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大好きなアーティストが活動休止しただけ。それだけなのに、辛くて仕方ない。
私の生きる意味とも言えるアーティストが、3日前に活動休止を発表した。
最初は信じられないような気がしたけれど、「2人が決めたなら仕方ないか」と呆気なく自分の感情を受け流した。
それから3日が経ち、大好きなアーティストがYouTubeで新曲をリリースしていた。曲名は「やめるなら今だ」。
この曲は1年ほど前にライブで聴いたことがあり、早くリリースされないかと首を長くして待っていた。曲名とは裏腹に、「本当はもっと頑張りたい」というメッセージ性が溢れる音楽。当時は涙を流しながらライブ会場の空気に包み込まれた。
まさかリリースが活動休止のタイミングだとは思わず、「早くApple Musicで聴きたい」と考えていたことが野暮だったと悟った。
ライブに行けばアフロが物販をしているので、必ずグッズを買って帰った。レアなステッカーが欲しくて何十枚と買うこともあった。その中で出たアフロのステッカーは、今でも私のスマホケースに入っている。
アフロが物販をしている中、絶対に断られると思いながら恐る恐る「写真撮ってもいいですか?」と聴いてみたことがある。すると、アフロは快諾してくれたのだ。
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この1枚は本当に宝物。この瞬間から、「辛くてもMOROHAがいるから大丈夫」とお守りのような存在になっていった。
近くのライブハウスまで来てくれたら絶対に足を運んでいたけれど、最近チケット販売サイトの様子がおかしいかった。
「明らかに、いつもよりライブの回数が少ない」。だけど来年はきっと地方にも来てくれるはず。今年はちょっとライブを少なめにしているだけ。そう思いながら、やっぱり毎日チケットサイトを見ていた。
ただ、そんな違和感は、ただの違和感では終わらなかった。
MOROHAが私たちに与えてくれた愛や情熱が無くなるわけではない。そんなことは分かっている。これからは2人が別々に活動するだけで、あとは何も変わらない。過去に作ってくれた曲はすべてダウンロードしているから、いつでも視聴可能だ。
だけど、もう会えないんだと思うと、胸が締め付けられるほどに悲しい。これからも、当たり前にMOROHAのライブを糧に生きていくつもりだったから。ライブ後の物販で「今日もありがとうございました」と毎回お礼を伝えるつもりだったから。それができなくなる日が来るなんて、思いもしなかった。
12/21、MOROHAとして最後のライブでアフロは言った。
もうMOROHAは戻りません。(省略)あるとするなら戻るのではなくて、お互いが進んだその先に合流があれば良いなと思っています。戻ることよりも難しいことだとは重々承知の上で、そんなことができたらいいなと思います。
もう一度MOROHAとして活動するのか、しないのかは誰にも分からない。本人たちでさえ分かっていないのだから。
私たちは突然別れを告げられたような気になっているけれど、本来はこれが当たり前なんだと思う。
いつまでも同じように暮らせる人なんて1人もいない。外的要因か内的要因かは分からないけれど、必ず人は変化していく。そして、気付けば生活がガラッと変わることだってある。
人は常に変わっていく生き物だから、いつ別れのタイミングが来るか分からない。再開のタイミングだって、ある日突然訪れたりする。
会社員時代、大好きだった同期や後輩が退職していくのを見て、次への道を応援したい気持ちと、悲しい気持ちが入り混じった。
だけど、同期や後輩の人生を決めるのは私じゃない。目の前にいる人が、自分の意思で決断したことに反論なんてできるわけがない。
こうして、人生は少しずつ変わっていく。
好きだったアーティストもいつの間にかどんどん活動休止して、学生時代に仲が良かった友達とは疎遠になり。自分と違うライフステージの人とは、どことなく会話がぎこちなくなる。
こんなふうに、誰も気づかないくらいの速度でゆっくり時間は流れ。ふと気づいたときには、状況が大きく変化している。
それが「良い」「悪い」ではなく、人生とは、そういうものなのだ。だからこそ、「今、この瞬間」を大事に生きていきたい。
好きなアーティストが活動をしていること。メッセージ1つで駆け付けてくれる友達がいること。何も言わなくても全て分かってくれている家族がいること。
どれも一見当たり前なようで、保ち続けるのは難しい。だから、今、目の前に大切にしたいものがあるならば、しっかり向き合おう。
人の行動量も、寿命も、活力も一生は続かないのだから。今本当に大切にすべきものを大切にするために、不要なものを手放しながらいきていこう。
改めて、今までお疲れ様でした。私にとってMOROHAの音楽は支えであり、着火剤でした。これから2人がどんな決断をしようとも、ずっと応援しています。
12.25 もりうちゆい