乙女に捧ぐ、夏のフランス流ごちそうサラダ
我が家には、乙女がいる。
中身は永年青年男子、隙を見ては他犬のおしりを追いかけるイッヌ🐶のことでも、年齢が中身に追いついてきて最近はオッサンが背中のチャックを飛び出しつつある私のことでもない。見た目はマッチョ、心は乙女なOtto氏(仏人、中年)のことだ。
見た目にそぐわず、カワイイものを持っていたり、甘いものに目がないうちの乙女。
例をあげればキリがないが、例えばこのパイナップルチャーハンにささっている傘とか、この記事の最後の方に出てくる謎のストローとか、もれなくOtto氏が持っていたものだ。
まだまだ出てくる。この蓋付きケーキスタンドなんかも、一人暮らしの中年男性が持っていたとはとても思えない。
そんなスイーツ大好き乙女が万年に気になるのは、その体重である。
時は2週間ほど前の朝。買い出しに向かう車中、私が何かのきっかけで「Sumo(相撲)」ワードを発したところ、急に無言になり悲しい顔を見せる乙女Otto氏。
え?私なんか気に障るようなこと言った?って彼氏かよ。
「豚の腹」という単語を先々月の日本帰国で教わってきて、ことにつけButa no haraを自虐的に発しては笑いをとっているじゃないの・・・?
おそるおそる、どうしたの?と問うてみれば、神妙な面持ちでこう返事が来た。
「今朝、体重が過去最高を更新した。まったくもって信じられない。」
😨
そうだったのね・・・だから「相撲」ワードに反応した、と。
詳細は本人の名誉のために伏せるけど、たしかに全盛期の舞の海くらいはあるんじゃない?存じませんが。
元軍人かなにかですか?と言われてもおかしくないような胸板に誤魔化されてきたけれど、たしかにうちの乙女、最近お腹まわりがなんだかぱつぱつしてきたような気はするな。見た目というより健康を大事にしてほしい身からすると、本人が自覚したのはいい傾向といえよう。
そのままスーパーで買い出しを済ませ、帰途につく。ランチどうする?と問えば、即答で「サラダ」。いつもはステークフリットと返ってくるところ、よほどショックなのだろう。わかったわかった、昼は乙女のためにサラダをこさえることとしよう。
フランスのサラダ
フランスでは年中、スーパーでもマルシェでも大人用のヘルメットくらいある巨大なサラダ菜が数種類、ならんでいる。ビオのものでも1ユーロ台で買えるし、ひと玉買えばだいぶもつので家計にも大変優しい。
この状態のサラダ、安くて美味しくていいけれども、なにぶん採れたて状態なもので土やらなにやらをよーーく洗わないといけない。その手間を省くため、あらかじめ洗ってすぐ食べられる状態になっているパック状のサラダも種類豊富。どのスーパーの冷蔵コーナーでも売られている。日本でも近年、よく見かけるようになったやつですな。
我が家のサラダ
まあ私は時間がある人間なので、サラダ菜を買ってきて自分でやりますよ。
まず基本構成は、サラダ菜、赤たまねぎ、きゅうり。
サラダ菜の洗い方は、ボウルに水をはって重曹をスプーン1杯入れたところに葉っぱをちぎって10分くらい放置。そこから丁寧にすすいで洗ってを繰り返し、水をサラダスピナーでよーく切る。生で食べる予定の土のついたものは大抵このようにしている。
サラダ菜を水につけている間、赤玉ねぎをスライサーで切って水にひたしておく。さらに、きゅうりも気分でスライサーにかけたり、角切りにしたり。
ここに、準レギュラーの具材を足して、ヴィネグレット(ドレッシング)をかけて合わせて完成。
なお、準レギュラーは、にんじん、トマト、パプリカ、ゆでたまご、オリーブあたり。これにチーズでタンパク質を足したり季節の野菜やフルーツを混ぜ込んでみたりなど、いかようにもアレンジ可能だ。
