冷凍庫に眠らせていたキノコもみじん切り。
まずはじゃがいものピュレをつくる。
ピュレに適したじゃがいもを水から茹でて20分くらいゆでる。
茹で上がったら、生クリーム、牛乳、バター、ナツメグ、塩胡椒をして、ひたすらなめらかにつぶす。
今日はとにかく「塊のない、なめらかなピュレ」を目指す。
非常に面倒だけど、ざるとゴムベラで漉す。これだけで腱鞘炎くるか?ってくらいの割と重労働。。
味見してたらこのまま無限にいけてしまいそうなピュレができた。なめらか〜
次、鴨パート。
まずは市販のコンフィをフライパンに。
脂が固まっているので、じっくり炒めて脂を溶かす。
鴨はやはり脂おおし。この脂は決して捨ててはならぬ。
身の部分だけ取り上げて、身を骨からはがし、ほぐす。
いい匂いがして、この時点で味見しすぎた。
フライパンに残ったさきほどの鴨脂で、にんにくとエシャロット(いずれもみじん切り)、玉ねぎの薄切りをいためる。
ほぐした鴨とみじん切りきのこ、タイムをいれて、赤ワインを回し入れてしばし混ぜつつ炒める。
このままでも十分食べきれそうな物体が目の前に。
ちょこちょこ味見しすぎてかなりお腹いっぱいになりつつあるけれど、これから鴨とじゃがいもの組み立てが待っている。
STAUBのグラタン皿にバターを薄くしいておこう。
まずは、鴨から。
じゃがいものピュレをポンポンのせて、ひたすらゴムベラで平らにならす。
平らならしが楽しすぎて、小一時間し続けたい変態。
フォークで縦横ななめ、何パターンか模様をつけたりなんだりしたけど、結局斜めに落ち着いて、バターをちょいのせして黒胡椒をごりごりしてオーブンへ。
200度以上に熱したオーブンで15分くらい焼く。
焼・け・たァー!!!!!
スコップのように、掘って、お皿に取り分ける。
あーこれは、超・超・超・イイ感じ × 2
味見しすぎて上品な量しかよそっていないけど、これは本当に、とてもおいしかった。鴨脂のおかげ?
Otto氏には、あっつあつの状態で先に出したら、はふはふ言いつつ「スーパーうまい」とフランス語で。
そりゃもちろんうれしいし、私も「フランスで給食のおねいさんできる!?」ってくらいな勢いなのだけども、何度聞いても美味しいとしか言わない。
ついでに、なんでパルマンティエと呼ぶんでしょうか?と聞くと、ムッシューパルマンティエがじゃがいもをフランスに伝えたからだ的なことを言っていた。本当?もう眠いのでこのままにしておくけれど、次つくるときはちゃんと調べよう。
食べ進めるうちに、実はMなのか知らんけど、美味しいとしか言われないとどこか物足りないというか、さらに高みを目指したくなる性分。しつこく何度も尋ねたら、ぼそり。
「レストランでは、セルクル型にいれて上品な形で出てくるから、今日のは家庭的な感じだけど、ワタシは家庭的の方が好き」
味じゃなくて形および見た目で言われると、これはますます燃える。
次はぜひとも、セルクル型で上品に仕立てることにしよう。
とにもかくにも、ミクニシェフもこの料理自体を絶賛していたけれど、
鴨でパルマンティエ作るのサイコーでーっす!!
「ちょっとピンぼけ」どころか「だいぶピンぼけ」な
ご近所散歩中なうちの方🐶