ヴィネグレットとは、ドレッシングのこと。ホワイトバルサミコorシードルビネガー1に対して、オリーブオイル2から3を合わせて塩胡椒で調味するのがうちの定番。義母はこれにエシャロットのみじん切りを加えているけど、これも悪くない。
フェタとパプリカのサラダ
悲報に暮れる乙女に捧ぐこの日のサラダは、極力、カロリーを感じないもので構成。ドレッシングは基本のヴィネグレットで。
そうそう、このアスティエのサラダボウル。すでにひとつ持っていたところに、たまたま友人がプレゼントで同じものをくれて、時を超えて今大皿サラダ×2をつくるのに大活躍。ありがとうAちゃん🐶。
乙女の平日サラダ
乙女の意志はダイヤモンド並みに硬い。その日から、「私はサラダしか食べません」モードが始まった。
現在、理由あってほぼ単身赴任みたいな状況なので、平日は別々に暮らしているのだけど、ここ2週間毎日何かしらのサラダを無言で送りつけてくる乙女。
金曜のお昼、Otto氏は同僚とレストランに行く習慣がある。いつもはお肉どーん!のマロワールソースどさー!のフリットどっかーん!みたいなひと皿が報告されてきていたけど、ここ2週間はオンリーサラダ。ヤツは本気だ。
背中のチャックからオッサンの平日サラダ
背中チャックからのオッサンなわたくし。年初から数ヶ月に渡る禁酒期間を経て、すっかり最近は「夏の水はロゼ」生活に舞い戻りつつある。
レストランでボウルのサラダを頼む感覚がまるでなかったけど、自分でつくるのは別。乙女の本気に影響されて、平日の夜にサラダメインで済ませるなんてこともあった。
ハニーマスタードチキンサラダ
ひとり丸鶏の派生で作ってみた、ハニーマスタードチキンサラダ。
グレープフルーツと生ハムのサラダ
この夏のヒット、グレープフルーツカッペリーニに触発されて、サラダにも応用させてみた。
週末のふたりサラダ
2週間後、一緒にすごす週末は、土曜の夜、日曜の昼、日曜の夜とぜーんぶサラダ。我ながらよく付き合う彼氏よねえ。
小エビのサラダ
なんだかシーフードを食べたい気分。シーフードでサラダといえば、昔サイゼリアで食べた小エビのサラダを思い出した。
久しぶりに登場。最後のパプリカシュッがポイントですな。
もう一品。暑い日だったので、スープは冷製がいいかな?ちょうど自作カンパーニュがちょこっと余っていたので、これと夏野菜でガスパチョでも作ろう。レシピはdancyuより。
ガスパチョには、角切りきゅうりとともに庭に満開に咲き誇っている食べられる花を添えて、乙女モードにしてみた。うちの乙女に花はどうやら響かなかったけど、小エビのオーロラソースは興味津々のようだった。
メロンと生ハムのサラダ
金曜のレストランサラダに感化されて、日曜の昼は、今が旬のメロンでメロンと生ハムのサラダ。
なんだりかんだりシーザーサラダ
そして日曜の夜は、冷蔵庫掃除も兼ねて、ありものを詰め込んでシーザーサラダ風に。
こうして、平日は何より大事なアペロさえも控え、サラダメインの生活をした乙女。
気になる体重はといえば、2週間で3.5kg落ちたらしい。
きゃっきゃっと喜ぶ乙女。よかったねと眺める私。
食べ物だけじゃなくて、運動もしたほうがいいんじゃない?とかれこれ2万回くらい言い続けているのだが、やれ走るのはイヤだとか、やれこれで運動したら筋肉がついてまた体重が増えるとか言う乙女。もう少し体重を落としてから何かしら始めるらしい。本当かな?
そんなことを話しながら内陸の街にむかう道中。
ブーランジュリーに立ち寄って、バゲットと、珍しくデザートを購入するOtto氏。
体重が減ったご褒美にスイーツってところもやっぱり乙女なのである。